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1699 銃器については素人同然ですが1692のログを読んでいるうちに疑問が生じたので質問いたします。
それは村田銃はなぜ単発だったか?ということです。
当時は既に洋式の連発銃が多数導入されていたのに、あえて単発銃にしたのは当時の連発銃には単発銃に劣る重大な欠陥があったのでしょうか。または銃弾の供給等の問題があったのでしょうか。
山奥の人

  1. 聞きかじった情報では
    1)無煙火薬実用化前では連射時に煙で照準がじゃまされ命中精度が劣った。
    2)銃床内にトンネル上に穴を空けた下のような銃では銃床が弱くなる。
    3)弾が拳銃弾typeで弱い
    こんな事を聞いた事が有ります。
    素人の空耳モード

  2. 上は状、e床は銃床の間違いです。すいませんでした。
    素人の〜

  3. まず、十三年式村田銃が制式化された1880年当時には、歩兵の制式銃に連発銃を
    採用している国はほとんど存在しません。
    当時の列強のほとんどは黒色火薬使用の単発銃を装備していました。
    その理由はだいたい>1にかかれている通りですね。
    ですから、村田銃は世界的に見てもあの時代ではごく普通の性能の銃です。
    しかし無煙火薬が発明されたことで時代は確実に連発銃に向かっており、日本でも1889年には無煙火薬使用の連発銃である二十二年式村田銃が制式化されています。



    ライフルマニア

  4. あともう少し補足しておきますと、連発銃といっても、クリップが採用されるまでは、弾倉に1発ずつ弾を込めなければなりませんでした。
    そのため、弾倉の弾を撃ち尽くしてしまえば単発銃となんら変わりません。
    二十二年式小銃は連発銃ではありましたが、ショットガンのようなチューブ式弾倉であったためにクリップが使用できず、そのために1897年には5発クリップで一度に装填できる三十年式歩兵銃が制式化されています。
    ライフルマニア

  5.  フランスが世界最初の軍用無煙火薬ライフル弾である8mmレベル(8mmX50R)およびそれを使用するライフル(レベルM1886)を世に送り出したのは1886年頃です。この時フランスが無煙火薬弾の開発を進めた理由としては、従来の黒色火薬弾の欠点(多量の煙、低初速)の克服と、弾の小口径化→携行弾数増加(黒色火薬弾では低初速のため小口径化に限界有)が主だったようです。
     日本が無煙火薬弾使用の22年式村田連発銃を開発したのはそれから3年後ですので、当時としては世界水準レベルと言えるのではないでしょうか。
     22年式村田銃は、仏レベルM1886や独モーゼルM1871/84等に倣って銃身と平行のチューブ・マガジンに独自開発の8mm無煙火薬弾7発を装填する形式を採用しており、マガジンの構造上弾頭は平頭弾となっていました。ただ、実戦では装弾不良が多発したそうです。

     そーいえば、フランスの仇敵ドイツはレベルM1886に対抗して口径7.92mmのモーゼルM1888を採用しましたが、これはチューブ・マガジンだったんでしょうか? それとも後のM98のような固定ボックス・マガジン?(便乗質問失礼)もし後者なら、連発機構の構造としてはドイツの方が先んじていたか?

     ちなみに、アメリカ軍は1880〜90年にかけて連発銃採用のためのトライアルを行い、内外から53種を集めてテストしましたが、この中には日本の村田銃(時期的に見て22年式だろうか?)が含まれていたそうです。結局、米軍初の無煙火薬銃にして初のボルト・アクションとなったのはスウェーデンのクラグ・ヨルゲンセン(M1896)でした。
    ブラック・タロン

  6. >5 モーゼルM1888は固定ボックス・マガジンでマンリッヒャー式のクリップを
    使用します。ここの写真からもそのことが確認できました。http://www.rememuseum.org.uk/arms/rifles/armgm88.htm


    ライフルマニア

  7.  この時期、日本海軍でも陸戦用小銃のテストをやってますな>明治19〜23年
     この経緯や構造に関する所見等は実に興味深く、既に皆さんの上げられたような弾倉の問題や閉鎖労力、弾倉への装填難易度や部品の強度等、実に念入りに行ってます。
     この海軍のテストでは7.5mm級が反動面で有利であり、装薬を多めにして初速を稼げば弾道や貫徹能力でも優秀になると結論してます。
     また連発機構においては米国のレミントン・リーのが最も優秀であり、部品堅牢、操作軽易、弾倉式であり、銃床強度にも問題なしと、結論してます。残念ながら私はこの鉄砲がどういうものなのかは判りませんが、弾倉の材質が問題にされてるのが興味深いです(アルミとか書いてある)
     この試験で好成績を上げたのは、スイスのルュバン銃(8mmと7.5mm)とこのレミントン・リー銃でした(弾道、命中精度、貫徹力では二種のルュバンがリード)よって日本人らしく、ルュバンの銃身・弾薬にレミントン・リーのメカを組み合わせるのがベストと結論して、自前で池端銃を製造しますが、これと村田連発銃を比較試験したところ、村田銃が優秀であり、また陸海共通とすることは利点が大きいということで村田銃を採用するとなってました。
     この池端銃では、レミントンの「まがじん」式は弾倉を捨てるのがよろしくなかったようで、改良型ルュバン銃は銃身下にチューブ式になっていて宜しいという所見がついてました(笑)
     また黒色火薬の問題は、連射時の照準のみならず、その煤が銃の内外を汚し作動不良の原因になる事も大きかったようです。

     ちなみに池端銃の敗北原因は全般性能でやや劣るというよりも、弾丸が飛散するというところにあり。口径や間隙の小ささに加え、弾丸形状が問題であると判断されていますね。

    SUDO

  8. >6
     モーゼルM88についてのフォローありがとうございました(^^ゞ

    >7
    > レミントン・リー
     スコットランド人のジェームズ・P・リーが設計した銃の一つ? どっかで聞いた記憶がなきにしもあらずなのだが出てこない・・・(;^_^A
     最初、この人物が設計したリー・ストレート・プル・ライフル(M1895)のことかと思いましたが、この銃はウィンチェスター製&時期的に符合しないので却下します。口径も6mmと小さいし。

     スイスのルュバンというのはシュミット・ルビン銃のことでしょうかね? これなら口径8mmと7.5mmがあり、最初のモデルが完成したのが1885年なので時期的にも符合します。ちなみにこれもストレート・プル・アクション採用。
     レミントン・リーなる銃の正体が不明なので断言できませんが、ストレート・プル・アクションの銃が注目されているのは興味深いですね。

     超余談ですが、日本海軍は後に22年式村田連発銃の後継として、陸の30年式歩兵銃の改修型である35年式海軍銃(とりあえずこう呼ぶが海軍では正式には何と呼んでいたのだろう?)を採用しています。これも多少アレンジはあるものの陸と共通化されていますね。
    ブラック・タロン

  9. >7.8.米国のレミントン・リー
    この頃、ジェームズ・P・リーが設計した軍用ライフルは、”Lee U.S.NAVY Rifle M1879 .45-70”が有ります。
    米国初のBOX弾倉式ライフルです。但し、口径が.45という事が、引っかかります。
    叉、これの改良発展型(メトフォードタイプの銃身を組み合わせる)が、大英帝国に採用された、
    かの有名な”Lee Metford Magazine Rifle MK1”となって行きます(1888年)。
    或いは、こちらの試作タイプを入手したという考え方もありますが、これの初期は口径が.402でしたので、やはり??です。
    このころ、リーは、米国へ渡り、レミントン社で各種ライフル銃の設計をしています。
    その時開発した各種ライフル銃(民間用含む)を一般に”Remington Lee Rifle”と言う様です。
    リー・ストレート・プル・ライフル(M1895)は、・リーが設計し、米海軍がウインチェスター社に量産製造させたので、
    ウィンチェスターのイメージが付いてしまったのでしょう。


    >.スイスのルュバン
    スイス、”シュミットルビン(Scchmidt-Rubin)1889”でしょう。但し、シュミットルビンは、
    発展型が多種ありますが、銃身下にチューブ式弾倉というタイプは、私は存じません。(単発タイプなら有り)
    それと口径が8mmと7.5mmの2種類存在しますが、呼称8mmは、実際には弾頭径7.82mm(.308in、1911年登場)
    ですので、明治20年前後(1887年)に入手し比較研究した事実とは矛盾します。私の勘違いかもしれませんが!?
    ”シュミット ルビン”と言えば、ストレートプル・ボルトが有名ですが、世界初の被甲弾頭
    (鉛露出ではなく、軟鋼や銅合金を被せてある)を採用した銃としても有名です。

    以上 たよりにならない補足でした。

    軌跡の発動機?誉

  10. >9
     口径に関しては、触れられてないので、45-70だと何か拙いのか判りませんが。
     使用火薬を変更した場合等で計測試験をしていますので、その結果を抜粋すると

     初速(10回計測の平均
    8mmルュバン銃:平均566.4米
    レミントン・リー銃:平均399.2米

     浸透試験(300mから松板を撃った場合)
    8mmルュバン:5.3枚
    7.5mm:4.8枚
    レミントン・リー:3.5枚
     ちなみに同時にテストされたマウザー3.5枚、グレパチック3.3枚、当時の制式銃であるマーチンが3.5枚

     反衝力(計算)
    ルュバン8mm:2m220
    7.5mm:1m920
    レミントン・リー:2m570

     となってまして、レミントン・リー銃は、反動が大きく初速が小さく貫徹力が無いので、恐らくルュバンよりも大口径なのではないかと想像します。

    SUDO

  11. >10.レミントン・リー銃:平均399.2米
        レミントン・リー銃は、〜恐らくルュバンよりも大口径なのではないかと想像します。

    ”Lee U.S.NAVY Rifle M1879 .45-70”の弾薬、” .45-70Govermment 弾”の標準値は、
    口径.45(11.4mm) 400gr(25.9g)鉛弾頭で 初速1330f/s(399m/s) 黒色火薬70gr(4.5g)です。 初速がズバリですね。
    >.使用火薬を変更した場合等・・・・の意味が不明ですが、米国、日本とも 同じ海軍ですので、
    米海軍使用の当時・最新小銃に興味を持ち、これを入手したのかもしれませんね。

    反衝力(計算)値は1桁多いのでは、ないでしようか。
    一般の軍用小銃の反動移動量でしたら、0.2〜0.3mあたりと考えます。 肩付けすれば、数センチ。

    〜?誉

  12. >11
     フォロー有難うございます。となると、この「レミントン・リー」じゃ米海軍M1879銃と見て良さそうですね。
     火薬の件ですが、ルュバン銃が圧縮充填である事に火薬廠が難色を示しまして、既存の粒火薬で薬筒拡大をして如何にかできないかという意見が出され、その為の下準備として、いくつかの銃で精密な初速テストを行ったのが上記数値の抜粋なんです。説明不足ですいません。ちなみに推定で40m/s程度は初速が落ちそうだという事で、この火薬充填方式変更は取りやめになりました。
     また反衝力は私の計算ではなく、当時の文書の数値です。ですから何の数値なのか、単位は何なのかも判りませんので、絶対値としての指標にはならないかと思いますが、複数の銃で同様に計算しているみたいなので。この試験での相対比較にはなるのではないかと思い出した次第です。
    SUDO

  13. ”Lee U.S.NAVY Rifle M1879 .45-70”  小さいですが、やっと、この小銃の画像を見つけました。
    しっかり、 ”Lee” 一族だぞ! と言う形をしていますね。

        http://www.p4a.com/itemsummary/39877.htm

    山奥の人さんの質問から脱線していますので、この辺で失礼。

    〜?誉


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