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初めて質問させていただきます。 とある本で、三八式歩兵小銃はグラマンを落としたことがある小銃という記述があったのですが、これは本当にあったんでしょうか? その本では、機銃掃射を仕掛けてきたグラマンに、とある歩兵が逃げながら小銃を撃つとそれが偶然パイロットに命中し撃墜したと書かれていました。 横好き |
- ・まず「逃げながら対空射撃」という行為が実行可能でしょうか。向かってくる機影を認めて駆け出し、掃射弾着のなかで立ち止まり、構え、狙い、撃つことが可能でしょうか。
・まぁ仮にそういう事例があったとして、掃射直後に敵機が墜落したとしましょう。この場合、本当にその兵が撃った一発の弾で撃墜したという証拠はあるでしょうか。
・その敵機に向かって撃たれた弾は、その兵士が撃った一発だけだったのでしょうか?周囲からも撃った奴がいたかも知れないし、対空機銃も撃っていたかもしれないし、掃射に入る前に高射砲弾を食っていたかもしれないし、離脱時に鳥を巻き込んだのかも知れませんよね。
・「パイロットに命中して」撃墜したのならば、機体は(滑り込んで不時着せず)地面に激突して黒焦げのバラバラになっているでしょう。わざわざ残骸を掘り出し、ペシャンコになった遺体の傷を確認して「38 式歩兵銃の 6.5mm 弾が頭部を撃ち抜いて即死している」と確認したのでしょうか?
こういう話はいわゆる都市伝説のようなものでしょう。「機銃掃射を受けた兵士が闇雲に小銃を撃たら(弾が当たったかどうかはともかく)敵機が落ちた(らしい)」という事実があって、そこから「グラマンを一発で落とした」「パイロットに直撃していた」などの尾鰭が付いてできた話ではないかと思いますよ。
ささき
- なお低空での機銃掃射においては、自ら撃った弾が地面で跳ね返って空中に舞い上がり、そこに突っ込んで「自分で自分を撃墜する」事例が少なくないという事を追記しておきます。
ささき
- グロースドイッチュラント師団写真史(大日本絵画)には、上空を通過する敵機(連絡機か偵察機らしい)に小銃を向けている歩兵部隊の写真があります。
キャプションに寄れば、士気と積極性を維持するために兵士は対空防御に積極的に参加すべし、とドイツ陸軍は考えていたとあります。
んが、このキャプションの冒頭は「ウズラ撃ちの猟師さながらに」との記述で始まっており、歩兵用の小銃でも500m以内なら敵機に損傷を与えることは「理論上は」可能であった、兵士たちは射撃の腕試しの最中だが純粋に気晴らしであると記すなど、なにもやらないよりはマシですよ、ということが繰り返し強調されています…。
対地攻撃用の襲撃機か戦闘爆撃機であれば、散開もせず遮蔽も取らずつっ立ったまま空に小銃を向けるなどと言うことはちょっとできないんじゃないかなぁと想像する次第です。
直接的な回答ではありませんが、こういう事例もありましたよ、と言うことで。
ヒロじー
- 余談。38式歩兵銃の後継である99式小銃は、照尺(起立式リア・サイト)が『対空射撃用』としても使えるように設計されていました(照尺の左右に折り畳み式の棒が備えられており、対空射撃時に広げて使う)。もっとも、歩兵用ライフル程度で対空射撃をやっても所詮気休めにしかならないのはすでに上でレスが付いている通りですが・・・
>上空を通過する敵機に小銃を向けている歩兵部隊の写真
甚だしいのでは上空に向けてPPSh41サブマシンガンを構えて対空射撃と称している旧ソ連軍の写真がありました(笑)
ブラック・タロン
- 余談ですが、ちょうど10年前の話で申し訳ありませんが、色んな統計の分析をやっているという陸自の人と話をしていたら「戦闘ヘリと戦車は?:?」(詳細忘れました)で、小銃(まだ64式の事を言っていたと思う)弾なら40000発で航空機1機と言っていました。戦闘機か輸送機か知りませんが、10年前の陸自は統計的に40000発の7.62mm弱装弾で飛行機落とせるという認識だったとおもいます。まぁ確かに、1000人ぐらいが一斉に集中して撃てば低空の攻撃機ぐらいは落ちるかもしれない・・・・
今はどうかしりません。
>>甚だしいのでは上空に向けてPPSh41サブマシンガンを構えて対空射撃と称している旧ソ連軍の写真がありました(笑)
いや、やってるひとは本気で落とすつもりだったとおもいますよ〜。届かないのに気づいてなければ。
どうも
- ごみレス。映画ネタですいません。
『パットン大戦車軍団』の1シーンで、超低空で機銃掃射してくるドイツ軍機に向かって、パットンが自慢の拳銃を撃っていました。
OPD
- 九九式小銃の「対空表尺」を使っての射撃は集団で一目標を射撃するように指導されています。歩兵が飛行機に対抗する手段として全く無意味な装備だった訳では無いようですね。
BUN
- 私も映画ネタですが…。
「イントルーダー/怒りの翼」というアメリカ映画でA-6攻撃機のナビゲーターにベトコンの撃った小銃弾が当たる描写がありました。
また国産の某戦争漫画でも同じ様な描写を見た事があります。
質問者さんの日本兵に件に限らず世界的にみて撃墜までいかなくても航空機の乗員が小銃弾によって死傷したという事例はないのでしょうか?
まるに
- >8. 小口径弾の「まぐれ当たり」による被害の実例はあると思います。しかしその弾が歩兵銃から発射されたものなのか、対空機銃弾幕の一発が当たったものなのか、それを特定するのは不可能に近いのではないでしょうか。
ささき
- >8
フォッケウルフFw190F/G型がコクピット下面に貼った増加装甲やIl-2シュトルモヴィクの機体下面装甲の厚さが6〜8mm、すなわち小銃弾クラスからの防御を想定していることから考えて、パイロットの死傷も含めたチープキルはそれなりの脅威と認識されていたものと思われます。
Schump
- 丸か何かでグラマンに襲われたので38式で撃ち返したところ落ちたものをそのまま牛車かなにかを引いて道をいそいだらその機体が有り調べたところパイロットに当たっていたという同行者の手記を読んだことが有りますが出典は判りません。(たいした物だって誉められた本人もマグレだと有る程度判っているので複雑な感じだったようです)ビルマでも同様な1発撃墜の例があるそうです。
また、ガ島への上陸時の回想で部隊が小銃や軽機で応戦して何機か落とした場面を描いている物もありました。
???
- たくさんの回答ありがとうございます。
横好き
- 私の父は学徒動員で宮崎の海岸で毎日塹壕堀りをしていたそうですが、上空を通過するグラマンを38式で撃ったこともあるそうです。が、一度も当たった事がなかったと言ってました。銃の使用は個人では出来ないので、恐らく上官の指示で一斉に撃ったのでしょうが。また機銃掃射を体験した人(民間人)の経験談では、とにかく恐怖で、逃げることしか出来なかったようです。
TS
- 父の部隊(近衛師団)では擲弾筒で実際に英軍機(機種不明)を撃墜した
そうです。
父が実際にみていたので間違いないといってました。
英軍機が機銃掃射を繰りかえしてたので中隊の全火力で空中の一点を
ねらって指揮官の命令でいっせいに撃ちまくったら、英軍機が運良く
その火点にとびこんできたということです。
当時かなり話題になったそうです。
擲弾筒をあてたのは中隊で一番の擲弾筒の名人といわれた人だったそうです。
父もあとにもさきにもあんな光景ははじめてだったといっておりました。
wittmann
- >14. 貴重な証言ありがとうございます。信じられないような話が実際にあるものなのですねー。
ささき
- 前にもここに書いたので繰り返しになりますが、文献[1]にそのようなことが
あったかのような記述があります。あるいは、質問者の方が読まれたものと同
じかも知れません。また、同書[1]によれば、「このほかビルマでも起こって
いる」と記すところがあります。これらは、すでに寄せられている回答の一つ
とも一致します。
これらに関する真偽の程は小生知るところがありませんが、とりあえず参考ま
でに。
ちなみに、「何に書いてあったのか」を明示することで、議論の起点を大幅に
結論や収束点に近づけること、あるいは議論の方向を統一できる可能性もある
ように思いました。
[1]児島 襄,天皇と戦争責任,文藝春秋,1991
今泉 淳