1719 |
皆様こんにちは。私は以前、AN-94について質問させていただいたものです。 下の1705番でちょっと出ていた、9mmLugerと9mmParabellumの違いについて質 問させてください。 この二つは、具体的にはどのように違うのでしょうか。初速や弾丸重量が違う だけなのでしょうか。また、なぜこの二つは違うものになったのでしょうか。 ご存知の方がいましたら、どうか教えてください。お願いします。m(_ _)m タニムラ |
- 聞きかじった話ですが・・・
基本的には両者は同一のものです。つーか『9mmパラベラム』が本来の名前です。
ただ、アメリカで販売されている9mm弾はPL法との兼ね合いからかヨーロッパ製のものより多少弱装になってるのだそうです。だから敢えて『9mmルガー』と呼んで区分している関係者もいるというわけです。
ちなみに、9mmパラベラム(9mm×19)と同型の弾として9mmグリセンティというものがあります。これも9mmパラより弱装になっています。
ブラック・タロン
- タニムラさんが、どの程度のGUN知識をお持ちなのか、或いはGUNの道を究めて行きたい方なのかどうか不明ですが、
この件は、何処まで探求するのかによって回答が違って来ます。 以下 探求度に合わせて解説。
A.探求度小−−−−銃にあまり興味の無い普通の人々への回答。
9mmParabellum(NATO 9mmx19)と9mmLugerは、ほぼ同じ弾薬です。
あえて言えば前者はヨーロッパ的呼称。後者は米国的呼称です。
この弾は、20世紀始めにドイツ軍用・ルガーピストル用の弾として開発され、コンパクトサイズにしては
比較的威力が強いので、21世紀の現在も軍用ピストルやサブマシンガンの代表的弾薬となっています。
B.探求度中−−−−一端のGUNマニアへの回答。
上記説明に補足。
元々、ルガーピストルの名称は、ドイツでの正式名 パラベラム・ピストル(ラテン語起源)だった物を、
米国の商社が同時期自国で販売するにあたって、ラテン語では市場受けしないと考え、
銃の設計者G・ルガーの名を取り、この銃の米国販売用コマーシャル名”ルガーピストル”にしたのですが、
その際、専用弾として9mmLuger弾の名称も考えたのですが、市販にあたってオリジナルの9mmParabellumより、
やや威力を落としています。9mmParabellumは、発射ガス圧(2600〜2800kg/cm^2)がライフル弾に近く、
そのまま、けん銃用として民間市場に出すには危険を感じていたのでしょう。
まとめ、解り易く例えれば!!
・9mmPara(NATO名称9mmx19)は、オリジナル軍用弾であり、車に例えれば、ハイオクガソリン的に考えて下さい。
主にヨーロッパNATO軍で使用されていますので、ベルダン雷管が多いといえます。
・9mmLugerは、米国内民間市販用弾であり、やや威力が落とされており、レギュラーガソリン的に考えましょう。
米国のほとんどの弾薬製造メーカーは、このレギュラーの方を製造しており、薬莢刻印を”9mmLuger”としています。
主に米国内で、製造・使用されていますので、ボクサー雷管がほとんどであると言えます。
近年、民間市場にも、発射薬増装弾(ホットロードとか+P:プラスパワーとも言う)の9mmLugerが販売される様になり、
オリジナルの9mmParabellum弾に威力が匹敵しますが、当然恒久的に使用発射する事はそれだけ危険を伴います。
(銃種、銃メーカーにもよりますが、アルミフレームの物は耐久性にちょっと!!)
C.探求度大−−−−究極のGUNマニアへの回答。
前解説に更に補足。
・9mmParabellum(NATO名称 9mmx19)は、現在ではNATO規格(正確には、NATO規格を基に
列強各国が独自解釈制定した軍用弾規格)によって製造された軍用弾です。
前説の通り一般市販弾より威力が10〜2O%程強力になっていますし、更なる増装弾(サブマシンガン専用)
の弾も存在します。
これは、軍用弾は米国”SAMMI”規格(後述)を順守する必要がなく、軍用目的の強威力な高圧弾を、
製造使用出来るから。とも言えます。
しかし、NATO規格製造弾のもっと重要な事は、低・高温(例えば+52C゚〜-54C゚)、湿度、雨滴、水中浸漬 等の
各種ハード環境中にても、その性能が保証されている事でしょう。
(性能保証:各種悪コンディションにても、不発性や初速値の低下を極力抑えたり、弾毎の初速値均一性)
価格面では、超大量生産をする事を前提としているので、コスト意識(原価低減意識)が高く、
意外に安い単価となっているそうです。
・9mmLugerは、現在、米国”SAMMI”規格(指針)及び、各弾薬メーカー社内規格により、製造されている弾です。
”SAMMI”(サミー: スポーツアームス゛&弾薬資材製造社協会)は
安全の為、
米国内一般市販弾薬のガス圧上限値を規定しています。つまり、威力上限が決まってしまいます。
一般市販用規格なので、軍用はこの規格に縛られません。具体的規格数値説明は省略しますが、大雑把に言うと、
一般市販弾(9mmLuger,223Rem,308Win)のガス圧値と軍用弾(9mmPara,5.56mm,7.62mm)ガス圧
との差異は、軍用弾の方がそれぞれ1〜2割、圧が高めです。 威力も大体それに比例していると言えるでしょう。
そして、各弾薬メーカー社内規格は、NATO規格の様なハードな環境状態は想定・保証せず、
通常使用状態(常温や室内射撃とか−−−)での想定・保証とする物がほとんどです。
・その他。
米国陸軍供給弾M882 9mm弾(ベレッタM9用他)は、その用途より軍用ですから、9mmLugerではありません。
NATO規格で製造されており、9mmParabellum(9mmx19)或いは、単に9mmBall と言ったり、記載しており、
米陸軍の小火器関係公文書で、9mmLugerという記載を見た事は有りません。
(Lugerの名称が商標登録されているからかも知れませんね)
極東某国次A隊の9mm普通弾は、Para,9mmx19,Luger等の刻印が一切されていない様ですが、
(*:メーカー識別と製造年の刻印のみ)
使用用途よりNATO規格準拠の9mmParabellum弾であると言えると思いますが、詳細は不明です。
*世界的にみても、案外軍用弾は、9mmとか、,5.56mm,7.62mm 等の弾種表示刻印を省略している事も多いと思います。
・銃に関して。
ヨーロッパの銃メーカーの中には、同一商品ながら、軍・公用(主にヨーロッパ向け)の銃と、
コマーシャル用(主に米国向け)の銃とは、意識的に相異させて設計・製造している場合もあります。
前述の通り 9mmParaと9mmLugerのガス圧差・威力差の対処の為であり、例えば、ヨーロッパのS社製P22Xシリーズは、
軍・公用向け9mmPara仕様と米国一般市販向け9mmLuger仕様とは、銃身のライフリング仕様・寸法、薬室寸法・形状や、
スライド強度に若干の相異が有る様です。
以上 長文 失礼しました。
軌跡の発動機?誉
- >ブラックタロン 様
なるほど……9mmLugerとは市販の弱装弾の事をさすんですね。
9mmグリセンティという弾は聞いたことはありましたが、それが9mmX19と同型
とは知りませんでした。有難うございました。m(_ _)m
>軌跡の発動機?誉 様
こんなに詳しく……疑問に思っていたことがほぼ完全に分かったどころか、そ
れ以上のことまでよく分かりました。本当に有難うございました。m(_ _)m
特に、S社P22xなどが公用と商用で仕様が違う、という事や軍用弾が市販の物
と比べて強装になっていると言う事はまったく知りませんでした。
私は今年の初めくらいに、ふとしたきっかけで銃に興味を持ち、月刊Gunやweb
上の情報などを読んで勉強をはじめました。しかし銃の世界は本当に奥が深く、
今はまだおおまかな銃や銃弾の種類や性能など、基本的な事が分かってきたか
な、という所です。しかしいつか究極のGUNマニアになることを目指してが
んばります。m(_ _)m
タニムラ