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日本軍のヘルメットについて教えて下さい。 ベロウ |
- 追記、ヘルメットの歴史・発展という意味です。満州事変のVTRで日本兵が前につばが伸びた不思議なヘルメットを被っていたシーンが登場したので。
ベロウ
- あまり正確な資料が手元にないのですが、旧日本陸軍がヘルメット(鉄帽)を使い始めたのは昭和3年頃からだそうで、フランス軍のヘルメットを模倣したものだったそうです。その後、数回の改正を経て昭和5年(7年?)に制定された90式鉄帽が終戦まで使用されました。
90式鉄帽はクローム・モリブデン鋼製で、形状も避弾性に優れ、世界の軍用ヘルメットの中でも優秀なものの一つとされているそうです。
戦後、警察では少なくとも1970年代まで90式鉄帽を使っていたようです。1970年5月に愛媛・広島で起きた瀬戸内シージャック事件の時に、松山港に出動した愛媛県警の警官が90式鉄帽らしき白ヘルメットを被っていたのを映像で見たことがあります。また、中国軍でも鹵獲した旧陸軍鉄帽を使用していた(今も?)ようです。
以前、善通寺で陸自の隊員に現用の88式鉄帽(ケブラー製フリッツ型)について聞いたとき、その隊員は旧陸軍鉄帽の知識があったのか少し話をしてくれて、「クロモリ鋼製で割れやすいのが旧軍鉄帽の特徴だった」という旨のことを言っていました(ちょっとうろ覚え気味)。物体が当たったときに凹むのではなく割れることで衝撃を緩和するということでしょうかね?
ちなみに、一般歩兵以外のヘルメットとしては、挺身隊(空挺部隊)用の降下帽(椀型の鉄帽に布製の耳覆いを付けたもの)があります。この挺身隊用降下帽は陸自習志野駐屯地の『空挺館』で他の挺身隊用装備と一緒に展示されていたと思います。
あと、旧海軍の特攻艇『震洋』の乗員用にもヘルメットがありました。同じ海軍の特型内火艇の乗員用ヘルメットを流用したものといわれているそうですが、詳細は不明です。
これら以外の旧軍ヘルメットについては他の詳しい方のフォローを待ちます。
ブラック・タロン
- 鉄兜の試験は昭和二年の秋頃に行っているようですが、その後の一連の公式文書上では型式を呼ぶ事はまず無く「鉄兜」「鉄帽」の両者が使われています。制式鉄帽の他にも形状が色々あったようで「鉄帽大」「鉄帽小」などの名が見られます。
また鉄兜の抗堪試験には大砲による砲撃の他、旧式小銃を改造したものが使われていますが、三八式を7.7mm口径に改造したものも使われており、7.7mm小銃弾に対する抗堪性を考慮しているらしい所が興味深いですね。
BUN
- >前につばが伸びた不思議なヘルメット
正式名称では無いと思われますが、サクラヘルメットと呼ばれているものではないかと思います。
形状は、質問者の方が仰る通り、前方のフチが帽子のつばのようにせり出しており、全体的にやや浅めに作られていました。
特徴的なのは放熱口の形状で、ヘルメットの天頂部に開口部があり、その上にまるで5枚の花びらにような覆いが溶接(かな?)されていました。
この特徴的な覆いの形から、サクラヘルメットと呼ばれているようです。
このヘルメットの開発経緯については、残念ながら、存じ上げませんので、ご存知の方の回答お願い致します。
ウエストモーランド
- >形状は、質問者の方が仰る通り、前方のフチが帽子のつばのようにせり出してお>り、全体的にやや浅めに作られていました。
そのようなものを以前中田商店の御徒町店で見た覚えがあります。群青色、とでも言いましょうか青と灰を混ぜたような微妙な色をしていました。記憶モードですがたしか錨のマークがついてたようなきがします
紅葉饅頭
- ゴミレスです。
5>
それがサクラヘルメットの海軍用のレプリカだそうです。(前章は桜と錨だったはず)
海軍がサクラヘルメットを使用していたかは、(私の)資料不足の為不明です。
あと、陸軍の物は前章が星のマークになっています。
ウエストモーランド
- 陸軍のヘルメットは、大正中庸より試作がなされて「鐵兜」の名稱で使用されています。
昭和七年に「鐵兜」の名稱で兵噐區分での整備されていたヘルメットを、整備向上の見地より被服へと整備區分を移行したために、名稱は「鐵帽」と變更されました。
また、スウェーデン鐵帽を基にして開發がなされた新型の「九〇式鐵帽」の制定により、從來の「鐵兜(鐵帽)」はこの「九〇式鐵帽」との區別のために「舊式鐵帽」と呼ばれております。
ひめみやきりん
- 陸軍工兵隊では「九十式鉄兜」に続き昭和十三年に小銃弾への抗堪性を増した「98式鉄兜」が採用されております。諸元は以下のとおりです。
(()内は九十式です。)
板厚 :約2mm(約1mm)
重量 :約1.9kg(約1kg)
防弾抗力:7.7mm普通実包弾の直射命中弾は500mにて抗堪可能
(上記と同じ条件だと1000mでも貫通)
参考文献:光人社NF文庫「工兵入門」
畝傍
- 1920年代後半あたりから少数ながら使用されていたようです。
その頃のヘルメットはイギリスの皿型ヘルメットに似ていますが高さが低くフチがほとんどない形状で、頭頂部にトサカのような出っ張りが付いていて、後のヘルメットとかなり違います。中西立太『日本の軍装』にイラストで出ています。
満州事変頃のヘルメットには皆さんのレスにあるフランスのアドリアン・ヘルメットをモデルにした桜ヘルメット以外に、ドイツのM35ヘルメットに似た形状(全体的に丸くフラットになっている)のヘルメットも存在していたようです。
ただしこれは最近AMAZONで購入した洋書OspreyのThe Japanese Army(1)に書かれていたもので、他の本では見たことがありません。これって本当に実在したものなのでしょうか?
モーグリ
- ゴミレスですが、
1)十数年前の「コンバットマガジン」で日独米のヘルメットを実際に射撃する記事が出てました。独米のヘルメットはへこんで弾を弾きましたが、日本のは割れてました(薄い茶碗にアイスピックを突き立てたら出来そうな矩形の割れ)。記事には「日本のヘルメットはモリブデンの含有量が多く硬い」、「割れることで衝撃を吸収する考えか?」みたいなことが書いてあったと思います。
2)たまに行く軍装屋で聞いたところでは、桜ヘルメットの実物は出てこないだろうとのことで、超レア物のようです。このタイプは新型が出た時に鋳潰してしまったとのことでした。陸軍のレプリカはありますが、色などが正確なのか不明です。
チャッピー