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続けざまですみません。 大砲の砲弾は、砲に旋条が切ってある場合は当然回転しジャイロ効果によって安定するわけですが、例えば仰角45°で発射した砲弾は、着弾時どのような方向を向いているのでしょうか。45°上を向いたまま着弾するのでしょうか。もし弾頭から着弾するとしたら、どのような力が働いて修正されるのでしょうか。 またその過程で、弾の回転による空気抵抗によって左右に弾道が曲がることはあるのでしょうか? 佐藤則行 |
- そのジャイロ効果によって弾頭がふらつかずに着弾まで安定した軌道を取るのであれば、着弾直前の軌道の方向と弾頭の向きはほぼ一致する、従って弾頭から着弾することになると思いますが。
風の影響などを無視して考えるならば、重力が作用するために軌道が弓なりにカーブする(垂直方向の速度が下向きの重力加速度がかかることによって低下しプラスからマイナスに変化、一方、水平方向の速度は一定であるため)、ご質問の弾頭の向きの修正もこうした重力が働いているためということになります。
アリエフ
- 飛翔する砲弾を肉眼で見ることは不可能ですが、肉眼で見る事の出来るジャイロ効果で飛ぶ物体と言ったらアメフトのボールなんかちょうど良い比較対象物じゃないでしょうか。クォーターバックが投げる超ロングパスを見るとアリエフ氏のおっしゃる通りの弾道を描いていますね。
jas1
- >弾の回転による空気抵抗によって左右に弾道が曲がることはあるのでしょうか?
空気抵抗によるものか単なる回転トルクによるものかは勉強不足で判りませんが、旋動弾は左右に曲がります。
現用の砲は、ほぼ全て腔線を右に切っていますので砲(銃)の示す方向より右に弾着します。
この偏差をドリフトとか偏流(へんりゅう)と言います。
はいどーも
- 便乗質問だが地球の自転に関係するコリオリの力は弾道のずれにどの程度関係するのだろうか?野砲や艦砲で射程距離10〜20km程度を対象にするとして。
アリエフ
- 前にもこの手の話題が出ませんでしたっけ。
過去ログにもあるかも。
SAW
- >5.艦船AnsQ.782が同様なテーマでした。 皆さん、見てみましょう。
>3.ドリフト 偏流
空気抵抗(空気効力)にる現象です。 野球のカープなんかと同様です。 よって、真空中ではこの現象は生じません。
ちなみに、各種銃砲弾の偏流の一般値を記述します。 仮に右ライフリングとして。
NATO7.62X51弾 距離400yd(360m)時 右へ0.1m、 1000ydで 右0.4m。
WWII戦時の6inカノン砲 最大射程13000m附近で 右140m。
同 8inカノン砲 同 17000m附近で 右270m。
>4.コリオリ影響に関しても、どこかAnsQで話題になりました。どなたか見つけてくれると良いですね。
地球自転=コリオリ影響: 北半球では、どちらの向きに射撃しても弾着点は、右へずれ、左半球では、左へずれます。
ズレの値は、その射撃地点の緯度が低い程大きくなります。
2O世紀初頭(1900年)以前の銃・砲は、その事を考え、左ライフリングが多く製造されました。
(主要先進国は、大概、北半球に位置し、予想戦地も同様です。コリオリ影響:右 を 偏流:左 で打ち消す訳です。)
WWII戦前後迄のフランスの小銃に左ライフリングが多いのも、かつて、フランスが大砲理論の主導国だったなごりでしょう。
しかしながら、通常の銃・砲は、弾丸飛翔時間が、僅か(ほんの数〜数十秒以下)ですので、
コリオリ影響は事実上無視出来る値であり、近年の射撃法では、ライフリング旋動による偏流値のみ考慮しています。
(戦艦や、列車砲などの大口径長距離砲は、それなりに考慮していたでしょう。)
以上。
軌跡の発動機?誉
- >6.↑ 間違い訂正。
コリオリの話題にて−−−−左半球では、左へずれます。 ”南半球”が正しいです。 失礼しました。
〜?誉
- 英語ですが銃弾を例にとった弾道力学の解説です。
How do bullets fly?
http://www.povn.com/~4n6/index.htm
TO
- みなさん、ありがとうございます。
782も拝見しました。
まとめると、
・弾丸はジャイロ効果によって仰角を保ちつづけようとするが、
重心がやや前方に置かれた設計がなされているため、
空気抵抗により回転軸が弾道に一致するように修正される。
・しかしながら弾道は重力の影響によって時間とともに俯角方向へと
向きを変えつづけるため、回転軸の修正が追いつかず、
弾道と回転軸は常に数°程度の仰角向きのずれを保ちつづける。
・そのため編流が生じ、長距離射程では着弾地点が横にずれる現象が生じるが、
近距離射撃ではほとんど問題にならない。
ということですね。納得いたしました。
則行
- >7
我が社の製品は全て考慮してますよ。
sorya
- 砲弾のコリオリ力の影響についてです。
下記URLをご参照ください。
http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/1550/calcula/koriori.htm
ある
- 一般に砲弾の重心位置は空力中心より後方にあるので、飛行中の静安定性は負で、ジャイロ効果がなければ、尻尾を先にして飛んで行ってしまいます。弾軸を弾道接線に近ずける力は、砲弾頭部を上向きにしようとする空気抵抗による偶力から生じたプリセッション効果と、旋転によるマグナス効果です。
TO
- >12
「旋転によるマグナス効果」がなぜ回転軸を弾道接線に平行にするように働くのかが理解できません。弾道を横に曲げるように働くのではないのでしょうか?
則行
- TOさんが8.で紹介されたHPに全ての答えが書いてあります。
一応解説しますと、プリセッション効果(ジャイロスコピック効果)とは回転体の回転軸を傾けるような力を加えると実際に傾く角度が90度ずれる効果です(こまが歳差運動をする原理です)。マグナス効果はご存知のようなので省略しますが、マグナス効果はその空力中心に働くので弾頭を平行移動するように作用するとは限りません。
さて、弾頭のマグナス効果の空力中心が重心よりも後ろにある場合を考えます。(マグナス効果の空力中心と風見効果の空力中心は一般に異なることに注意して下さい。)そして弾頭は進行方向に向かって右回転していると仮定します。この弾頭が水平に発射されて放物線を描き、前下方からの風を受けるとどうなるでしょう。マグナス効果により「おしりを左に」向けようとする力が働きます。この力はプリセッション効果によって実際には「おしりを上に(頭を下に)」向けることになります。さらに考えると回転軸がどの方向にずれてもマグナス効果は常に回転軸を進行方向に向かわせるように働くことがわかります。結果回転軸が進行方向を向いて安定するわけです。弾頭が左回転であっても同様です。マグナス効果の空力中心が重心よりも前にある場合は逆に不安定にさせるように働きます。
ただし弾頭のスピンがあまりに大きいとマグナス効果でも打ち消せずにおしりから着弾することになります。
>12.あれ、風見効果+プリセッションによる力は回転軸が歳差運動をするように働くと思ってましたが・・・
epitaph
- >「旋転によるマグナス効果」がなぜ回転軸を弾道接線に平行にするように働く
正確には「旋転によるマグナス効果は砲弾の姿勢の安定に重要な役割を果たす」と書くべきでした。謹んで訂正いたします。
以下の説明は、先にあげた英文のリファレンス(正直頭が痛くなる)と、もはや殆ど記憶に無い力学、粘性流体力学の知識を基にしたものですので、眉に唾つけてお読み下さい。
マグナス効果の作用
砲弾の重心とマグナス効果の空力中心は離れています。(ついでに言うと仰角のかかった砲弾の頭をさらに持ち上げようとする空力の中心点とも異なる位置にあります)ですからマグナス効果は弾軸の向きを変えようとする偶力を生みます。するとここでもプリセッション効果/歳差運動が働いてそのベクトルを直角に変換します。
右旋転の砲弾の場合:
マグナスの空力中心が砲弾の重心より後ろにあると>>砲弾の頭を下げる偶力が発生>>プリセッションにより弾軸を弾道接線に近ずける力に変換される。
言い換えると、砲弾の頭を持ち上げる力が減少>>弾道接線回りのプリセッションが減少>>姿勢安定
反対にマグナスの空力中心が砲弾の重心より前にあると>>砲弾の頭を上げる偶力が発生>>プリセッションにより弾軸を弾道接線から遠ざける力に変換される。
言い換えると、砲弾の頭を持ち上げる力が増加>>弾道接線回りのプリセッションが増加>>プリセッション過剰にて弾道接線を軸にしてグルグル回る
>弾道を横に曲げるように働くのではないのでしょうか?
そうです。しかしながら、その向きは砲弾のドリフトとは反対です。右旋転している砲弾の場合、旋転によって生じたマグナス力の水平成分は左向きですが、右に頭を振っている砲弾にはそれよりも大きな右向きの揚力が発生しているので、弾道は右へ曲がります。
TO
- TO様、詳説ありがとうございまする!
則行