1201 |
1200番に関連して質問させてください。 1.焼けた機銃の銃身は、なぜ使用できなくなるのですか。 赤くなるまで焼けた銃身が使えそうにないことは感覚的には判るのですが、焼けたことによりどう変化したので不都合なのか教えてください。 2.焼けたので取り外した銃身は、冷めれば再使用できるのでしょうか。 以上宜しくお願いいたします。 gsz |
銃身というものは意外に過熱しやすく、SAR4800(FALのセミ・オート版。口径7.62mm)を所持している我が知り合いの話では、5発撃っただけでもハンドガードから過熱による白煙が立ち上るそうです。
たとえ銃身を外して冷却しても焼き鈍ってしまうので、再利用は基本的に不可です。
このため、機関銃は何らかの方法で銃身を冷却し、使えなくなったら銃身交換する機能を持っています。
水冷式(バレル・ジャケットに水を入れて銃身を冷却。冷却水を循環させる機能を持つ銃もある)の機関銃はかなり長時間撃てるようで、イギリスのビッカースMk1(口径.303)は1万発で銃身交換していたそうです。空冷式(銃身を大気に晒して冷却。銃身に放熱フィンを切っているものも多い)は水冷式に比べて銃身冷却機能が劣るためか、銃身寿命は短くなります。<注:銃身の過熱の度合いは射撃の仕方によって変わってくる>
現在の汎用機関銃は空冷式といえ、数百発単位で銃身交換するようになっています。
ブラック・タロン
過熱銃身のデメリットの一つとしてコック・オフがあります。過熱した薬室に送り込まれた弾薬が熱で自然発火する暴発現象で、クローズド・ボルト(ボルトが薬室に弾を送り込んで閉鎖した状態から射撃サイクルが始まる形式)の銃に特に起こりうる現象です。ブローニング系の機関銃(M1919、M2等)はクローズド・ボルトのため、銃身が過熱するとコック・オフが起きやすくなると言えます。
現在ある機関銃の大部分は、コック・オフ対策としてオープン・ボルト(ボルトが開いた状態から射撃サイクルが始まる形式)を採用しています。射撃停止中はボルトを常に開いた状態にしておくことで、銃身内部と薬室の冷却効果を高める狙いです。
ブラック・タロン
はありますでしょうか、また現在も生産運用されている水冷式機関銃
はどんなものがありますでしょうか。
幻雲
ドイツが先鞭をつけた多用途機関銃という概念が戦後世界的に普及したので、軽機と重機の区別がほとんどなくなったというのも大きいです。
水冷式のとりえである連射性能に関しては、空冷式でも交換銃身を複数持ち歩くこと、銃本体の設計を銃身交換容易とすることで対処できます。
このへんはドイツ・モーゼル社のMG42で完成された運用法といえますね。
まなかじ
・まず、銃身過熱時初期の現象−−−銃身内径熱膨張により、ライフリングの弾への食い込みが緩くなる。
& 発射ガス圧が弾丸と銃身内径との隙間より、噴出する。 (これらを弾丸緊塞度が緩くなると言います。)
そうすると、横転弾が発生し始め、著しく命中精度が落ちます。(当然、弾丸貫通威力も低下)
その他
・銃身のみならず、機関部まで熱伝導膨張し、可動部のなじみが狂い作動不安定となる。
・薬莢の焼き付け、及び 抽筒困難、薬莢切れ等の排莢不良を発生する。
・銃身部よりの陽炎による、照準悪影響。
などが考えられます。
とにかく、連続射撃に注意し(持続発射速度300発/分迄)過熱して上記の症状が出る前に、交換するのが理想です。
>3.幻雲さんへの回答
現代では、水冷式マシンガンの製造は皆無です。 空冷で放熱フィン無し重銃身(ヘビーバレル)が主流です。
BUT 今、話題のアフガンや中近東のどこかには、戦前の物がきっと生き残っているでしょうね!
以下、水冷式の短所を示します。
・重量が大となり、構造も複雑、部品数も多となる。
・水筒の被弾で、冷却機能が著しく低下、或いは不能となる。
・低温時の凍結防止、高温作戦時の水補給、等のメンテナンスがつきまとう。
・銃身交換がし難い。 ガス圧利用式機銃には向かない。等 構造上の不利が有る。
軌跡の発動機?誉
また、常に冷却水を確保しなければならないという問題もあります。北アフリカ戦線でビッカースMk1を運用するイギリス軍は水の確保に苦しんだと聞きます(ビッカースMk1は4.3リットルの水を必要とした)。長時間射撃すると循環冷却用の水缶から湯気が立ち上って敵に発見されやすいという難点もありました。
水冷式機関銃は三脚架や車輪架に載せられて重機関銃として使われましたが、二脚架を付けて軽機関銃としたものもありました。ドイツのMG08/15(口径7.92mm)がその一つで、重機関銃MG08を軽量化して二脚架を付け、ベルト・リンク(布ベルト)は50発分をドラム・マガジンに収めて取り付ける形式としましたが、それでも脚込みで15kgありました。冷却水の循環機能は廃されましたが、3発点射を基本としていたそうなので実用上は問題なかったようです。
その後ドイツでは周知の汎用機関銃MG34やMG42が登場しましたが、MG08/15も第2次大戦で使われ、ドイツ兵は頭の古い古参下士官等を『08/15』と呼んでいたとか。
汎用機関銃の出現で機関銃の軽重の区別が事実上なくなり、また空冷式でも充分長時間射撃に対応できる現在、水冷式機関銃のメリットはほとんどなくなっているといえます。新規開発の話も聞きません(どっかの大口径機関砲で聞いたような気がするが覚えてない)。でも、もしかすると、どこかの発展途上国の軍隊では、武器庫の奥にビッカースMk1やブローニングM1917が眠っているかもしれません。
ちなみに、イギリスのビッカースMk1は、1912年に制式化され、1965年まで使われ続けた息の長い水冷式機関銃でした。
ブラック・タロン
ブラック・タロン
ささき
gsz
1:銃身が熱くなると膨張します。そのことにより銃腔の直径が増す。
ライフリングに弾が食い込まなくなり、十分な回転が与えられなくなるととも
に発射ガスがもれることによる初速の低下を招き命中精度が著しく低下する。
最悪の場合、銃口を出た弾が近くにばら撒かれる現象が生じます。
実際に1000mの目標を狙ったキャリバー50の弾丸が50mほど前方で幅100m
程度にばら撒かれたのを見たことあります。はっきり言って怖いです。
2:焼けた程度にもよるでしょうが、上記の銃身は再使用できました。
ある程度の赤熱時には水筒の水をジャブジャブかける場合もあります。
はいどーも
銃身過熱が焼き戻し温度以下でなければなりません。
銃身材= クロモリ材の焼き戻し温度 : だいたい500〜550C゜ぐらい。
感覚的ですが、鉄が真っ赤(朱色)になった時は、すでに700〜800C゜になっているはずです。
〜?誉