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榴弾砲の弾種について質問です。 通常は弾底が平らなホローベース(HB)が使用されています。 長射程を狙った弾種としてRAPとBBがありますが RAP:炸薬量大幅減少 命中精度大幅ダウン BB :炸薬量若干減少 命中精度若干ダウン で、BBが今後の主流になる(なっている)というふうに思っていました。 ですが軍事研究2003年5月号のミリタリーニュースでフランス軍 155mm新型砲弾の記事があり ・HBであり、底部ネジを外してBBへの野外転換ができる。 と書いてあり、なぜ新型砲弾でもBBのみにしないのか疑問に思いました。 HBとRAPではそんなに大きく命中精度と炸薬量に 差が出るものでしょうか? それともBBのみに出来ない他の問題があるのでしょうか? タイ駐在員 |
- HBとRAPではそんなに大きく命中精度と炸薬量に・・・は
HBとBBでは・・・の書き間違いです。
推敲不足で申し訳ありません。
タイ駐在員
- 軍事研究の該当記事は読んでいないのですが、
該当の砲弾は下記でしょうか?
http://www.giat-industries.fr/asp/us/pdf/us_ftech_lu211.pdf
この砲弾の場合、HBで届く近距離目標に対してはHBの状態で、
BBが必要な長距離目標に対しては、BBに変更して射撃できる
という砲弾です。
基本的に、貴殿が仰る通り、BBよりHBの方が射撃精度も良好ですし、
価格も安価です。ですので、近距離目標に、わざわざBBを使わない
ですましたいという要求に応えるために、この砲弾が造られたと
いうことではないでしょうか?
いちのへ
- タイ駐在員さんの書き込みに対して気になるところが1〜2点ほど
あります。
>通常は弾底が平らなホローベース(HB)が使用されています。
これは違います。
Hollow Baseは、弾底くぼんだ構造です。
例えば、Hollow Baseでは無い普通の155mm榴弾M107は下記です。
・M107の断面概略図
http://www.fas.org/man/dod-101/sys/land/m107_usafas.jpg
・M107の説明
http://www.fas.org/man/dod-101/sys/land/m107.htm
底面が平らです。
Hollow Baseの155mm榴弾M795は下記です。
・M795の断面概略図
http://www.fas.org/man/dod-101/sys/land/m795_usafas.jpg
・M795の説明(構造についての解説などはなし)
http://www.fas.org/man/dod-101/sys/land/m795.htm
底面がくぼんでいます。
Hollow Baseにする理由は、弾丸には、ボートテール抵抗と呼ばれる、
弾丸の横を通過した空気が、弾底部で渦流を作り、圧力を低下させ、
大きな抵抗となる現象があり、これが従来の弾底部が平らな砲弾では
顕著だったのです。流体力学を考慮して設計されたHollow Baseにすると、
この抵抗が小さくなり、射程の延伸や、弾道の安定も図れるわけです。
あと、
>BBが今後の主流になる(なっている)
この認識も、必ずしも合っていないと思います。
いちのへ
- >3
便乗的で申し訳ないのですが、Hollow Baseを小銃弾には転用できないのでしょうか?
長距離狙撃やマッチ等でそれなりにニーズは有ると思うのですが…
nisi
- >4
拳銃弾の一部(ピストル競技用の鉛弾、ワッドカッター等)でホローベースが採用されている・・・というのはすでにご存じですよね?(笑)
現在のライフル弾(軍用・競技用)の主流はボートテール(弾尾を絞った形状)です(設問で書かれているBBってボートテール形状のことですか?)。ライフル弾はボートテール化による弾底部の空気抵抗低減→射程距離の延伸を重視したようですが、ホローベースが注目されなかった理由は不勉強でわかりません(;^_^A
ブラック・タロン
- 5>
BBは、Base Bleed(ベースブリード)の略です。
ベースブリード弾は、弾丸の底部にガス発生剤とノズルを設置し、弾丸が砲口
から飛び出した後、ガス発生剤が点火され、その燃焼ガスにより、ボートテール
抵抗を減少させ、射程の増大を図ったものです。なお、ロケットアシストとの
違いは、燃焼ガスの圧力が低く、加速されるまでにはいかない点です。
欠点としては、1)弾丸にガス発生剤を入れるため、相対的に炸薬の量が少なく
なり、通常の榴弾と比較すると威力が低くなる、2)ガス発生剤の燃焼の
バラツキの影響を受けるために射撃精度の低下する、の2点が上げられます。
いちのへ
- >>5
すみません、拳銃弾の方で採用済みとは知りませんでした<(_ _)>
ライフル用はおっしゃる通りその手の弾はHPBTが殆んどのようです。
HBを採用しないのはサイズがひどく異なるので作用の仕方が変わってくるのか
(レイノルズ数??)それとも単に製造上の問題なのかな、と思った次第です。
nisi
- いちのへ殿
ご紹介頂いた砲弾でビンゴです。
HBそのものを誤解しておりました。不明を恥じるばかりです。
つまり榴弾砲弾のトレンドとしては・・・
弾底が平らな弾種(FB?):通常型 射程小 炸薬量大 精度良好
RAP:射程延伸型 射程大 炸薬量小 精度悪化
BB: 射程延伸型 射程大 炸薬量中 精度若干悪化
HB: 汎用型 射程中 炸薬量中 精度良好
であり、使い勝手が良くコストが安いHBが主流になる(BBは長射程
が要求される特殊な状況でのみ使用)という理解で宜しいでしょうか?
でもこれだとBBはMLRS辺りに食われて需要が広がらないような
気もしますねえ。
タイ駐在員
- >5.拳銃弾の一部(ピストル競技用の鉛弾、ワッドカッター等)でホローベースが採用されている
これは、空気抵抗(弾底部渦流)問題より、飛翔中の空力中心(重心も)を出来るだけ前方に持って行きたいからだと
思います。
>5.7. ライフル用ホローベース弾(弾底部渦流対策弾)
確かに珍しいですが、過去にありました。
例えばレミントンのハンティング用ロングレンジ弾。 ”PowerLokt HollowPointBullet”
うたい文句ほどの効果無く、コスト高になるだけなので、数年前に生産中止したみたいです。
現在のカタログラインには存在しません。 画像掲示板2. NO.1636 に断面画像UPしときました。
現在のハンティング用ライフル弾お尻形状は、フラットベース、ボートテール 半々ですね。
ミリタリー用は、ボートテールが主流ですね。
軌跡の発動機?誉
- >9
存在はしてたのですね。ありがとうございます。
nisi
- タイ駐在員さん>
>弾底が平らな弾種(FB?):通常型 射程小 炸薬量大 精度良好
>RAP:射程延伸型 射程大 炸薬量小 精度悪化
>BB: 射程延伸型 射程大 炸薬量中 精度若干悪化
>HB: 汎用型 射程中 炸薬量中 精度良好
>であり、
同重量の砲弾で相対的に比較するということで、下記のような感じかと。
威力:FB=HB>BB>RAP
射程:FB<HB<BB<RAP
精度:FB=HB>BB>RAP
価格:FB=HB<BB<RAP
ただし、=は、ニアリーイコール(だいたい同じ)と見てください。
>使い勝手が良くコストが安いHBが主流になる(BBは長射程
>が要求される特殊な状況でのみ使用)という理解で宜しいでしょうか?
実は、私にも判りません(深謝)。世界的には未だFBの備蓄の方がHB
の備蓄よりも多いのではないかとは思っています。
また、今後、イラク戦争以上の戦争が起こるとすれば、無誘導のFBや
HBが大量に使われる可能性もあるとは思います。
一方、イラク戦争のような戦争ですと、RAPにして長射程を得、精度は
誘導で補うとか、カーゴ弾(クラスタータイプの砲弾)で、威力範囲を
広くするとかの方法が主流になる可能性もあります。
あと、主流というのものがあるのかないのか、どんなもんなんだろなあ、
なんて思ってもいます(笑)。
あと、「ボートテール抵抗」って、弾道学的な用語ですと、「弾尾吸引力」
だったと記憶しています。こっちの用語の方が適切かもしれません。
いちのへ
- 1 日本ではFBの生産は続いています
2 今後の傾向として射程の増大は弾丸ではなくて
砲で稼ぐのではないでしょうか?
99式HSPではRAP弾と同等の射距離を得ています
3 しかし、現行の砲がある限り
RAP弾BB弾はなくならないと思います
4 ちなみに日本では203HのRAP弾の生産は終了しています
ammo
- いちのへ殿
分かりやすい御回答ありがとうございます。
理解が深まりました。
ammo殿
火砲更新で性能目標を達成できればFB又はHBで対応し
現用で達成できない分はRAP又はBBで(火砲更新まで)凌ぐ
という感じでしょうか。
どちらにしても装備各国の性能目標と更新日程(もしかしたら用兵思想も)
に大きく左右されていそうですね。
203HのRAP生産終了はMLRSに任務を引き継いだからとも考えられますね。
タイ駐在員