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ピストルのショートリコイルについて、以下をご教授ください。 @チルト・バレル・ロックとロータリー・バレル・ロックの違い。 A上記について、分解図などにより作動を示しているもの。 よろしくお願いいたします。 紺野 |
- ティルト(チルト)・バレル・ロッキング(別名ブローニング方式)は、銃身の後端がショート・リコイルによって斜め下に下降することでスライドとのロック(噛み合わせ)を解除する形式です。スライドが後退したときに露出した銃身前部が斜め上に傾くのが外観的特徴です。
元々は銃身後部にラグ、スライド内側にリセスを設けて噛み合わせる形式でしたが(コルト・ガバメントやFN HP等がこのタイプ)、現在は銃身後部のブロック型に成形された薬室部とスライドの排莢口を噛み合わせる形式が主流となっています(SIG/ザウェルP220系から登場)。また、銃身を下降させる構造も、コルト・ガバメント等では銃身後端下部に別部品のバレル・リンクを備え、これをカムとして下降させるメカでしたが、現在はバレル・リンクを持たないリンクレスが多数を占めています(この辺はぢつはまだちょっと理解不足なのでフォロー求む(;^_^A)。
一方、ロータリー・バレル・ロッキングは、銃身がショート・リコイルによって回転することでスライドとのロックを解除する形式です。銃身は水平方向にショート・リコイルするので、ブローニング方式と異なり露出した銃身は真っ直ぐのままとなります。
製品によって構造が微妙に異なるようですが、ベレッタM8000系のメカを例に取ると、銃身後部の上にスライドとロックさせるためのラグ、下に銃身回転のための傾斜溝があります。スライドにはラグをロックするための溝が切られ、フレーム側には銃身を回転させるための突起の付いたブロック(バレル・キー)が組み込まれて銃身の傾斜溝に組み合わされています。ショートリコイルした銃身は傾斜溝に沿って回転し、これに伴って銃身上部のロッキング・ラグがスライドの縦溝に入り、スライドが後退可能となります。
以上長くなりましたが、大雑把に違いを書くと、『銃身とスライドのロックを解除する構造が異なる(銃身が傾くか回転するか)』ということになるでしょうか。
両者の分解図については、ちょっとしたものの本やサイトならメーカー等による図解が載っていると思います。
ブラック・タロン
- 今月のGun誌にティルトバレルロックの動きを弾丸発射時の銃の動きをレントゲン写真で解説した記事が載っていますね。とてもわかりやすい。
strafe
- >1.にちょっと補足。
・ティルト(チルト)バレル・ロッキングは部品点数少、且つ、比較的小型化が可能。
下手な設計だと、弾丸銃口離脱前に、銃身前部が斜めUPし、着弾点が、上向き癖の銃になってしまいます。
M1911ガバは、その辺のタイミングが、ギリギリセーフのはずですが、今月のGUN誌のレントゲン写真は、
どうでしようか? 私は、購読していませんのて゛!!
(基本は、弾丸離脱後、銃身前部がUP。 結局、ガバ・リンク有り→HP・リンク無しへの技術変換は、そこのところ)
・ロータリー・バレル・ロッキングは、小型化に向かない、且つ製造コストが高くなります。
下手な設計だと、弾丸旋転トルクと銃身回転との干渉も考えら利ます。
(基本は、弾丸離脱後に、銃身回転させる)
設計・構造によっては、初期抽筒時(初期エキストラクション時)、薬莢を捻り気味なので、薬莢切れを起こし易いです。
どちらにしても、両者重要な事は、撃発時から弾丸離脱時迄の間、銃身が照準線と一致し、且つ、銃身ガタツキが無い事です。
(ガス腔圧が安全な値に下がる迄、ロッキングを維持するのは、最重要な事)
今のところ、以上のポイントに1番適っているメカが、
・ティルト・タイプで 「SIGタイプ:スライドの排莢口を噛み合わせる形式」であり、
近年のブローニングタイプ・オートマチックのショートリコイルは、、この傾向にあります。
軌跡の発動機?誉
- >M1911ガバは、その辺のタイミングが、ギリギリセーフのはずですが、今月のGUN誌のレントゲン写真は、
>どうでしようか?
写真はブレットがマズルから1〜2mm離れた時点を捉えていて、スライドも1〜2mm後退しています(ラグとリセスは噛み合い、ブリーチの閉鎖は保たれています)。
一コマ前のブレットがマズル中を前進している写真と比べると、僅かだがバレルリンクの角度が違いますのでマズルは僅かながら上向きになっていると思われます。
>下手な設計だと、弾丸銃口離脱前に、銃身前部が斜めUPし、着弾点が、上向き癖の銃になってしまいます。
設計が上手ければ着弾点も収束するだろうから、サイトで調節するのでは?と自分では思っております。はっきりした上向き癖があるなら、下目を狙えばよいのではと。
>どちらにしても、両者重要な事は、撃発時から弾丸離脱時迄の間、銃身が照準線と一致し、
バレルが水平に移動するショートリコイル方式はそれを気にしたのでしょう(ワルサーP38〜P5やベレッタM51〜92)。
strafe
- >4.strafeさん−−− わざわざ、御報告有り難うございます。
>.はっきりした上向き癖があるなら、下目を狙えばよいのではと。
銃砲に限らず日常の道具全てにおいて、その道具固有の癖が存在しようとするら、
設計者は、それを無くす様に考えるのが自然ではないでしようか。
>.(ワルサーP38〜P5やベレッタM51〜92)
それ故、早い内からこの事に対応しているワルサーも、ベレッタも超一流メーカーだという事です。
〜?誉
- 皆様、ありがとうございます。
GUN誌をさっそく買います。
質問者
紺野
- >3&4
> ロータリー・バレル・ロッキングは、小型化に向かない、且つ製造コストが高くなります。 <誉さん>
> バレルが水平に移動するショートリコイル方式はそれを気にしたのでしょう(ワルサーP38〜P5やベレッタM51〜92)。 <strafeさん>
ベレッタ社はM951からM92系までワルサーP38系のプロップ・アップ・ロッキングを採用してきましたが、M8000系で突如としてロータリー・バレル・ロッキングを採用しました。この理由として、9mmX19口径の中・小型ピストルを開発するにあたり、プロップ・アップは構造上スライドや銃身の短縮化に限界があることと、プロップ・アップを引き継いで命中精度は確保したいという2点が主だったということです。
しかし、結局最新モデルのM9000系ではブローニング方式(ティルト・バレル・ロッキング)をちょっとアレンジしたメカを採用していますね。単なるM8000系との差別化なのか、それとも何らかの理由でロータリー・バレル・ロッキングに限界を見たのでしょうか。
ちなみに、ブラジルのトーラス社は旧ベレッタ・ブラジルからM92系のメカを引き継いで各種製品を作っていますが、ベレッタ社に先駆けて9mmX19中・小型ピストルを開発する際に同じこの課題にぶち当たり、こちらもオーソドックスなブローニング方式を採用したPT908系を開発しています。
ブラック・タロン