2032 |
今回は一式拳銃についてご教授願います。 1、この銃の口径についてある本では0.38ACP(?)また有る本では7.65mmと解説されていましたが実際のところは○×○弾なのでしょうか? 2、作動方式についても記述に相違があり、片方では銃身固定反動利用円筒式、もう片方は吹き戻し式と有りましたが、字面とベースとなったFN M1910から察するにブローバックでよいのでしょうか。 他に何かこの銃について特筆すべき点などありましたら教えてください。 紅葉饅頭 |
- .32ACPでしょう…
1.スライド側面に「7.65m/m」と刻印の入った写真がありますし、
逆に.380ACPと云う記述にはお目に掛かったことがありませんが…
でも.380ACPが「絶対に無かった」と云う証明も難しいですけどね!
2.特許の図面を見る限りは単純なブローバックで良いと思います。
但し銃身の固定方法はFN M1910の様に軸線方向に回転させて分解するのでは無く、
フレームにアリ溝で固定されていて、分解はフレーム後端の「遊底浮上止」にて行います。
ある本ではコッキングインジケーターを備えている…との説明がありますが、
分解図&写真を見る限りは上記「遊底浮上止」のリテーナーを誤認しているかと思われます。(私見ですが…)
4〜5000丁生産されたと言われており、「浜田式」以外に「日本銃器株式会社製」の刻印の物もありますが、
それぞれの生産数量の内訳にはお目に掛かった事がありません。。。
papanambu
- わしの手元の本(日本の陸軍歩兵兵器:兵藤二十八著)でも『1式拳銃にはコッキング・インジケーターがあった』とされています。これ以外の資料が乏しいので真偽は不明ですが・・・
1式拳銃の製造数ですが、手元の本(GUN用語事典:国際出版刊)では昭和18年までに約3,000挺という数字が出ています。なお、2式拳銃の製造数については昭和18年〜終戦までに約5,000挺という数字が上の兵藤氏の著書にあります。
ブラック・タロン
- ちゃんと出典を明示されるブラック・タロンさんに敬服致します。(エライ!)
当方の出典は30年程前のGUN誌の二式拳銃のレポートで、設計者である浜田文次氏のインタビュー記事からです。
ちなみにこの記事では二式の生産数は1500丁余りとなっています。
papanambu
- papanambuさんが詳しく解説なさっていますので、私は補足程度にします。
A.当時の帝国陸軍として回答した場合。
1.使用弾薬・・・・7.65粍拳銃実包です。
2.作動方式・・・・銃身固定反動利用円筒式(無閂子式とも言う)です。
B.現在の眼で回答した場合。
1.使用弾薬・・・・.32ACP弾です。
2.作動方式・・・・包底圧利用式(単純吹き戻し式,ストレートブローバックとも言う)です。
作動方式について解説。・・・・
紅葉饅頭さんが、指摘する”銃身固定反動利用円筒式”と書かれている書物は、佐○○郎著「小銃・・・・入門」の事と
思いますが、これがちょっと罪作りなわけです。
現代の大抵のガンマ二アなら知っているストレートブローバック方式の事を、帝国陸軍造兵関係者はやや間違った概念で、
”銃身固定反動利用円筒式”と称していました。
つまり旧軍造兵関係者は、ロッキング機構がない銃身固定方式の物でも
「弾丸が飛び出る反動・反作用で直接、円筒(ボルト又は遊底の事)が後方に動き、自動装填排莢するもの。」と考え、
”反動利用”の言葉を付けています。
実際の理論は反動ではなく、主に包底圧つまり燃焼ガス圧力により薬莢が後方へ押され→円筒は後退しています。
そして、この本は、昔の造兵関係者の用語をそのまま引用してしまいました。 100式機関短銃の項でも、
最後の方に同一用語を書いてしまっています。 現在の眼で見たら”包底圧利用式”の事である解説が必要と思います。
使用弾薬について解説。・・・・
”1910年式9粍拳銃実包(.380ACP弾:ブローニングショートの事。パラベリューウムではない)”を
軍用として想定するとは考え難いものです。
何故なら、戦前の日本では、この9mmブローニングショート弾の大掛かりな弾薬製造設備は存在していない筈だからです。
世界的に見ても9mmブローニングショート(.380ACP)が一般化したのはWWII戦後の事と考えます。
戦前の日本で拳銃弾のまともな弾薬製造設備は、”7.65mm拳銃実包”と”14年式拳銃実包(8mm南部)”、
”南都式7mm実包”、なんと”26年式けん銃実包”も、そして民間用で”6.35mm拳銃実包(.25ACP弾)”
が存在していた程度だと私は考えております。
蛇足。
>1.ある本ではコッキングインジケーターを備えている…との説明がありますが〜
>2.わしの手元の本(日本の陸軍歩兵兵器:兵藤二十八著)でも〜
兵藤二十八氏の著書の他にも、小○良夫氏の「世界のピストル1」でも記述されていますが papanambuさん同様、
遊底分解ラッチと思います。
以上 書評をしたつもりはありませんし、単なる個人の私見とお考え下さい。
軌跡の発動機?誉
- 回答ありがとうございます。
>軍用として想定するとは考え難いものです。
>何故なら、戦前の日本では、この9mmブローニングショート弾の大掛かりな弾薬製造設備は存在していない筈だからです。
むしろそうなると.380ACPの方が確立が高くなってしまいそうです。なぜなら、今回質問するにいたり参考にした本は誉さんにご指摘いただいた本と、デルタ出版から出ている「日本軍兵器総覧」という本なのですが、この本の二式拳銃の記述で、
(前略)
この銃は、口径0.38ACP弾を使用している。「一式拳銃」の名称で大戦初期に軍部が大量に買い上げ、戦車兵、航空兵等特殊兵科に支給した。しかし、戦争中の兵器生産体制は現用兵器優先の生産体制となり、0.38ACP弾薬の製造が打ち消されてしまった。これにより浜田銃器研究所は昭和17年に8mm南部実包を使用する自動拳銃を製作した。これも軍に納入されて二式拳銃という名称が与えられ〜
(後略)
と、二式拳銃開発の要因として実包の生産停止を上げています。が、ブローニングM1910など.32ACP弾ユーザーの多い日本軍が.32ACPの生産を止めるとは思えませんし、むしろ誉さまの記述にしたがえば.380ACPの方が有りそうな気がします。この記述自体が誤報なのでしょうか。
紅葉饅頭
- >5.に回答
papanambuさんが >1.で「スライド側面に「7.65m/m」と刻印の入った写真がありますし・・・」とレスしている様に
(私も恐らくそれと同じあろう写真を知っています。)、.32ACP弾仕様の銃が確実に存在する事には触れていませんね。
papanambuさんが次に言う 「.380ACPが「絶対に無かった」と云う証明も難しいですけどね!」に私も同意ですが、
あの”一式拳銃”のマス(サイズ・重量)で.380ACP弾を発射するには無理があります。スライド重量がもっとほしいです。
世界に行き渡る”プローニング1910&ワルサーPP系”も.380ACP弾仕様が存在するも、主口径は.32ACP弾です。
「日本軍兵器総覧」の口径0.32ACP弾→0.38ACP弾とした誤植ではないでしょうか。
情報元がはっきりしているのなら、このAnsQに質問するより、そちらの出版社・著者に質問される事をお勧めします。
ちなみに戦後開発のニューナンブM57Bも口径は.32ACPですね。
日本において、今も昔も.380ACP弾の本格的製造は聞いた事がありません。
それとも又々私の勉強不足かな!?
〜?誉
- 現代軍用ピストル図鑑によると.32ACPの初活力は196ジュール、8mm南部が285ジュールで、.380ACPが260ジュールとあります。
1式の.32ACPが威力不足の為、8mm南部が使える2式が開発されたと云う経緯を考えると、誉さんが言われる様に、
.380ACPを使うには2式並のスライド重量が必要になるかと思われます。
そもそも1式に.380ACPがあったなら、ちょっと強力なだけの8mm南部を使う2式をわざわざ開発する理由も無い様な気もします。。。
ところで誉さん…世界兵器図鑑(日本編)のに掲載されている1式(浜田式)の写真ってちょっと変わっていますね?
1)スライドの指掛けの溝が6→7本と1本多い。
2)スライド後端が斜めに傾斜している。
3)グリップがフレーム後面まで回り込んでいる。(様に見えるだけ?)
4)トリガーが前方に長い。
5)銃口部が少々短い??
他にこれと同じ特徴を持った写真等ってご存知でしょうか?
papanambu
- >7.papanambuさん 疑問写真
その写真は、初期試作品と考えられます。
画像掲示板2 NO.1576に関連画像と一緒に解説しました。
紅葉饅頭 さん これで満足して頂けましたか!!
〜?誉
- 御礼遅くなって申し訳ありませんでした。
画像確かに拝見させていただきました、確かに7.65mmと彫ってありますね。一式が二式へと改良された理由は本当は.32ACPの威力不足によるものだったのですね、そうするとなんでブローニングM1910等の.32口径拳銃がはやったのかという別の疑問が浮かんでくるのですが(笑
すっきりしました、ありがとうございました。
追記:一応確認のために出版社に電話してみようと思います。
紅葉饅頭
- >8 誉さん。。。その写真です!
1式と呼称される前は「浜田式」だったので、スライドの刻印からも初期型かとは思っていましたが、やはりそうでしたか…
しかし1式の分解写真は初めて見ました。貴重な情報をありがとうございました。
(画像掲示板とは便利なものですね!これの存在も今回初めて知りました。)
papanambu