1526 |
太平洋戦争中の米軍って 対空戦闘では本当に レーダー射撃をしていたのですか? Mk.37 GFCS(Gun Fire Control System)に Mk.4やMk.12 FCR(Fire Control Radar)がついているわけですが... 低高度から接近する飛行機をMk.4やMk.12で追尾する場合 海面からのイメージを誤って追尾してしまう傾向があり これを防ぐためにMk.22 FCRがMk.4やMk.12とともに装備された となっているのですから 全くやっていない ということは無いのでしょうけど... 米艦隊攻撃から生還された搭乗員の手記などを読むと 雲をすぎて艦隊がはっきりと見えるようになるまで射撃を受けず 雲を抜けたとたんに曳光弾が怒濤のように押し寄せてくる というようなものが多いような気がするのですが... 高角砲の射撃を受けている時は必ず艦隊が目視できる状態のようなのです(あ号作戦時や捷号作戦時の搭乗員の手記では) また神風攻撃時のものを見ると 日本機が撃墜されずに突入に成功した(不謹慎ですみませぬ)例を見ると 雲に隠れて接近し 姿を見せたら射撃の時間が殆ど無いまま突入 とあるものが多いような気がします だったら夜間は... 夜間雷撃に参加した搭乗員の手記ではレーダーの無い機銃が... 赤い吹雪のようだ という形容をされた方もいらっしゃいます(曳光弾があまりにも綺麗でつい 見とれてしまった との話もありますが) という訳で? 本当に飛行機に対してレーダー射撃を行っていたのでしょうか? セミララ |
- やってます。
ちなみに高角砲弾は曳光弾使ってないので
>雲を抜けたとたんに曳光弾が怒濤のように押し寄せてくる
のはレーダーを持たない機銃の砲火です。
また高角砲の有効射程距離は短く、米軍の高角砲とほぼ同スペックの日本軍の12.7サンチで7〜8kmぐらいです。
つまり飛行機の側からもはっきり見える状況でないと届きません。
そして電探射撃は何らかの形で目標の概算位置を知ってから照準します。つまり基本的に捜索手段を別にもつ必要があります。
当時の対空見張りレーダーは方位は出せても高度が出せません(それが出来るのは三次元レーダーですが戦争には間に合いませんでした)
よって、方位何処其処に反応ありとは出せても、その高度が不明ですから最終的には目視に頼る要素が大きいのです。
通常の空襲では多数の敵機がやってきますから、どうしても見張り能力は分散されますし、見張り員と電探、更には照準装置の連携にも問題が生じる隙が多くなります。
このような状況から、雲の切れ目から現れた敵機に対処が遅れることになるのです
(対空見張りレーダーに反応があっても、それは虚探かもしれないし、高度が不明ですから照準レーダーに報告が行っても今度はそれで高度精測をしてと・・・もたもたしてたらあっという間に突っ込まれます)
勿論夜間攻撃では肉眼での観測が難しくなりますので。(低空での雷撃が主体ですから照準電探は低い高度だけを捜索するという手立てが使えますが、ご質問にあるように低空では失探しやすいので厳しい事になります)
電探照準は精度が高くて反応の早い測距儀でしかないのです。見張りに依存するという点は変わらず、見張りレーダーは二次元情報しか得られず(距離や観測時間が得られれば概算で高度を推測する事は可能ですが)その能力には限界があったのです。
SUDO
- 御回答 ありがとうございます
>ちなみに高角砲弾は曳光弾使ってないので
から
>つまり飛行機の側からもはっきり見える状況でないと届きません。
雲を抜けたら曳光弾が飛んでくる ということは 射程が長い高角砲だったらもっと前から撃ってくるのでは という事をいいたかったのですが...
つまり 雲を抜けたらボフォース40mmの射撃を受ける→艦との距離は4km以下(?) 対して高角砲の射程は7〜8km位(?) だったら雲を抜ける前から機の周囲に炸裂煙があがるのでは と思ったのですが パイロットの手記を読む限りでは 雲を抜けて曳光弾に囲まれるようになってから機の周囲に高角砲の炸裂が始まる とあったもので...
小学生の時から国語がだめだめなんです 説明が下手でごめんなさい
>そして電探射撃は何らかの形で目標の概算位置を知ってから照準します。つまり基本的に捜索手段を別にもつ必要があります。
今の射撃レーダーは それ自体がある程度のスキャンを行っている(と思う)のですが 当時はそれがなかったのでしょうか
>当時の対空見張りレーダーは方位は出せても高度が出せません(それが出来るのは三次元レーダーですが戦争には間に合いませんでした)
SMレーダーとかSPレーダーとかじゃぁ だめ? SPレーダーって戦後だったっけ どっちにしても装備している艦が限られていますが
>よって、方位何処其処に反応ありとは出せても、その高度が不明ですから最終的には目視に頼る要素が大きいのです。
から
>電探照準は精度が高くて反応の早い測距儀でしかないのです。見張りに依存するという点は変わらず、見張りレーダーは二次元情報しか得られず(距離や観測時間が得られれば概算で高度を推測する事は可能ですが)その能力には限界があったのです。
了解しました
セミララ
- >そして電探射撃は何らかの形で目標の概算位置を知ってから照準します。つまり基本的に捜索手段を別にもつ必要があります。
> 今の射撃レーダーは それ自体がある程度のスキャンを行っている(と思う)のですが 当時はそれがなかったのでしょうか
「世界の艦船」からの記憶モードなのですが、、Mk56とかいうFCSが1945年の8月に完成したそうです。
これは、対空レーダや対水上レーダからもらった情報で、FCSを指向したあとに捜索モードでFCSレーダが敵機の探知を開始するという形式だったらしいのですが、当時の海軍作戦部長から光学照準装置を付加するように厳命があったとのことです。
記事によれば、特攻機などの高速目標に対するレーダ探知に時間がかかることがあったのが理由ということですので、それまでのレーダ付きFCSでは、目視でFCSを指向してレーダ測遠を開始したほうが遠距離から射撃開始可能なことが多々あったのではないでしょうか。
余談
別所で議論されているVT信管ですが、上記のような話を聞くと、高角砲射撃だけに限ってみてもいろいろなシステムがからんでる訳で、「○○があれば大丈夫」ではなくて「○○が加わればなお良い」(「○○だけあっても駄目」ということもあるかも)ということではないかと個人的には思えてしまいます。(これはVT信管に限らないような気もします。)
SAW
- >2
> 今の射撃レーダーは それ自体がある程度のスキャンを行っている(と思う)のですが 当時はそれがなかったのでしょうか
今でも当時でも対して変わらないのですが、照準用レーダーの電波は、極めて細い円錐形状で放射されます。
この円錐の中の反応を見るわけです。いうならば鉄砲の照準スコープで見ているのと同じ事です。
よって、FCSのアンテナを上下左右に振り回せば捜索は成立しますし、当時でもやってます。ただし視野角の非常に狭い物で全天捜索をするのは効率が恐ろしく悪くなります。最新鋭のフェイズドアレイなんかは電子的にアンテナを振り回して高速で全天走査していますが(イージスのなんかそうですね)
そこで、高度情報の得られない二次元レーダーの「三時の方向の敵機」のような報告に従ってFCSを指向し、次にFCSアンテナを上下にスイープして捕捉する訳で、この仕組みも大戦時から現代まで基本的に変わってません。
捜索レーダーの方位観測精度が低いと、例えば「3時の敵機」という報告に対して2時55分から3時5分の範囲を探す必要が生じます。アンテナを上下左右に動かして「見えたっ!」てやるのにかなりの時間がかかる事が理解できるかと思います。
現代のFCSは各種の技術革新で軽量化して高速にアンテナを振りまわせるし、捜索電探と密接に繋がっておりデータの遅延が生じにくく、更には捜索精度も高くなってますが、基本的な要素は全然変わってません。単にアンテナを振り回す度合いの減少とアンテナの軽量化による振り回し速度の向上が為されているだけです。
またコンピュータによる情報処理能力の向上により、FCSに対してどの対象を狙うかといった制御も効率的に行えるようになってます(同じような距離の別方向の敵機に対して、より早く指向出来る側を狙わせるとか)これもFCSが目標を捕らえる速度の改善に寄与しています。
一つの目標に対してなら当時でも今でもそう極端な違いは生じませんが、多数機を相手にすると、次の目標への切り替えの時に失う時間が相当違って来るわけです。WW2時のシステムと現代のシステムの最大の違いは細かい精度の向上と、優れた情報処理能力による反応時間の短縮、そして捜索距離の改善による対処・追尾時間の延長(射程距離の延長も)な訳です。
これらによって有効射撃時間・有効射撃機会と射撃精度が少しずつ改善されて、それらの積によって大きな違いが生み出されているといえるでしょう。
そして、もっとも大きな改善は三次元レーダーによってFCSが捜索する範囲を大きく限定できた事だと個人的には考えます(そうでないと遠距離照準に要する時間と手間が怖い事になります)またFCSの照準精度改善にはアンテナの発する電波の円錐をなるべく絞る事が要求されますが、これは一度に捜索できる範囲が小さくなる事を意味します。つまり捜索電探の精度が向上しないと実効戦闘能力はかえって低下する事も考えられるでしょう。
対空戦闘システムとは、実に多くの要素が影響し合い、簡単に一つの装置が状況を覆すのは難しいわけです。
SUDO
- SAWさん SUDOさん レスありがとうございました
う〜ん システムというか体系というか 難しいものですねぇ
私の知っている(対空)射撃レーダーの目標捜索スイープ(的補足前)は アンテナ全体は動かさずに その極一部だけを動かして ペンシルビーム(SUDO氏の仰る「極めて細い円錐形状」)を渦巻状に 言い方を変えると 蚊取り線香のような感じでビームを振り回します 因みにこのタイプでも多目標同時追尾が可能です
とか言っても 目標捜索に時間がかかるのはそのとおりですね
セミララ
- (お碗型の)パラボラアンテナがついているレーダーは
高度が出ますから
ドイツのヴュルツブルク(1941)、アメリカのSMレーダー(1944)は
高度が出ます。
ブーゲンビル沖の1式陸攻隊は超低空で
米艦隊の想定海域に接近すると
米艦が猛烈に撃ってくるので
それを目印に突入したとかありますね。
ななし
- >6
ウルツブルクは知りませんが、SMは戦闘機誘導用のレーダーで捜索レーダーではありません。敢えて言うならFCSのレーダーに近いものですね。
概ねアンテナの開口部形状に逆比例した形で電波が発せられますので
横に広いアンテナは幅が狭く、上下に広がった扇形で電波が発せられます。
このアンテナを旋回させることで反応の有無を見るわけです(アンテナの指向角がつまりは反応のあった方位)
この場合、海面上にある物体でも空中物体でも(極端に言えば)同じように反応があるので、高度が判らないわけです。
お椀型ですと、つまりはFCS等と同様に円錐状に電波が出ますから、アンテナを上下左右に振る事で目標を探す事になります(夜間爆撃に対するサーチライトと同じような物です)方位と仰角と距離が出ますが、捜索には手間がかかることになります。
電波の出し方やアンテナ形状周波数等、様々な物がありますが、結局扇型で簡単にスイープできる二次元レーダーと、捜索にかかる手間も機材コストも凄まじい三次元レーダー、精度は凄いけど捜索には不向きな射撃レーダーとある程度のすみわけがなされている訳です。
>5
電子的にビームをスイープさせる手ですね。ええ、結局アンテナを振り回すのとやってる事は同じです(精度も速度も向上していますが)
多数同時追尾も電子的にビームを振り回せる範囲に対象が存在する場合です。
例えばイージスのSPY−1はその為に四方にアンテナを置いて全方位に対応しています。
FCSに用いられるレーダーも同様の能力を持つものがあるのでしょうね。
SUDO
- >お椀型
SK-2レーダーは 高度測定は 可能なのでしょうか?
>>5
>電子的にビームをスイープさせる手ですね。
私の言っているのは電子的スイープでなくて お椀(主反射鏡)は動かさずに放射器や副反射鏡を動かしてスイープする物です
セミララ
- >SK2
なNらかの工夫で上下方向に振り回すことが出来るなら測高もできるでしょうが、そういう機構を持ってるかどうかは知りません。
>放射器や副反射鏡を動かしてスイープする物
なるほど、了解です。そいや他にも何か手があったような・・・>出てこない(;_;)
まあ、色々手立てはあるみたいです>電波振り回し
SUDO
- >7
おやおや
SKレーダーSMレーダーのSは
何の略なんでしょう?
ななし
- >>SUDO氏
あんまり言うと強制収容所に放り込まれるんで(泣)、平面アンテナ一般についてだ
け言うと、フェイズドアレイレーダーは、沢山の走査モードを持っていますよ。
あれって、バイナリオプティクスみたいなもんで、対象物表面に焦点を作る形で電
磁波を収束したりすることができます。(読み筋:イルミネータ)できないのは、メ
ーザー化くらいなもんで(でも、理論上は可能なんだな)
sorya