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HEAT弾について、質問、お願いします。 滑腔砲のHEAT弾は、砲弾が回転していないので、ジェットが安定する様ですが、 旋条砲の場合、回転によってジェットが、安定しないと聞いた事があります。 旋条砲のHEAT弾は、この問題をどう解決しているのか、教えて下さい。 ワダチ |
- 主に2種類。
一番問題になるのは回転によって流れが断片化しやすくなる(fragmentation)ことですので、
・コーン角度を鈍くすることで、金属流速度を落としつつ金属流直系を太くする。(よって威力は低い)
・スリップリング(もしくはバンド)で回転しにくくする。
といった方法が採られています。大体こんなもんです。
なお、滑腔砲発射の弾頭とはいえ回転しないわけではありません。
sorya
- sorya氏に補足して
通常、旋条砲から撃ち出す弾は、通常回転させるために砲腔内の旋条に食いこませる装置を持ちます。
これを「弾帯(だんたい):ドライビングバンド」と申しまして、弾の後方にある銅色(通常銅製)の帯がそれです。
古いHEAT弾や野砲から撃ち出す低初速のHEAT弾はコーンの工夫で旋動安定のままでした。
現在の旋条砲から撃ち出す翼安定弾は、弾本体の回転を押さえるために弾帯に樹脂製の物(スリッピングバンドとかスリップリング等呼ばれる。日本読みは滑動環)を使用し旋条には食いこみかつガスを緊塞すると共に、弾丸本体にはその滑りを利用し回転力を極力与えない構造が一般的になっています。
一例では61式戦車の90mm砲から発射される70式HEAT弾の回転数は毎分6〜12回転と言うことだそうです。毎分回転数ですので、例えば1km先であれば1秒ほどで弾着しますので弾は1回転すらしない計算になります。
また他の工夫として、フランスでは弾を2重構造とし、外側は回転するが内側はベアリングと回転を押さえる装置により回転させない旋動安定HEAT弾がありました。
しかしこれはコストが高いのと同一の口径を持つ砲から発射されるHEAT弾と比べ貫徹力が低いので現在では廃れています。
つまり、滑動環を使用することで旋条砲からも翼安定弾(APFSDSやHEAT)が問題無く撃てると言うことです。
はいどーも
- sorya氏、はいどーも氏、わかりやすく詳細に書いて頂き、どうも有り難う御座いました。
ワダチ