1617 |
アサルトラフル登場以前において 短機関銃の装備率が軍隊の戦闘能力を大きく 左右することはあったのでしょうか? JDSLF |
- こういうお話には、得意な方達がたくさん居られると思いますが、先鋒を務めさせて頂きます。
1.前説
御存知と思いますが、短機関銃の使用弾薬は、けん銃弾です。 よって、その有効射程は
銃自体の単純構造とも重なりあって、おおよそ200m以下ですから、 短機関銃の最大メリットである
フルオート射撃による火力集中効果も、塹壕戦、白兵戦、市街戦、ジャングル・森林戦、等の
接近戦闘のみに使用用途が限られます。
その他として、特殊用途(空挺、コマンド部隊)、一部将校・下士官の護身用、基地警備部隊、後方支援部隊 等にも、
適する物と言えますが、 短射程+弾丸低威力の為、列強陸軍の基幹小火器とはなり得ません。
基幹小火器となり得るのは強威力な弾丸を発射する、小銃(ライフル銃)です。
かの有名な独軍 MP38短機関銃+機械化部隊 のコンビに於いても、実は搭乗歩兵主力火器は、モーゼル小銃です。
2.主説
しかしながら、人民の命など家畜と同等とお考えの スターリン国家においては、短機関銃は、
かなりの主力火器となりました。 すなわち、戦車袴乗大隊の主力銃は、PPSh41 短機関銃であり、
戦争後半では、通常歩兵部隊にても、短機関銃が、かなりの主力銃となっています。
その理由は、即戦力です。 短機関銃自体は、ライフル弾より低威力の けん銃弾を使用するので、
機構・構造簡易→急造大量生産可能です。 使用する、けん銃弾薬の生産も同様ですね。
兵の養成面でも、短機関銃は、射撃訓練が非常に簡素化できます。
遠射訓練など不必要、単に目前の的に、バラマキ撃ちさせれば良いだけです。
インスタントに、陸軍歩兵兵力を増強出来る訳で、近代の戦闘形態が、どうだこうだなど、考慮していません。
広大なロシア平原で、近代装備正規軍である独軍(充足率は怪しいが!)と対峙し、歩兵戦闘が始まったらその結果は!!
スターリン陸軍は、この様な陸軍歩兵兵力(歩兵の大量急増・大量消耗)で、大祖国戦争を勝ち取ったのです。
3.回答
本件質問 「短機関銃の装備率が軍隊の戦闘能力を大きく左右することはあったのでしょうか?」 への回答は、
”WWII戦 中・後半の時期、ロシア陸軍においては、短機関銃は歩兵戦闘能力の主力と成り得た。せざるしかなかった。”
と言えるでしょう。
以上、長文失礼しました。
私のレスが、他博学の方達の回答の呼び水となれば良いですね。 具体的装備率の値とか−−−
軌跡の発動機?誉
- フィンランド−ソビエト間で行われた冬戦争(1939-1940)において、不慣れな冬の森林地帯で分断したソ連軍を「スオミ」短機関銃を装備したフィンランドのスキー部隊が襲撃し大きな効果を上げた、と言われています。ソ連が短機関銃開発/装備に本腰を入れたのは、この惨敗と言える戦訓の反映とも言われています。
ささき
- うちのじいちゃんは、ニューギニアで戦った時、トンプソンにはやられまくったといっとりました。
けんちゃん
- では次鋒行きます。
Glantz大佐というソビエト軍研究の権威が、ソビエト軍の編成や戦
術についていろいろ著作や翻訳をしています。その半分くらいは私家
版で、日本から入手するとすればNafziger Collection
http://home.fuse.net/nafziger/
が便利です。
編制上も完全に短機関銃装備だったのは、戦車旅団の随伴中隊です。
戦車の上に鈴なりに歩兵が乗っていくあれです。こうした敵陣への接
近方法自体、きわめて危険であったのは言うまでもありません。成功
すれば成果も絶大でした。
ソビエト一般歩兵師団の短機関銃大量装備は、編制表に従わない
現場の才覚であったようです。ですからオーソライズされた数字と
いうのはありません。逆に、各分隊にあるはずの軽機関銃が実際には
配備されないケースが多かったようです。ドイツは「機関銃を援護
するのが小銃手の仕事だった」とすら評される国ですから、ソビエ
トとしては短機関銃による肉薄攻撃しか対抗手段がなかったのかも
しれません。
マイソフ