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1460  銃把と銃床について、質問させていただきます。
・狙撃銃では、セミオートはピストルグリップ、ボルトアクションでは銃床一体型 のグリップが多いようですが、これにはどのような理由があるのでしょうか。
・どちらにも一長一短があるものと思いますが、それはどういったものなのでしょ うか。
 よろしくお願いします。


きめら

  1.  ミスで無関係な場所にスペースが入ってしまいました。
     ところで、第二次大戦のころのSMGは、ほとんどが銃床一体型のグリップでした。しかし現代では、ピストルグリップのものばかりになっています。このことから、『オートにはピストルグリップ』なのだろうと思います。一方、『ボルトアクションには銃床一体型グリップ』と思えるような例はありませんよね?
     ともかく、この二種についていろいろと教えていただければと思います。
    きめら

  2. 自動銃では連射の反動をまっすぐ肩で受け止めないと安定した射撃ができません。
    曲銃床では反動をうまく受け止められずに銃口が跳ね上がってしまいます。
    このため自動銃では直銃床+拳銃握把となります。

    しかし、照準や射撃姿勢(特に最も多用されるはずの伏射の場合)を考えると、曲銃床のほうが基本的には合理的なつくりとなっています。
    ですから、連射をしない銃では曲銃床を採用するのが普通です。

    ちなみに、直銃床+拳銃握把で伏射に最大限対応しようとした例がドイツ降下猟兵用のFG42初期型ですが、グリップを思い切り後方に傾けています。しかし、そうなると膝射や立射のときに無理な姿勢となり、結局後期型では普通のグリップに戻しています。

    まなかじ

  3.  をっと、モタモタしてたら先越されてしまいました(苦笑)

     すでに書かれていますが、ピストル・グリップ型ストックの利点として、構えたときに銃を肩と頬によく引き付けてしっかり保持でき、反動をコントロールしやすいというのがあります。
     ライフル等のストック(銃床)は、基本的に肩(床尾板)・頬(ストック上部)・手(グリップ)の3点で保持するものですが、銃把一体型曲銃床はその形故に銃把部分で反動を抑えるのが難しいのです(これは実際モデルガンでも持ってみるとわかるかと思いますが、曲銃床は構造上手首の角度が少々不自然になってしまう)。これは特にフル・オート機能を持つ銃だと顕著になります。
     M14ライフルがアサルト・ライフルとしては欠点があると言われる理由も曲銃床にあるといえます(元々アサルト・ライフル用としては強力すぎる7.62mmX51弾の反動を余計に抑えにくい)。このため、独立ピストル・グリップを備えたM14A1等の改良型が開発されています。
     なお、ピストル・グリップ型ストックとストレート・ストックの中間的なものとしてサム・ホール・ストックというものがあります。ストレート・ストックの変形みたいなもので、銃把の部分をピストル・グリップ風に成形して親指を通す孔(サム・ホール)を開けています。競技用ライフルによく見られます。

     ちなみに、オートだからピストル・グリップ、ボルト・アクション等の手動式だから曲銃床と決まり切ってるわけではありません。上で挙げたM14ライフルやM1ライフル(ガーランド)等のように曲銃床のオート・ライフルや、逆にピストル・グリップ付きボルト・アクション・ライフルの例も数多くあります。
     また、独立ピストル・グリップ型のアサルト・ライフルを原型にした民間用のスポーター・モデルの中には、法律で独立ピストル・グリップ型ストックの銃の所持が制限されている地域向けに曲銃床風のストックやサム・ホール・ストックを備えたものもあります。中国製や旧東ドイツ製のAKスポーター等に見られますが、お世辞にも格好良くはないです(笑)。

    >1
    > 第二次大戦のころのSMGは、ほとんどが銃床一体型のグリップでした。しかし現代では、ピストルグリップ
    > のものばかりになっています。

     MP-18/Iが登場してから第2次大戦までのサブマシンガンは曲銃床のものがよく見られましたが、これは当時の歩兵銃&騎兵銃の形状をそのまま受け継いだだけの話と言えます。

    >2
    > 直銃床+拳銃握把で伏射に最大限対応しようとした例がドイツ降下猟兵用のFG42初期型ですが、グリップを思
    > い切り後方に傾けています。しかし、そうなると膝射や立射のときに無理な姿勢となり、結局後期型では普通のグリップ
    > に戻しています。

     FG42初期型の極端に後方に傾いたグリップは、空挺降下中に地上に向けて射撃することも考慮していたそうです。危険なので実際にはやらなかったそうですが。
    ブラック・タロン

  4. 個人的には曲銃床はとにかく使いにくいなあ、という印象しかないのですが、それでも未だ残っているのは、
    >これは当時の歩兵銃&騎兵銃の形状 をそのまま受け継いだだけの話と言えます。
    とブラックタロンさんが仰っているように、単に(銃というものが始まった頃からの)伝統なのかな、という風に感じます。「使いにくいなあ」とはいえ、「全然ダメということでもない」というか、「まあ別にガマン出来るよ」という感じだから、というか。
    明々白々な一長一短とか、何らかのしっかりした理屈があって、曲銃床とピストルグリップが別個同時に存在している、ということは多分無いだろうな、と感じます。設計者の好みというバイアスの影響も、あるでしょうし…。
    satoski

  5. >明々白々な一長一短とか、
    これは曲銃床の、ということです。
    ピストルグリップについては、先に書き込みがあるように明々白々なメリットがあります(それが故にわたしは、ピストルグリップ派でもあります)。
    satoski

  6. AK47をはじめとして、ピストルグリップ装備なのに曲銃床ライフルのごとくストックが垂れ下がっているものが偶にしかし結構ありますが(もっともAKの場合カラシニコフさんの単純な思いこみによる間違いだそうですが)これらはなんと分類すべきでしょうか? 直銃床にしては本来の役目(反動のコントロール)を果たしていませんし、かと言ってピストルグリップ付きで曲銃床というのもどうかと思います。 さしずめ半直銃床(半曲銃床?)とでも言うべきでしょうか。
    紅葉饅頭

  7.  わずかな時間に多くの回答、ありがとうございます。
     まず、直銃床と曲銃床、という用語からですね。これを知らなかったため、銃床一体〜という、長ったらしい表現になってしまいました。
    まなかじさま
     この二つの特徴を挙げるなら、
    ・直銃床 反動を制御しやすい。
    ・曲銃床 伏射に有利。
     ということですね。狙撃銃に曲銃床が多いのも、この辺に理由の一つがあるのかも。
    ブラック・タロンさま
     >MP-18/Iが登場してから第2次大戦までのサブマシンガンは曲銃床のものがよく見られましたが、これは当時の歩兵銃&騎兵銃の形状をそのまま受け継いだだけの話と言えます。
     わざわざ直銃床にしよう、とは考えなかったのかもしれませんね。歩兵銃の製造技術がそのまま使えた、ということかもしれませんが(射撃の技術も?)。
    satoskiさま
     伝統や好みまで関わっている、とは考えもしませんでした。理詰めで作られているわけではないと言えそうです。
    紅葉饅頭さま
     AKもそうですが、トンプソン短機関銃あたりも、垂れ下がった形をしています。何度か改良されているものなのに、ここが変わっていないのには何か理由があるのかもしれませんが。
     (トイガンで)構えてみると、銃口が上を向きがちになるのですが……。
     
    きめら

  8. 自動銃=直銃床、手動銃=曲銃床 という 結論は、やや安易な物と思います。 その用途により選択されます。

    形態的にまとまりを得た小火器として、火縄銃に始まる鉄砲の歴史は、おおよそ500年も有ります。
    その結論は、銃を肩付け照準する時のし易さ、素早さは、曲銃床が一番なのです。
    現代でも、狩猟・クレー共、素早さが必要であるショットガンのほとんどが、曲銃床です。
    ピストルグリップのショットガンは、一部のポリス用→主に腰だめ撃ち&近距離目見当撃ち、だからです。
    単に反動を受ける事のみ考えれば、銃口跳ね上がりの偶力が起き難い、直銃床(必然的にピストルグリップ付き)が
    良い事は、昔から理解されています。
    しかし、人間の体型は、肩中心部と眼の高さが15cmぐらい離れている事は、言うまでもありません。
    銃保持を肩中心で考える直銃床タイプにすると、照準器のみ高い位置に設置しなければならなくなり、
    素早い照準には不向きとなり、普段の携帯性にも不利、ぶつけて損傷し易くもなります。
    照準器が高い位置に在ると、僅かな照準左右傾きでも、着弾点は大きくずれ易くなる事も現実です。
    ですから、銃床上面と照準軸線との距離を示す”コーム”とか”ヒール”と言う銃床用語が重要であります。

    近年、ボルトアクションでも、射撃競技用の銃で、直銃床、或いは、準直銃床が主流になって来たのは、
    銃口跳ね上がりの偶力を抑える他にも、例えば立射競技で重い銃を長時間肩付け保持するには、ピストルグリップが、
    楽だからです。 
    照準素早さや、普段の携帯性は、必要ではないからです。 当然、照準器位置は、高めになってしまいます。

    しかしながら、照準のし易さばかり考えていられない銃種が有ります。軽機関銃です。
    連射が主な撃ち方であり、単発撃ちや、連射時の初弾ばかりの事を考えても居られません。
    アサルト・ライフルが出現する前から、軽機関銃は、各国とも直銃床、或いは、準直銃床が主流です。
    銃口跳ね上がりの偶力を抑える事、そして小銃より重い約10kg前後の銃を常に形態、保持、照準するには、
    直銃床とピストルグリップが、向いています。
    (某国の、”11年式軽機”や”マドセン”の形態は、軽機関銃開発の試行錯誤時代と言う事で容認してあげましょう。)

    蛇足ながら、白兵戦時・銃剣格闘の場合、ピストルグリップが無い曲銃床の方が、取り回し性が良いとも思いますが。

    SMGの件は、腰だめ撃ちが主なSMGは、初期SMG以外、ピストルグリップが主流で、この方が操作し易いものです。
    一部に、小銃的曲銃床の物が存在していますが(例、戦後でもベレッタ)、それは、
    「カービン銃的使用方法を考えている、或いは、その思想を捨てきれていない。」という事です。 

    軌跡の発動機?誉

  9. >>MP-18/Iが登場してから第2次大戦までのサブマシンガンは曲銃床のものがよ>く見られましたが、これは当時の歩兵銃&騎兵銃の形状をそのまま受け継いだだ>けの話と言えます。
    > わざわざ直銃床にしよう、とは考えなかったのかもしれませんね。歩兵銃の製>造技術がそのまま使えた、ということかもしれませんが(射撃の技術も?)。

    ブラックタロンさんが例に挙げたMP−18が何故曲銃床になったか?
    それはライフルと同じ個人携帯火器であるから形も同様にあるべきだ、と言うこともあったかも知れませんがそれは生産性UPのために当時の独逸帝国の基幹小銃Gew98のストックを流用しているからなのです。他にもMP−18には当時としては珍しく(それでもプレス等の未来の銃が扱った技術は用いませんでしたが)量産化が考慮されるなど部分的ながら時代を先取りした銃であったようです。

    そしてWW1後少数ながら警備用等に各国軍に採用されたSMGの中に基幹小銃と同じデザインのストックを装着したものがありますが(例、MP−18の英海軍型モデルランチェスターMk1、たしか小銃はリー・エンフィールド)これらは生産効率のためではなく、兵士への教育を簡便にするために施された措置だと思います。
    紅葉饅頭

  10.  第2次大戦中のドイツでは、MP40からピストル・グリップとフォールディング・ストックを廃して木製曲銃床を備えたMP41を警察向けに製造していました。これはドイツの警察で使用されていたMP-28/II(MP-18/Iの改良型で木製曲銃床装備)と同じ操作性を維持するための策だったようです。

     ちなみに、警察等の治安機関においては、政治的な配慮からあえて曲銃床の銃を採用する例があります。直銃床&ピストル・グリップが主流の現代軍用銃&公用銃は、得てして物々しい外観であるため、一般市民から警戒を抱かれる可能性があります。これに対し、銃把一体型曲銃床は民間用ライフルやショットガンで広く使われており、軍用銃ほど物々しく捉えられないというわけです。
     例えば、米スターム・ルガー社がM14ライフルの小型版として民間向けに開発したミニ14(AC556)は、曲銃床付きスポーツ・ライフルの外観を持ちながら軍用5.56mm弾が使えることから、アメリカの一部のSWATや仏ジャンダルム(内務省国家憲兵隊)、イギリス警察の一部で使用されています。上で挙げたMP41もある意味これと同じ例と言えるでしょうか。
    ブラック・タロン

  11. >9.基幹小銃Gew98のストックを流用しているからなのです。

    単純に、読むと、ほとんど同一品の様に読み取ってしまいます。両者ストックの機関部取り付け部位の形状、処理
    (タングとか、ベディング)は、Gew98とMP18は、まったく別物です。
    要は、銃床素材を流用した程度の事でしょう。 どうしてストックを付けたのか? 下記に続く。

    >10.MP41 MP-28/II〜と同じ操作性を維持するための策だったようです。

    MP41の開発・製造は、MP38/40の”エルマ”社ではなく、MP28の”ハーネル”社であり、
    当然”Schmeisser”技師の設計である事がポイントです。
    何故、MP28を初め警察用サブマシンガンが、ピストルグリップを採用せず、ストックタイプ(曲銃床)なのか?
    それは、警察運用としてカービン的使用(照準−単発射撃)を考慮すると同時に、暴動鎮圧−混乱時に、
    こん棒として使用する事も想定していたからです。
    (極東某国機動隊の催涙弾ガス銃も!! 単発機能の無いMP18ベルグマンも、塹壕白兵戦時に、同様の考え)

    *床○氏のサブマシンガンの本には、その辺が説明不足ですね。

    >8.のレス冒頭を繰り返します−−−−銃床の形状は その用途により選択されます。

    〜?誉

  12. そういわれれば
    >銃保持を肩中心で考える直銃床タイプにすると、照準器のみ高い位置に設置しな>ければならなくなり、
    M−16なんかが一番顕著な例ですかね。
    たしかにもろ「ストレート」ストックのような気がしますな。

    補足
    >近年、ボルトアクションでも、射撃競技用の銃で、直銃床、或いは、準直銃床が>主流になって来たのは、
    >銃口跳ね上がりの偶力を抑える他にも、例えば立射競技で重い銃を長時間肩付け>保持するには、ピストルグリップが、
    >楽だからです。 
    >照準素早さや、普段の携帯性は、必要ではないからです。 当然、照準器位置>>は、高めになってしまいます。
    補足すると競技用ライフルのバットプレートは、上下に大きく可動しますし、立射
    の際には、パームレスト等(競技によりルール制限あり)により銃の高さを稼げるので直銃床でも照準器を視線近くまでもってくることが出来ます。
    また、照準器自体もハイサイトブロックという部品により高さを稼ぐことが可能です。

    愛のない突っ込み
    >仏ジャンダルム(内務省国家憲兵隊)
    仏のジェンダルムリーナショナルは国防省に所属してます。
    (陸海空軍から独立した4番目の軍隊)
    平時には内務大臣や司法大臣の指揮を受けることが多いようですが。
    ところでブラックタロンさん、ミニ14(AC556)は仏ポリスナショナル
    (内務省国家警察)所属のCRS(機動隊)も採用してませんでしたっけ。
    (手元に資料がないんで記憶モードですが)

    余談
    >それは、警察運用としてカービン的使用(照準−単発射撃)を考慮すると同時>>に、暴動鎮圧−混乱時に、
    >こん棒として使用する事も想定していたからです。
    それは充分ありうる気がいたします。
    少なくてもCRSあたりは荒っぽさ有名らしいので、想定してなくてもミニ14あたりでやってくれそうです。
    某国でも「盾の底」とか「篭手の先端」とか裏技があったらしいですが。


    SAW

  13. >12.
    > 某国でも「盾の底」とか「篭手の先端」とか裏技があったらしいですが。

    余談の余談で恐縮ですが、「篭手の先端」は裏技などではなく「そのように作られているのだ」と、
    高校のときの倫社/政経の先生が授業中に語ってました。曰く「拳を握ると拳は篭手の先端に隠れ、
    突き出す(要するにパンチを繰り出す)と飛び出た篭手の先端で皮膚などはザックリ切れるのだ」と。
    あの先生は学生時代にはヘルメット被ってデモしてたんだろうなぁ(微笑)。

    TDM850

  14. >11
    そうだったんですか、量産性重視でストックを流用したものかと思っていました。(汗) 誉さん、ありがとうございます。モーグリさんいい加減なこと言って申し訳ありませんでした。
    紅葉饅頭


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