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非日本式の手榴弾の投擲方法について質問なのですが、 よく映画などで投げられた手榴弾を投げ返していますが、 某HPで「実際は投擲後の衝撃ではなく、ピンを抜いてからの経過時間で爆発する」 と書いてあったのですが、本当の所どっちなんでしょう? 夕焼けM |
- ピンを抜いてからの経過時間で爆発する、が正解です。
yuji
- 放り投げて、着地で爆発するのが「着発信管」、雷管が叩かれて(=ピンを抜いて、レバーが跳ね上がるあのアクションです)から一定時間(だいたい4秒前後)で爆発するのが「時限信管」といいます。現在はほとんどが時限信管です。着発信管は相手から投げ返されないなどの利点がありますが普段の安全性に問題があり(つまるところ衝撃で爆発するような代物ですから…)余り使われていません。
それから「ピンを抜いてから…」と書かれていますが、映画などで見かける一般的手榴弾としては正確には「ピンを抜き、安全レバーが外れてから」が正しいです。
ところで「非日本式」って何ですか?
ジョン・ウェイン
- 旧日本軍のはピンを抜いて檄鉄をぶつけたりヒモを引いたりして発火させてから、、、
って聞いたんで。
親発
- ちなみに着発信管というのは着地直後に爆発するんですか?
親発
- ピンを抜いただけでは爆発しませんね(恥)。
>4 そうです。
yuji
- 「ピンを抜いてから」というのは正確ではありませんね。
非日本式というと思い浮かぶのは、
米英が使用しているフライオフレバー式
ドイツ製や中国製で主用される摩擦発火式
イタリアやチェコで使用されたオールウェイズ着発信管式
まあ、この他、化学反応利用式というのもあります
おそらくご質問のはフライオフレバー式だと思うのですが、ポケットやベルトに掛けるのに便利な、万年筆のキャップについているようなあの金具、あれが安全装置です。
あのレバーを握っている限りは、ピンを抜いても曳火式時限信管は発火しません。
レバーが信管を叩くスプリングを押さえており、レバーが跳ね飛ぶと同時に時限信管が作動し始めます。
レバーを握らずにピンを抜けば、その場で信管が作動し始めますから摩擦発火式と同じような使い方をすることもできます。
ピンを抜いてレバーだけ握ってタイミングを待つことができる、ピンを抜いても戻すことができるという点で使い勝手は最良でしょう。
摩擦発火式というのは曳火式時限信管への着火を衝撃などによらず、マッチの火をつけるように行うもので、多くは紐(の先についた摩擦発火具)を勢いよく引っ張ることで発火させます。
ドイツのポテトマッシャーが代表的なもので、これの構造をコピった中国軍の手榴弾もこの方式です。
これは紐を引いてしまったら待つことができないのが最大の欠点です。
このタイプは「ピンを抜いてからの経過時間で爆発する」手榴弾です。
それでも、日本軍の手榴弾が投擲前二挙動必要なところを一挙動で投げられますし、中国軍や捕獲した日本軍がやったように、紐を指に掛けておいて、投擲と同時に発火するようにしておけばフライオフレバー式と同等とも言えます。
オールウェーズ着発信管式は、安全カバーを外して投げればよいというものです。
どの姿勢で地面に落下しても爆発する信管なので「オールウェーズ」といいます。
信管の延時を気にしなくてよく、着地の瞬間に爆発するので理論的には投げ返すことも不可能と、よさそうに見えるのですが、投擲者の安全のため、信管をあまり鋭敏にすることができません。急な掃射を受けて伏せたり、うっかりポトっと落としたくらいでは爆発せず、投げ込むと確実に爆発するような調整なんてなかなかできるものではありません。
このため、これを採用したイタリア軍の手榴弾は砂地や草地に低い弾道で投げ込むと不発が多く、しかし不発弾はもう信管は生きているのでうっかり触ることもできないという厄介モノでした。(重いものを高い弾道で投げ込むのはコントロールが難しいというのは川原や浜辺で丸石を持って投げてみるとわかると思います)
また、ブービートラップつくりに応用するのもいちばん難しいですし、実用性はあまり良くなかったと言えると思います。
まなかじ
- まぁあえて説明の必要はないと思いますが、旧日本軍の手榴弾の点火機構について。
10年式〜99式までの旧日本軍の手榴弾の点火機構は、安全ピンを抜いてから頭頂部の撃針体を硬いものに叩き付けて点火、投擲する仕組みです。この方式は、元々擲弾筒から発射することを前提に設計されていたフシがあります(擲弾筒から発射する場合、発射時の加速度で撃針が沈み込んで点火される)。点火してから爆発するまでの時間も7秒と長く設定されていました(10年式と91式)。これらを逆に見ると、91式までの旧日本軍の手榴弾は投擲をあまり重視していなかったと考えることができます。
ちなみに、旧日本軍の手榴弾のこの点火機構を利用してブービートラップに使うこともできたようです。ピンだけ抜いて上から板等を被せて隠しておき、敵兵が気付かずにその上を踏むと点火、爆発するという簡易地雷的な使い方です。
なお、旧日本軍でも98式柄付手榴弾というドイツのポテトマッシャーそっくりな摩擦発火式手榴弾が制式化されています。
ブラック・タロン
- 完全に余談ですが・・・。
7>元々擲弾筒から発射することを前提に設計されていたフシが・・・
九九式手榴弾(甲・乙)のマニュアルに次のような記述があります。
『甲は近距離の敵に対しては手榴弾として使用し、遠距離の敵に対しては擲弾器を用いて放射する。』
やはり最初から考慮に入れていたようです。
『乙は手投げにて使用する』
乙は手投げのみのようです。(乙は摩擦発火式)
あと、上に書きましたが、日本軍の手榴弾にもプル・タイプ(まなかじ氏が摩擦発火式としてご説明している物)の物があったようで、米軍の資料に記載されています。
ただ、それが九九式乙のことなのか、先にまなかじ氏が紹介されている『捕獲した日本軍がやった』物なのかは(私の勉強不足の為)不明です。(米軍資料の図と九九乙が似ていない為)
ウエストモーランド
- 大切な事を書き忘れました。
私の書いた摩擦発火式の手榴弾は、7番の回答でブラック・タロン氏が書かれているポテトマッシャー型の物(98式)とは別の物です。
ウエストモーランド
- >8&9:
99式手榴弾は点火時間4〜5秒で、基本的には投擲と思われますが、100式擲弾器を使って小銃の銃口から発射するスピゴット式ライフル・グレネードとしても使えました。点火機構は91式等と同じですが、点火時間から見て擲弾筒での発射は考慮されていないと思います。わしの手元の資料には甲・乙という区分は載っていませんでした。
> 日本軍の手榴弾にもプル・タイプ(まなかじ氏が摩擦発火式としてご説明している物)の物
手元の資料に、旧日本軍が使用した鹵獲手榴弾として『民国23式手榴弾』というものが載っています。当時の南京政府軍が採用したもので、ポテトマッシャー型ではありませんが、蓋を外して中の紐を引っ張ると点火される摩擦発火式です。中国戦線で旧日本軍はこの手榴弾を大量に鹵獲したらしく、相当数が内地に後送の上で各方面の部隊に再交付されたそうで、鹵獲した連合軍は日本製と考えていたとのことです。
あと、紐を引っ張って点火するタイプではなく、マッチのように点火薬と摩擦板を摺り合わせて点火する機構を備えた手榴弾もありました。日中戦争の勃発に伴い、日露戦争で使用された着発信管式手榴弾(訓練用としてストックされていた)を改造した急造品で、頭部の着発信管を外して点火薬を装填し、保護キャップ裏蓋の摩擦板で擦って点火、投擲するようになっています。ちなみに、98式柄付手榴弾の中にも、この日露戦争型手榴弾に摩擦発火機構と柄を付けた改造品がありました。
ブラック・タロン
- WWII時のイタリアの手榴弾は動作が不確実で不発が多かったそうです。んで、そのくせまたその不発弾に後で迂闊に触ろうもんならそこで爆発してしまうこともあり、その塗装から北アフリカでは連合軍兵士に「赤い悪魔」と言われて恐れられていたとか。
tomo