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古い時代の事に関する質問ですみません。戦国時代の火縄銃の有効射程距離は、約二十間(30〜40m)だと聞きます。確かに黒色火薬スムーズボアではその程度なんでしょう。それに対し、弓矢は、「三十三間堂の通し矢」でも分かるように火縄銃のそれを上回ります。連射能力でも弓矢が上回ると思います。更に製造コスト(弓、矢、銃、弾、火薬)に関しても、弓矢のそれの方が、恐らく、はるかに、経済的でしょう。なのに何故、戦国時代には火縄銃が弓矢を駆逐して急速に普及したのでしょうか?どなたか、是非、疑問に答えてください。お願いします。 葡萄家 |
- 弓道かアーチェリーでも一回やってみるとわかるかと思いますが、弓矢で三十三間も飛ばすのは相当に熟練しなければ出来るものではありません。連射して命中させるのも決して楽ではありません。まっすぐ飛ばすだけでもそれなりの練習が必要なのです。
一方、鉄砲は弓矢に比べれば操作の習得ははるかに簡単です。
弓矢の達人と鉄砲の達人が一騎打ちをすれば弓矢の達人が勝つでしょう。
しかし、百人の鉄砲足軽を揃える事と10人の弓矢の達人を揃える事ではどちらが容易でしょうか?
TETSU29
- 弓矢を一人前に扱えるようになるまでに、どのくらいの訓練が必要でしょうか?
とくに、弓矢で動標的を狙うのは非常に難しいです。
イングランドの長弓兵のように、一種の「弾幕射撃」的用法に頼るにしても、かなりの熟練を要します。イングランド長弓兵は「専門家」です。
対して、島津家などのごく少数の例外を除くと、鉄砲は足軽の武装ですね。
「専門家」の武装ではないことに注目してください。
射程が短くて、雨が降ると戦闘にならなくても、とにかく狙って引鉄を引けばいいのですから、弓矢に比べればそうとうな短期間でモノにできます。
弓矢を有効に戦力にできるのは熟練者、すなわち弓術を長く訓練している武士のみであるのに対し、鉄砲であればそのへんの百姓を動員して扱い方を教え、鉄砲の戦術を知っている指揮者を置けば、それで戦力化することが可能です。
また、初速がはるかに矢より速いこと、狙っている間に弓を引き続けるという肉体的緊張を要さないことから、近距離であれば動目標の狙撃に関しては圧倒的に有利です。
まなかじ
- TETSU29様、まなかじ様、ご回答ありがとう御座います。目からウロコが落ちました。心より御礼申し上げます。しかし、戦国期の火縄銃に関しまして別な疑問があります。御両名も含めまして、お答え頂ければ幸いで御座います。
葡萄家
- 鉄砲が、弓矢を駆逐した因子を簡単に述べます。
>.質問者 有効射程距離は、約二十間(30〜40m)
1.これは、単一射撃での命中精度を表すものと考えます。
実際の射法は、集団斉射ですので、対人(対騎馬)命中射程は、おおよそ80〜100mは可能です。
2.弾丸威力−−−火縄銃、と馬鹿にしてはいけません。戦国時代の標準的な3〜4匁銃で、
現代のリボルバーの標準弾 .38スペシャル弾並のパワーと貫通力を持っています。
当時の鎧、鉄兜 等 この距離なら楽にに貫通します。
3.早会(はやごう)を使用すれば、3〜4発/分は発射可能でしょう。
4.こういう、本も有ります。 一読ください。
http://www02.so-net.ne.jp/~muraji/gunji/teppou.htm
5.ついでに、上のAnsQ509
原則として、刀を持つのは、武士。
鉄砲を持つのが足軽。 身分の違い!
なんじゃないかね!
軌跡の発動機?誉
- >弓矢を習熟するのにかかる期間
現在のアーチェリー(オリンピックボウ)を使って、距離50mの静止目標
(人間サイズ)に確実に命中できるようになるのに、毎日練習すれば2、3
ヶ月でしょうか。一年やれば100mで人間には当たるようになります。
コンパウンドボウ(ランボーが使ってるヤツ)なら、さらに精度が高く30m
なら人間の目を射抜くことも容易です。
ただし静止目標にが絶対条件!
移動目標(歩く程度でも)に命中させることは1年程度では不可能でしょう。
(そういう練習してないせいもありますが)
よって戦力としては弾幕射撃しか効果を及ぼさないと思います。これなら
距離100mでも半年程度の練習で十分戦力になるとおもいます。
銃に駆逐された理由は使いやすさもありますが、やはり威力でしょう。
弓に至近距離でない限り、装甲(鎧)の貫通はまず期待できません。
ちなみに弓矢の連射速度ですが、メチャメチャ早い人で6発/分以上で
撃てるようですが、この場合、持続性はないです。
持続射撃を考えるなら、よく練習してる人で150発/時間が限度でしょう。
和弓に関しても基本的に同じと考えて良いと思います。精度は格段に落ちますが。
以上長々書きましたが、アーチェリー経験者からの考察でした。
taka
- Gun誌で須藤薫雄氏が火縄銃で鎧を撃つ実験をしたことがあります。使用銃は国友製の一匁五分筒(口径約10mmほど。ちなみに、戦国時代に多く用いられた火縄銃は二匁〜十匁筒)、鎧は重量約4.5kgの具足(鉄板の厚さは平均1.4mm)、距離は50mでした。
結果は、3発撃ち込んですべて貫通。射入口は大きさ20mmほどで、後ろに13mmほどの射出口ともう一つ窪みがあり、内部で弾が二つ以上に割れてしまったようです。初速は1,550〜1,590fps(約480m/秒)でした。実戦での性能は、火薬量などによって多少変わってくると思います。
戦国末期、火縄銃に対する防御手段として竹束が使われるようになりました。充分な距離と束の厚ささえあればかなり効果があったようです。
火縄銃の中でもっとも一般的だったのは六匁筒で、中筒・持筒と呼ばれました。十匁筒は侍筒とも呼ばれ、侍身分の者が主に使用したようです。
火縄銃や日本の武器について、↓のサイトがあります。上で書いた須藤薫雄氏のリサーチを元にしたサイトです。
http://www.japaneseweapons.com/
戦国時代、火縄銃は確かに高価な兵器でした。織田信長が多くの鉄砲を抱えることができたのは彼の経済力に拠るところが大きかったようです。
もっとも、かの長篠合戦で織田・徳川軍が武田勝頼軍を破ったのは、一説に3,000挺と言われた鉄砲隊が突出していたわけではなく(当時の天候は決して火縄銃に向くものではなかったらしい)、織田・徳川方の全体兵力が多かった等というのが実情のようです。
ブラック・タロン
- >5.
艦砲と同じで、遠距離でも逆に貫通力が増すそうです。
クレーシーの戦いで、イギリス長弓部隊が山なりの弾道を描くよう、上方に向けて放った矢の雨で、
フランス騎兵隊を粉砕しています。
勝井
- ↑矢の材質にかなりよると思うんですが、そのときの矢は何でできてるんでしょうか?
現在の競技用、狩猟用の矢はジュラルミンやカーボンファイバー製がほとんどなので
遠距離だと失速してしまいます。
戦国時代の和弓の場合は多分、木に鉄などの鏃を付けたタイプですよね。これも遠距離
では威力が落ちると思います。
taka
- 読んだ文献じゃ材質には言及してないんですが、
重いことは確かなようです。
射程約250m、山なりの軌道は最大4〜50mもの高度に達し、
プレートメイルすら貫通したそうです。
しかも毎分最大10本という速射を見せ、文字通り矢の雨を降らせた格好になったとか。
勝井
- 原則として、刀を持つのは、武士。
鉄砲を持つのが足軽。 身分の違い!
という考えは江戸期の物でそれ以前は足軽から一国の太守までガンガンぶっ放しています。
伊号
- >9
感覚としてなんですが、重い矢を250m飛ばす弓となると、相当強力な弓と
考えられます。直感的には100ポンド以上(引き絞るのに必要な力)は必要
では無いかと思います。これはすでに人間の力で出来るのか疑問です。
(アーチェリーは一般人で30ポンド、オリンピック選手でも50〜60ポンド)
それはボウガンの類では無いかと思います。あと鍛錬しても毎分十発は厳しい
ような気がします。矢をつがえるだけで3、4秒はかかりますから。
taka
- 補足ですが、
水平にではなく、山なりに飛ばすのですから、
その分の伸びは考慮しなければならないでしょう。
で、長篠の鉄砲隊の如く、集団で集団を狙う公算射法ですから、
矢をつがえたら即座に放った上での毎分10本なのでしょうね。
勝井
- >フランス騎兵隊を粉砕しています。
http://plaza4.mbn.or.jp/~tactic/clesy.html
↑なんか、遠距離射撃の威力で鎧をぶちぬいて「粉砕」したようには思われないのですが、、、。
弓の威力の説明になりえる例なのでしょうか?
レッドこてらじ
- なんかTRPGなころを懐かしく思い、webの波間を漂ってみると、
http://www.student.utwente.nl/campus/sagi/artikel/longbow/longbow.html
こういう文章をみつけました。諸説はあるものの、勝井さんの文献の語るとおりに分間10~12発を放ち、200yardほどの射程を持ち、90ポンドほどの力でひくものだったとされています(誤訳かもしれないので、原文参照)。
金属板鎧を抜くために30.5cm、1.5オンスの矢が使われた、とあります。
レッドこてらじ
- 30.5cmの矢じゃ、短すぎて引けないです(笑)。僕も英語弱いんですが
たぶん矢の長さは30.5インチ(約75cm)だと思います。
で鎧を抜くってのは、この矢の軽さ弓の強さを考えると上から降らすの
ではなく、直線弾道のようですね。
以下ゴミです。
それにしても90ポンドの弓なんて人間の力で引けるんですね〜、しかも
精密射撃でないとはいえ10本/分・・・。
35ポンドの弓で、2本/分がきつかった人間には信じられません(笑)
taka
- 私も、イギリス戦史の研究発表でロングボウの話をした時、アーチェリー部の学生に「そんな弓、俺ぁ絶対引けないよぉ〜」という感想をもらったことがあります。蛇足千万。
大名死亡
- 30.5cmと30.5inchの表記が近いところで別の説明に使われていたために混同してしまいました。申し訳ありません。クロスボウのボルトの長さになっちゃいますね、30.5cmでは。
訂正します。
こてらじ
- まあ、ロングボウの射手育成には20年もの年月が要った訳ですから、
そんじょそこいらの「弓引き」の発想を超越した射手であったのは確実です。
一種のギルド制による徒弟式育成ですから育成に時間がかかります。
(というより装備費に予算をかけずに人件費だけで軍隊の精度を上げた訳です)
これは逆説的には促成の方法を嫌ったことの裏返しですから
これをしてイングランドの優位性を誇るとは冷笑を買うだけです。
結局は陸戦の覇者になったのは道具としては高価だが機械弓を用いた仏蘭西でしょう。
イングランドはそれですら「アイルランド人より高い」といって嫌ったのですから。
ナゾの人
- 鉄砲が弓を駆逐した理由は初めからかかれているように、使い手の問題だとは思ったのですが、クロスボウだったら使い手の問題はあまり無いような気がするんです。それで思ったのは「クロスボウはなんでさっさと廃れたのか」ということで、弓に連射性で劣りますが、初期銃砲に比べればそう変わりない気がするんです。天候にも影響されませんし。
となると生産性の問題なのかな、と思ったのですが、、、。このあたりをご存知でしたらご教授いただきたいのですが。
こてらじ
- >19
こてらじさん、鉄炮がロングボウに対するクロスボウの存在、
つまり“改良ロングボウ”として理解してはどうでしょうか?
「弓対鉄炮」という構図ではなく、「弓対銃」という図式にしたとき
クロスボウは弓ではなく銃のカテゴリーに属すのです。
※ここでいう「銃」の定義は機械式投射機、ミサイルの発射を腕力に頼らないもの、とする。
これで疑問は解けるかと思いますが、如何でしょうか?
ナゾの人
- 了解:-)
こてらじ
- >20
誤“改良ロングボウ”→正“改良クロスボウ(火薬式投擲機)”として。。。
いやあ、お恥ずかしい(#^ ^#)
ナゾの人
- 追伸
クロスボウってボウガン(bow gun)って言いますでしょ。
ナゾの人