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先日の九二式重機スレッドで思いついて今思い出したことなんですが・・・。 「狙撃」という攻撃方法はよくよく考えれば『一発必中』ではなく、『一撃必殺』であればよい、ということで、何も高い高精度ライフルと特別な人員をもちいてしなくても、SAWor軽機or重機に望遠眼鏡を取り付けて点射をして敵重要目標の無力化を図ったほうが実は有効なのではないでしょうか? 紅葉饅頭 |
- この考えに対する裏づけとして、
・英国のブレンの射手は主にセミ・オートでの正確な射撃を訓練されたこと
(これのネタは下でも書いた第二次大戦歩兵小火器 ジョン・ウィークス著ですがさすがに元教官が自分の国の
訓練方法に間違いを記したりはしないでしょう)
・最近の狙撃兵は狙撃手、それにバックアップの軽機、小銃の三人でチームを組んで行動すること
(つまり元から機銃手がそこにいるのだからそこから転用すればよい)
・単純に考えて機関銃とは長距離撃てるショットガンみたいなものだから命中率UP
・これなら.223でもOKか?
紅葉
- 別に正面からの打ち合いだけならそれでもいいかも知れんのですが、狙撃っつーのは潜んで撃つってパターンもある訳でして。
見える機関銃で狙われるよりも、見えない所から狙われる方が怖かったりする訳ですからね、どっちの手段が有効かってのはその時々の状況によるんじゃないですか?
ooi
- その考えによれば長射程で威力半径の大きい榴弾を放てる小口径砲のほうが機関銃より良く、榴弾を連射できる機関砲ならもっと良い…と話がエスカレートしてゆくわけです(笑)。からかっているのではなく、実際にそういう流れの兵器もあったんですよ。第一次大戦では狙撃砲と称する 37mm 級の軽砲が各国で開発されています。これは歩兵にとって目の上のコブだった機関銃座をアウトレンジし破壊する目的で作られました。また 1930 年代に開発された 20mm 級対戦車ライフルには徹甲弾だけでなく榴弾を撃てるものもあり、狙撃砲的用途も兼用していたことが伺えます。しかし、何故これらの重歩兵火器が廃れていったのでしょう?
ささき
- >3
最近遠距離狙撃用の12.7mmでも旅客機のコクピット内に立てこもったハイジャック犯だの車輛で移動中のテロ屋だのを撃つのには荷が重くなってきたのか、20mmクラスの狙撃銃(アンチ・マテリアル・ライフルといいながら人を撃つつもりの)が市場に出てくる動きがありますね。
Schump
- >見える機関銃
これってどういう意味でしょうか? 連射すると発見されるということでしょうか、ならば三点射程度なら大丈夫ではないでしょうか。それともばれちゃうものなんでしょうか、やっぱり。
>3
似たようなことがフォークランド紛争でもありましたね。
ア軍が英軍の射程外から撃てるM2重機で狙撃し、さらにその対抗策として英軍はロケットランチャーで・・・、というふうに。
>何故これらの重歩兵火器が廃れていったのでしょう?
「狙撃」という手段はハードにいくらでも頼って能力向上できる物だと思います、でも今ソフトたる人間の技術に比重が傾いているのは、それによって
あまりにも究極的に狙撃に特化したがためにそれ以外の動作(すばやい移動、大口径化した弾薬の移動等)に不都合を生じるようになったため、というのではいかがでしょうか。
でも、私が言いたいのはそこまで特化させることではなくてちょっとステップアップしてみたらどう?ということなんです。前述のとおり狙撃兵には軽機関銃手が追従している(=できている)ので狙撃任務に今以上の支障が出ることはないでしょうしその他動作との両立が可能、だとおもいます。そして命中率アップ、とても合理的だと思うのです。それ以上を求めるのでしたら一次戦のときにはなかった肩撃ちしきの携帯重火器がありますし、そっちに任せるなり航空支援を求めるなり分隊で攻撃するなりすればいいと思います。
紅葉饅頭
- 確かに「SAWor軽機or重機と狙撃兵のコンビネーション」というのも現実にはあります。狙撃兵が標的を曳光弾で撃った後に機関銃を撃つ、などというように。しかし、「高い高精度ライフルと特別な人員」は決して無くなりません。彼らでなければこなせない任務があるからです。
狙撃の正確さ、距離、そして隠密性など、多くの要因で「高い高精度ライフルと特別な人員」がいたほうがいいと判断されているのです。機関銃やSAWでは、高精度なライフルの仕事はできないことがある訳です。
そもそもスナイパーライフルと同等以上の高精度の機関銃やSAWなど絶対ありえません。だからこそ「狙撃手、それにバックアップの軽機、小銃の三人」というチームも存在しているのです。機関銃の点射ではできないことを狙撃兵が行い、狙撃兵単独ではできないことを他の要員が行うのです。
また、隠れた場所から狙撃する狙撃兵の任務があることを考えると、機関銃の類ではライフルの代わりになりません。
町田
- 個人火器であるライフル(狙撃銃含む)と機関銃という支援火器とでは、その目的及び射程が異なるものと考えます。
紅葉饅頭さんが、英国陸軍を題材にしていますので、以下の文章を私からの回答とします。 各自、翻訳して下さい。
Royal Military College of Science,UK.に所属した、とある砲術科教授の本
(Brassey's Essential Guide to Military Small Arms:1997年より)
"Crew-served weapons"
"Crew-served weapons" are intended to engage those targets within the sector of operation that cannot be neutralised by individual weapons.
They consist of "basic-support weapons" and "fire-support weapons".
"Basic-support(Crew-served) weapons" are those employed by the squad (platoon) to defeat group and lightly protected targets in battle.
They are usually operated by a crew of two men,the gunner and loader.
The majority of these are small calibre automatic weapons.
"Fire-support weapons" are intended to engage similar targets to "basic-support weapons",but have greater maximum range,they are the means by which companies and battalions provide support to advancing combat formations.
近年の超高性能狙撃ライフルや、アンチマテリアル・ライフルの登場は、これらの概念の想定外の出現であり、
武器の日進月歩の発展は、従来の定義や使用目的を複雑にしますね。
軌跡の発動機?誉
- >5
>ア軍が英軍の射程外から撃てるM2重機で狙撃し、さらにその対抗策として英軍はロケットランチャーで・・・、というふうに。
そうなんです。そうなれば大砲が出てくるのは時間の問題なんです。射程と威力と精度だけを問題にするなら、大口径のほうが良いに決まっているんです。
>すばやい移動、大口径化した弾薬の移動等)に不都合を生じるようになったため
えぇ。そして大砲に機動力を与えるべく生まれたのが戦車でした。そして一旦戦車が登場すると、歩兵が人力で動かす重火器の殆どは存在意義を失ってしまったんです。
>ステップアップ
大昔のスナイパーは単独行動、それが短機関銃を持ったバックアップとの2名チームとなり、それが軽機を含む3名チームとなったのはまさにステップアップではないでしょうか。
狙撃兵のプライマリー・ウェポンが昔と変わらぬボルトアクション・ライフルなのは、彼等の任務の特殊性と関係あるでしょう。機関銃で初弾命中は狙えません。点射とは結局散布界射撃にすぎず、点射を繰り返して照準修正緒元を掴み、目標範囲を包むのが機関銃の射撃です。相手が重要人物であった場合、有効弾を得る前に逃げるか隠れるかしてしまう公算が大ですよね。
また心理戦に投入する場合も、狙撃兵が「一発づつしか撃たない」「撃てば必ず当たる」ということが意味を持ってきます。何処に居るのか、誰が狙われているのかわからない恐怖、頭を上げた瞬間に撃ち抜かれるかも知れない恐怖です。初弾命中を期し得ない機銃ではこういった心理効果を期待しにくいのではないでしょうか。
もしそれなりに軽くて、ボルトアクションと同等の命中精度を持つ機銃が出来たら話は違うかも知れませんね。
ささき
- 歩兵狙撃に投入できるような機関銃は、つまり重機関銃なんですよ。その重量と三脚が高い射撃精度に繋がってます。
また初撃命中はささきさんと違って殆ど確実でしょう>照準精度が同等なら一度に三発撃つのと一発ではどっちがあたるか考えるまでも無い。
ただ、これが軽機関銃になったら安定した射台を持たないのですから、狙撃銃にも重機関銃にも劣る事になるでしょうね。
更に、狙撃が数百メートルでの敵集団・陣地に対する制圧を狙った行動なのか、要人・犯人を一発で殺す行動なのかでも変わってきます。
現在のボルトアクション小銃による狙撃は要人・犯人を一発で止める方ですから、機関銃でバーストさせるのは色々と問題でしょう。
反対に陣地狙撃用途なら各種の火砲も状況次第では導入できるし、そもそもボルトアクション小銃に多くを期待してませんから、どうでも良い事です。
軍の狙撃銃チームの利点は歩兵分隊のような規模のチームにも追随できるという点にもあり、それは重機関銃や各種火砲ではちょっと厳しい訳です(そして重機関銃を歩兵小隊に追随させた日本軍重機関銃班は米軍の倍以上の人員を使う事で達成させており、現状では出来る事ではなく、それは他の火器でも同様でしょう)
火力(命中率)だけではなく、それをどのレベルの部隊で達成可能なのか、つまり通用する性能(この場合は実用上十分な射程での対人殺傷機能)を最大多数(この場合は小規模のチーム・部隊で構成)する組み合わせとしては何がベストなのか、そういう話になるのでしょう。
恐らく3人も狙撃チームに使うなら、なんかもっと別なこともできるようにしたいとか、そういう事を考える組織も出てくるかもしれません。例えば三人とも半自動小銃ベースの狙撃銃になっちゃうとか(笑)
結局、その組織が「狙撃」という行動をどう考えているか、そしてそれに投入するリソース配分をどう考えてるかで変ってくることでしょうね。
SUDO
- 構造面で考えると、現存する機関銃の大多数はボルトの冷却を考慮してオープン・ボルトになっている点がボルト・アクションの狙撃銃に比べてマイナスに作用すると思われます。この辺は上の各氏の書き込みでご想像が付くかと思いますが・・・
過去に狙撃的用途に使われたブローニングM2は重機関銃でしかもクローズド・ボルトですね。
ブラック・タロン
- >>見える機関銃
>これってどういう意味でしょうか? 連射すると発見されるということでしょうか、ならば三点射程度なら大丈夫ではないでしょうか。それともばれちゃうものなんでしょうか、やっぱり。
ばれちゃうもんだし、そもそもSAWや軽機は狙撃銃とは性質が違うわけでして、軽機関銃ってのは狙撃銃の援護に使うのが関の山です。>ましてや一人で取り回す軽機は。
そこのあたり、SUDOさんやささきさんが詳しく書かれていますので、そちらを読んで頂いた方がよりわかりやすいかと思います。
ooi
- ありがとうございました
紅葉饅頭