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339 帝国海軍の陸戦隊には特別連合陸戦隊・特別陸戦隊・警備隊・防備隊といったものがありましたが、これらの中隊以上の編成についての質問です。陸戦隊には連隊クラスの戦力を有するものもあるようですが、それらは「大隊」や「連隊」ではなくて中隊ごとに陸戦隊司令部直属で編成されていたのでしょうか。
sharman

  1. 陸戦隊に大隊という単位はあったかと言えば、明治44年の連合陸戦隊編制予定表には大隊の編制が載っています。その後の、海軍特別陸戦隊定員表や海軍特別根拠地隊定員表にはそれに類する単位として分隊が設けられていますが、陸戦隊そのものの編制規模が小さい(1000から2000人)ことから中隊と区別がつき難い単位となっています。こうした部隊が数個分隊を分派する際は編制中に多数含まれる隊付士官等を含んだ指揮隊を臨時に編成したのではないでしょうか。
    BUN

  2.  御回答ありがとうございます。中隊=分隊、大隊以上=指揮隊ということですね。
    sharman

  3. 参照できる資料に限界がありますので、取り敢えず分かる範囲のことを書いておきま
    す。

    昭和十一年十月十五日(内令三八七)における「特設艦船部隊定員令」の「改正」に
    で、「特設鎮守府特別陸戦隊定員表」には、司令以下の配員が示してあります。定員表
    は一般には司令、副官など内務編制(で良いんですよね)における各配置に対する配
    員を規定したものであり、具体的には

    司令 兵科佐官  一
    副官 少佐、大尉 一

    のごとき表記によって、それぞれの配置に対してどのような官階の者を何名配員すべき
    かが示されています。参考までに士官以上について記すと、軍医長として軍医少佐、軍
    医大尉が一名、主計長として主計少佐、主計大尉が一名、分隊長として大尉が兼務で二
    名、軍医少佐、軍医大尉が兼務で一名、主計少佐、主計大尉が兼務で一名、隊附として
    大尉が二名、中少尉が六名、隊附の特務中少尉が二名が配員されることになっています
    (士官のみ記しました)。

    陸戦隊の場合、陸戦の編制も別途定めており、これが御疑問の内容に対応するものかと
    思いますが、具体的には上記の配員に対して

    大隊本部
     大隊長 兵科佐官 一
     大隊副官 少佐大尉 一
     大隊旗手 兵曹 一
    指揮小隊
     小隊長 兵曹長 一
     伝令分隊
      分隊下士官 兵曹 一
      列兵    水兵 八
     斥候分隊
      分隊下士官 兵曹 一
      列兵    水兵 八

    のごとき記載があります。この定員表からすると、大隊に対して二個中隊(各中隊は
    指揮小隊一、小隊四、機銃小隊一)、通信隊、工作隊、予備弾薬隊、軍務隊、主計隊か
    らなることが読み取れます。ちなみに、特別に「本表ノ人員ハ一箇大隊ノ陸戦隊ヲ標
    準トス其ノ内訳左ノ如シ但シ司令ハ大隊長、副官ハ大隊副官ニ充ツルモノトス」など
    前書きがあります。このことから、この定員表による特別陸戦隊は、規模云々はとり
    あえず置いておけば、概ね大隊を想定した編制であることが分かります。

    さらに、例えばこの編制に従わない陸戦隊を編成する場合は適宜分隊長以下の人員を
    増減することを許すとか、二箇大隊以上のときは大隊長に充てる隊附の少佐一名及び
    大隊副官に充てる兵科尉官を増加する、などの但し書きがあります。

    聯合特別陸戦隊は、二隊以上の特別陸戦隊からなるものと考えますので(ここは法令
    に当たっておりませんので、悪しからず)、少将、大佐の司令官に、参謀二、副官一、
    機関長、軍医長、主計長各一からなる司令部の指揮下に、さきほど述べた大隊規模の
    特別陸戦隊が入りますので、各中隊から見れば、聯合特別陸戦隊司令部から直接の指
    揮を受けるのではなくて、特別陸戦隊司令を長とする大隊本部からの指揮を受けてい
    るものを見なすのが妥当かと思います。


    今泉 淳

  4.  なるほど。詳細な回答をありがとうございます。1大隊が2中隊編成だとすると、陸軍の大隊よりかなり小さめなんですね。現実には、あちこちの島々に分遣しなければならなかったので、もっと規模が小さくなっていただろうし。
     実際に戦闘に参加した陸戦隊で、単一の編成として最大のものはどれなのでしょうか。陸戦専門の将官としては太田実少将が最先任でしたか? すると、沖縄戦の陸戦隊が一番規模が大きいのでしょうか。


    sharman


  5. これは、私自身陸戦隊に関する知識が不足していることもあって答えになっていない
    のですが、雨倉孝之さんが調べたところによる昭和17年度における「陸戦」をマーク
    にもっている現役士官は、

    安田義達  海兵46
    山内英一  海兵51
    小木曽憲三 海兵52
    今井秋次郎 海兵54
    浦部聖   海兵56
    佐藤清忠  海兵59
    柿木哲   海兵61

    であり、大田実は陸戦マークを持っていません(高砲のみで、専攻科は出てい
    ないと推定される)。マークを持っていなくても実質的に陸戦専門の士官はいた
    とも言われますので、何をして「最先任」かとするかという問題はあります。
    また、最先任であるかどうかと部隊規模は必ずしも関係するわけではないと考
    えます(確かに偉い人ほど大きな部隊の指揮官であるとは言えなくもないので
    すが)。

    で、「単一の編成」もある意味で曖昧でして、例えば特設鎮守府特設陸戦隊レベ
    ルの話なのか、あるいは特別聯合陸戦隊の話なのかによって、違ってくると思い
    ます。また、「沖縄の陸戦隊」にしても、厳密には、大田少将は「沖縄方面根拠
    地隊隊司令官」であって、「××陸戦隊」という名称の部隊指揮官ではありません。
    もちろん、根拠地隊を広義の陸戦隊(海軍の陸上部隊)と見なすことはできると
    思いますが。

    また、聯合特別陸戦隊の麾下にある各特別陸戦隊にしても、銃隊のみの場合と砲隊
    のみの場合もあったようで、必ずしも定員数は一致しませんし、これをして兵力に
    換算する場合どのようにすれば良いのか明かではありません。また、これらを合し
    た聯合特別陸戦隊が実際にどのように(何個特別陸戦隊をもって)編成されたかを
    確認しない限り、これらの議論もできないと思います。

    今泉 淳

  6. 補足です。

    >内務編制(で良いんですよね)

    もしかしたら「良くなく」て、「常務編制」のほうが適当なのかもしれません。
    今泉 淳


  7. さらに追記。

    >厳密には、大田少将は「沖縄方面根拠地隊隊司令官」であって、「××陸戦隊」
    >という名称の部隊指揮官ではありません。

    ここでは「建制」の「陸戦隊」を念頭に置いて書いていました。現地で陸戦隊を
    編成したとかいう話はまた別です。

    今泉 淳


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