1988 |
HEAT弾頭等で使用される金属ライナは、ほぼ銅製で占められているとのことですが、 これは如何なる理由からでしょうか? ご教授していただければ幸いです。 祟 |
- HEAT弾頭に使用される金属ライナですが、ちょっとした製造時の誤差により、
装甲貫徹力が大きく変わってしまうとの事です。
その為、加工しやすい銅が材質として、一般的に使用されているそうです。
ただ、旧ソ連時代に装甲貫徹力を重視し、金属ライナの材質に通常の徹甲弾と同じ
タングステン・カーバイト(タングステンの合金)を使用していた事があったそうです。(現在も使用しているかは不明です。)
それと、製造コストの点でも(資源の入手し易さ&加工し易さetc)銅が一番良いみたいです。
しゃあ・アズナブル
- あとは、安定したメタルジェットが作れる高延性も銅が主流になっている一つです。
自分の持っている資料では、コストを考えない貫徹力だと、銅、銀、金、タングステンの順番になっています。
ロシアの125mm砲用HEATには主コーンに劣化ウランも使用している様です。
はいどーも
- >2 便乗質問をご容赦下さい。
劣化ウランはAPFSDSに使用したときの着弾時自己発火性ぐらいしか
メリットが無いと思っていましたが(あとコストぐらい?)、HEATだと
メリットは何なんでしょうか?既に燃えているから自己発火性は関係なさそうですが?
タイ駐在員
- HEATのコーン材料として最適なのは高密度かつ高延性にあるようです。
劣化ウランは高密度(比重は銅のほぼ2倍)なので、高延性を持った合金に出来れば非常に貫徹力が増すのではないでしょうか。推定ですが。
実際に使用されているのかはわかりませんが、貫徹力を増すために、銅のコーンにタングステン(比重は銅のほぼ2倍)をコーティングしたものも研究されていた様です。
はいどーも
- HEAT弾の場合、目標に命中した際に炸薬が爆発し、
そのエネルギーでメタルジェットを形成するのですが、
120mmクラスになると、炸薬が爆発する際の爆風等の効果が
それなりに期待出来るそうです。
その為、英国等以外では、一種の多目的弾として多用されているようです。
尚、劣化ウランの着弾時の発火ですが、装甲板等に命中して飛び散った破片が
引き起こすそうです。
その為、トラック等の軟目標に対しては殆ど効果が有りません。
(そのまま突き抜けるだけです)
以上の理由から、敵がどの様な存在か(戦車なのか、歩兵なのか)不明
又は、不意な遭遇に対処する為にも、HEAT弾を取り敢えず装填しておくことが
多い様です。
しゃあ・アズナブル
- なるほど、コストと高延性がその主たる理由なのですね。
大変参考になりました。ありがとうございます。
祟