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1757 第二次大戦中に使用されていた魚雷は、何を動力として推進していたのでしょうか?それと、魚雷を撃ったあとに引く雷跡はなぜ発生するのか、教えてください。
シンタ

  1. 第二次大戦中でも、ドイツ製G7e型魚雷等の例外はありますが、当時の魚雷の構造は最前部には炸薬と信管、その後ろに本体の約半分の容積を占める空気ボンベ、そして推力を得る為の内燃機関となります。
    つまり魚雷を撃った後の航跡はエンジンの排気ガス、正確には空気の中に含まれる窒素ガス(窒素は燃えない上水に溶けにくいためそのまま海面にのぼぼる)ということになります。

    YAS

  2.  うーん、内燃機関と言えなくも無いんだけど、外燃に近いような・・・。
     主だった魚雷の動力は、魚雷内部に溜め込まれた空気をベースとしています。
     初期の魚雷(19世紀末)のものは空気ボンベから噴き出す空気の力でスクリューを回してました(噴き出した空気はそのまま海中に出るので空気の泡を引きます)これを冷走式と言います。
     次に、この噴き出す空気を使って燃料を燃やし、その燃焼ガスでスクリュー動力にするものが登場します。一般的には熱走式と言い、また後述するタイプと区別するために乾式とも言います。
     これは紛う事無き内燃機関です。
     この場合は燃焼させた排気ガスを海中に捨てるので、やっぱり空気の跡を引く事になります。
     この次に登場したのが湿式と呼ばれるもので、燃焼ガスに水を吹きかけて、水蒸気を発生させ、それを動力として用いるものです。普通の蒸気機関と異なり、水蒸気と燃焼ガスのまぜこぜになったものを動力源としてますので、内燃機関でもあり外燃機関でもあると言えるかもしれません。
     この場合、排出されるのは水蒸気と排気ガスになります。ただし水蒸気を発生させる段階で燃焼で生成された二酸化炭素は水蒸気に溶けるので排出されるのは窒素が殆どになります。
     また同程度の推進エネルギーを発生させる場合、当然ですが、乾式よりも湿式の方が排気ガスは少なくなります(空気・酸素あたりの発生エネルギー量が湿式の方が大きく、また二酸化炭素は排出水に溶けるので見えにくい)
     こうして発生させたエネルギーはつまり強烈な気体の膨張エネルギーで、レシプロやタービン機械が、この膨張機体をスクリューの回転エネルギーに変換しています。
     また、主要海軍国では電気モーターを動力とした魚雷も多数用いていました(日本や米国でも電気魚雷は潜水艦で運用しています)
     第一次大戦時には、冷走式、乾式、湿式が用いられ(冷式は旧式でしたが結構多用されてます)第二次大戦ではほぼ完全に電気式と湿式になっています。
    SUDO

  3. 日本海軍の酸素魚雷は空気の変わりに酸素を使うので、ほとんど二酸化炭素しか排出せず、雷跡が見えにくかったらしいです。
    きっど

  4. ちなみに第二次大戦時の各国湿式熱走魚雷の燃料は、概ね灯油(ケロシン)を使用しています。
    第一次大戦頃まではガソリン機関の魚雷もありましたが、ガソリンは揮発性が高くて事故を起こしやすく、発生熱量も灯油に劣るため、着火法の改善とともに使われなくなりました。


    まなかじ

  5. ドイツでは酸化剤に過酸化水素を使った魚雷が研究され、それが発展してワルター機関となった、とか。

    ロシアの原潜クルスクは、搭載魚雷から漏れた過酸化水素が原因の爆発により沈没した、との報道があります。
    http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/article/gensen/2002/0220.html
    OPD

  6. 潜水艦の酸素魚雷は出航前に酸素を圧搾充填する方式で、漏れる酸素の為内部の機関が錆び付いて使い物にならなかった、というのは本当でしょうか。
    にも。

  7. 過酸化水素を酸化剤として使った魚雷には米軍のMk16などがあります。かつて海自で使用していた72式魚雷も過酸化水素を使用していたようです。
    (N)

  8.  じゃあ、追加ねたで。
     気室(空気ボンベ)は高圧で空気を詰め込んでいるので非常に強靭な構造が要求されました(搭載空気量が魚雷の性能を決めてしまう)気室は希少金属をふんだんに用いた特殊鋼を加工して作るのですが、戦時にはこの製造が問題になりました。
     第一次大戦のドイツ、第二次大戦の日米は魚雷の気室の生産に苦しみ、それが為にこれらの国では電池魚雷(上に書いた電気魚雷は間違い)も低性能である事は承知で使わざるを得なかったという側面があります(ちなみに第一次大戦のドイツでは魚雷不足から潜水艦が浮上砲戦を多用したり、青銅製の気室を使った魚雷を製造したりして苦労してます)
     こうした気室問題の解決案の一つが、過酸化水素等を用いた魚雷だったのです(高圧に耐える特殊な気室が要らない)日本が用いた酸素魚雷は気室に詰めるのを空気から酸素に変えただけで、事故の危険もあり、また強靭な気室が必要という点は変わらなかったのです。
     過酸化水素魚雷は戦前から各国が研究をしていましたが、戦争中に実用レベルになったものは無かったようです。
     日本でも過酸化水素魚雷というかワルター機関を独自設計で開発してましたが、ロケット戦闘機と動力素がかち合うことで中止され、代替手段として濃硝酸を用いたものが作られ、終戦直前に陸上動力試験にまでこぎつけていたそうです。
    SUDO

  9.  でもって燃料のネタ。
     まなかじさんが述べられたように主流はケロシンだったのですが、一部の魚雷ではアルコールを燃料に用いていました。
     第二次大戦前後ですとフランスの魚雷にアルコールのモデルが幾つかあったようです(駆動系冷却にも用いる都合らしい)
     また、過酸化水素魚雷の燃料もアルコール系みたいですね。日本で研究していたものはメタノール、濃硝酸を用いたものではエチル・アルコールを使っていました。
    SUDO

  10.  アメリカが大戦中に使用したMk14/15の燃料はアルコールですね。
    ソ連海軍の魚雷も燃料はアルコールです。
    大塚好古

  11. 便乗質問ですがよろしいでしょうか?
    かなり昔に何かで読んだ記憶ですが、大戦中のドイツではガソリンエンジン?を使った魚雷が試作され、高性能ではあったが結局使用されなかったとのことです。
    どうもクローズドサイクル機関であったようなのですが、やはり魚雷にこのような機関は何か問題(生産性?保守性?)があったのでしょうか? 素人的にはそれこそ無雷跡で良さ気には思えるのですが。
    桜坂

  12. >11
    詳細はよう知らないんですが、2種類ほど試作されたみたいですね。
    ただ、43年に労力をにワルター魚雷開発に一本化されたそうな。

    北方不敗

  13.  よし調子に乗って更に暴走だ(ぉぃ
     大概の魚雷はスクリューを回して推進します。昨今ではポンプジェットなんかもありますね。
     これに対して、あろうことかロケットを噴射して進むという「す的」な魚雷も試作されました。水中ではロケットの推進効率が良くないので利点はあまり無いのですが、燃焼→噴射→機械→スクリューという従来型と比して機械とスクリューが要らないので構造が簡単であるというのが魅力だったようで、日本では小型の航空魚雷として試作しましたが、結局使われませんでした。ロシアのシクヴァル魚雷(というのか?)も一種のロケット推進ですな。
     ガソリンを燃料に使う場合も湿式熱走以外に、オットーサイクル(つまり普通の自動車や飛行機と同じ)を用いたものが研究されています。
     昭和初期に日本海軍が試作したものはV型12気筒エンジンを備えた61cm魚雷で、当時主力だった八年式(湿式熱走)に比して空気効率(搭載空気の仕事変換)で1.8倍というスペックをたたき出し、長い射程を発揮しましたが点火系トラブルが多発し(点火プラグはオットーサイクルとしては避けられない)開発の主眼はディーゼルへと移る事になりました(そして自動車や船舶へ開発リソースが移ってしまった)
     また英国が第二次大戦やフォークランドで潜水艦用として用いたMK8は湿式熱走ではなく、内燃機関でした。燃焼室で燃やしたガスを主機械に送り込み、更にそこで燃料を送り込んで燃やすという方式だったそうです(高温高圧の燃焼ガスに更に燃料をぶち込む訳です)
     また燃焼ガスや蒸気をスクリューの回転に変換するには何等かの機関を使うのですが、各国の主流はピストンを使ったものでしたが、一部には斜盤式やタービン式もありました(米国はタービンだっけ?)
    SUDO

  14. ロシアのシュクバルに関しては「世界の艦船」12月号
    http://www.ships-net.co.jp/detl/200212/indexj.html
    の特集の中に記事が1本載っています。

    スーパー・キャビテーションという水中の気相部分を形成し、その中を「飛翔」するため、抵抗が極端に軽減され、200ノットという驚異的な速力を達成しているそうです。
    OPD

  15. http://google.yahoo.co.jp/bin/query?p=%bc%d0%c8%d7&hc=0&hs=0
    斜盤式は斜めの円盤をクランクに使ったピストンエンジンだと思うのですが。
    高圧の気体と違って、危険な物質でも常温で液体ならばきちんと密封することで漏れる可能性をほぼ無くせる訳で、
    ただ過酸化水素の分解はそれだけでロケットを飛ばせるほど強力なもので、これを活かすにはタービンにする必要が有るかもしれません。
    にも。

  16. ロケット魚雷というとロシアのShkvalが有名ですが、ロシアには他に航空機用のAPR-2というロケット魚雷も開発していました(ただし速度は最大62ノットと伝えられています)。
    つづいて登場したAPR-3は通常の推進方式に戻っていますけど。
    (N)

  17. >15
    http://www.animatedsoftware.com/pumpglos/swashpla.htm
    斜盤式のポンプの例です。
    逆に用いればエンジンになります。

    オットー燃料を用いたMk46魚雷はこの斜盤式ですので、別に過酸化水素魚雷でもタービンが必要な訳では有りません。
    一度に沢山燃やせばロケットになるけど、制限して燃やせば許容範囲になるのです。
    大戦末期の人間魚雷回天に搭載を予定した過酸化水素機関はレシプロ式でした。

    SUDO


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