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1227 H&Kと言えば、ローラーロッキングと思っていたのですが、
ドイツ軍の要請でHK33が選ばれずG36を製作したようなことを
聞いたのですが、ローラーロッキングのどこがダメだったのでしょうか?
ぱお

  1.  ローラー・ロッキングは小口径弾向きの作動機構といわれていますが、5.56mmX45弾は発射ガス圧が高すぎるため、薬室内への薬莢貼り付き不良を招きやすいということです。HK33を含むG3シリーズでは、この薬莢貼り付きを防ぐため薬室にフルート(発射ガスの一部を導いて薬室と薬莢の間に隙間を作り排莢をスムーズにする溝)を入れていますが、フルートを通じてレシーバー内に発射ガスが入り込み汚れるという弊害もあります。

     ドイツ軍は元々G3の後継としてG11ケースレス・ライフルの実用化を進めていましたが、G11は結局ペンディングとなってしまい、新たな5.56mm口径のライフルを採用する必要に迫られました。しかし、ドイツ軍は上記の理由等からG3系列のローラー・ロッキング式の5.56mmライフル(HK33、G41等)には満足していなかったようです。5.56mmライフルの制式化が遅れたため、ヨーロッパ緊急展開軍に参加する部隊にはフランスのFA-MASを支給したとか。
     ドイツ軍では旧東ドイツ軍から入手したAK系ライフルを5.56mmに改造することも検討しましたが諸事情により断念、既存の5.56mmライフルの中から新制式ライフルを選定することになりました。H&K社はこのドイツ軍トライアルに合わせてガス・オペレーション式(ターン・ボルト・ロッキング)のHK50ライフルを開発、G36として採用されたというわけです。

     なお、H&K社では、ターン・ボルト・ロッキングを採用する新型5.56mm機関銃MG43を先頃発表しました。ミニミ等と異なりベルト・リンク給弾方式のみを備えたシンプルな機関銃で、7.62mm版の開発も計画中とのことです。現在ドイツ軍ではG36ライフルをベースにした分隊支援火器LMG36を採用していますが、将来MG43がこれに取って代わる可能性もなきにしもあらず。今後が注目されます。

     ちなみに、MP5サブマシンガンの後継として開発されたUMPもローラー・ロッキングを廃してストレート・ブローバックを採用していますが、こちらは構造の単純化による価格低減が主な理由のようです。
    ブラック・タロン

  2. >ドイツ軍では旧東ドイツ軍から入手したAK系ライフルを5.56mmに改造することも検討しましたが
    東ドイツでは輸出用としたヴィーガー 5.56mm とかいうライフルを結構な数作っていたようですね。ドイツ統一後はほとんどスクラップにされたとか…。
    ささき

  3. >2
     ビーガーSTG941ですね。インドやペルー等に提示されたが、量産前に東ドイツが崩壊したので実際にはほとんど納入されなかったとか。短縮型のSTG943もあります。
     あと、東ドイツでは教練用として.22LRを使用するKK-MPi69というライフルを作っていました。構造は単純なブローバックですが、外径は極力AKに似せられており、フル・オートで撃てます(マガジンは外観こそAK用と同じだが二重構造になっていて装弾数は10発)。

     ドイツ軍がAKを5.56mm化する案については、ドイツ国内の銃器メーカーの強い反発があったそうです。
    ブラック・タロン

  4. あまり脱線しない様、ローラーロッキングの長所、短所のみ、お話します。

    A.長所
     1.重いガスピストン&シリンダーが不要。 銃身廻りの構造がやや簡易。
     2.1.のおかげで、フローティングバレル化が可能。→ボルトアクションなみの命中精度。
     3.ローラー〜メカのおかげて゛後退エネルギーが多少吸収され、射撃反動がやや少ない。

    B.短所
     1.ロックの開放が早い。(過早開放ぎみ)  弾丸が銃口を離脱する前に、ガス圧が残っているまま
       ブリーチは後退を始めます。 薬室内側のフルートは、薬莢貼り付け防止が最終目的では無く、
       上記事象による、薬莢切れを防止する為です。
      (過早開放→薬莢は、残ガス圧で薬室に強く貼りついたまま、無理やり後退させられ、薬莢が引き千切れる)
       この開放タイミングと、5.56mm弾の発射薬燃焼速度が あまりマッチングしない様です。
     2.ガスピストン&シリンダーが無い(ガスレギュレーターが無い)という事は、
       ガス圧調整が出来ないという事です。(米軍M16も同様)
       弾薬の、製造メーカー差異や、製造ロット差異、発射薬の劣化 & 射撃環境の温度・高、低 等による、
       発射薬燃焼圧力(腔圧と言う)バラツキを調整出来ません。
       自動銃にとってこれらの要因の為、ガス圧調整し安定作動させる事は、重要な事です。
       こちらの件でも、5.56mmは、あまり良い弾ではなさそうです。

    C.その他
     G3&HK33共に主用本体がスチールプレス品ですが、ライフル弾使用には耐久性がやや劣る事が言えます。
     
    軌跡の発動機?誉

  5. みなさま、どうもありがとうございました。
    大変勉強になりました。

    ぱお

  6. もうちよっと補足.
    スイス陸軍 SIG Stgw57M57(M57)アサルトライフル{7.5mmX55.5弾}も
    ローラーロッキング方式として、1950年代後半に設計、配備されました。
    そして1960年代、Stgw57の後継銃として、5.56mm弾使用 SIG530−1が開発されましたが、
    これは、ローラーロック+ガスピストン併用 機構でありました。(フルロックタイプ・ローラーロックと言える)
    結局は、物にならず、ローラーロッキングを諦めた、後年のSIG540、SIG550へと変革して行きました。

    独G3,或いは スペイン セトメ そしてスイスStgw57共に フルロード弾でそれなりに成功を収めた
    ローラーロックが、5.56mmでは、うまく行かない要因は、上の4.Bの解説の通りであり、意外にも、
    5.56mm弾の方が、NATO7.62弾より 腔圧が高く&気難しい発射薬を使用している事が関係しています。

    独、ダイナマイト・ノーベル社カタログ値より、
     5.56mm弾 腔圧  3580kg/cm2
     7.62mm弾 腔圧  3240kg/cm2
     ちなみに9mmPara 2550kg/cm2

    〜?誉


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