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基本的な質問ですが、徹甲弾と徹甲榴弾の違いを教えてください。 個人的にはAPDS以前の炸薬入りの徹甲弾を徹甲榴弾、APDS形式の物を現在は徹甲弾と言っているのかな?と思っています。 ついでにAPDSは何を以って破壊行為を行うのですか? 砲弾破片の乱動?粉砕された砲弾の焼夷効果? たこのす |
>ついでにAPDSは何を以って破壊行為を行うのですか?
>砲弾破片の乱動?粉砕された砲弾の焼夷効果?
その道の専門家が見ておられるところで素人意見は書きにくいのですが…(^_^;) エンジンや電装品などの精密機械を物理的に貫通して破壊する効果、貫通に伴い衝撃波による内部乗員の殺傷効果、砲弾および装甲破片による乱動、圧縮加熱された破片による焼夷効果(劣化ウラン弾で顕著)などではないでしょうか?
ささき
もしかしたら弾体が発射時のライフリングに耐えられないからではと思っています。
たこのす
基本的には重く硬い弾芯を軽量なサボで包み大量の装薬で撃ち出すことで高初速を得ることが目的です。また全長/口径比が高くなる(要するに細長い)ことで空気抵抗が減って低伸性が良くなり、装甲貫通力も向上するようです。
ささき
色々ご教示ありがとうございます。
現代の榴弾は戦車でもVT信管なのでしょうか?
ならば、掩体内部の目標を攻撃するには弾種を変えないと行けませんね。
徹甲弾と徹甲榴弾の違いは構造的なものではなく運用側の識別の問題と理解します。いいでしょうか?
劣化ウランに見るように焦夷性や爆発性に富んだ重い素材を硬く固化成形できればそれ自体を弾体として用いる事が出来ます。これをサボで包んで撃ち出す。理想の徹甲榴弾ですね。
たこのす
この辺になってくるとよくわかりません。エアバースト(目標直上で炸裂)システムの開発はされていると思いますが、実用配備されているかどうか…。
>ならば、掩体内部の目標を攻撃するには弾種を変えないと行けませんね。
現代の戦車はトーチカなどの目標には成形炸薬弾を使うと思います。
>徹甲弾と徹甲榴弾の違いは構造的なものではなく運用側の識別の問題と理解します。いいでしょうか?
私は「装薬を全く含まない徹甲弾=いわゆる徹甲弾」「装薬を含む徹甲弾=徹甲榴弾」という構造的な分類だと思いますが。
ただ第二次大戦頃ならいざ知らず、最近はマルチパーパスの複合効果弾が増えているようなので、構造的分類は曖昧になりつつあるようですね。
>劣化ウランに見るように焦夷性や爆発性に富んだ重い素材を硬く固化成形できればそれ自体を弾体として用いる事が出来
>ます。これをサボで包んで撃ち出す。理想の徹甲榴弾ですね。
ウランが持っているのは衝撃によって非常な高温に過熱する物理性質ですから、「爆発性」というのは
ちょっと適当じゃないと思います。また、ソフトスキン車両の行列や散開した歩兵などの牽制攻撃には
炸薬量がモノをいう場合も多いでしょうから、APDS 系の軽く速い弾だけですべての目標に対応するわけ
にはゆかないと思います。
ささき
>http://www.fas.org/man/dod-101/sys/land/120.htm
あと開発がストップしているXM1007Xロッドなる運動エネルギーのミリ波誘導のロケット砲弾もありましたが、フランスで開発してる対ヘリ戦車砲弾ってVT信管なのかな?
ガンヘッド
>それ自体を弾体として用いる事が出来ます。これをサボで包んで撃ち出す。
劣化ウランの場合は、その高い酸化性がしょうい効果を発生させます。ちなみに劣
化ウランってのは、単体でも結構酸化しやすく、放っておくだけで火事を起こすく
らいです。
ただし、劣化ウランそのままでは瞬間的に熱を放出できません。いくら細かくして
も。これは劣化ウランに含まれるマグネシウムがはじめに燃焼することによる発生
する熱が反応を一気に促進するといわれております。
よって、貫通後の劣化ウランの微分化+マグネシウムの燃焼というのがしょうい効
果の基本と言っていいでしょう。
ちなみに、テルミット反応を起こさせるようなシステムは現在のAPFSDS弾には無駄
です。穴をあけてる最中に反応してしまい、下手すりゃ弾芯壊れます。
もひとつついでに言えば、現在のAPFSDS弾は引っ張り強度云々 (これがつまりは硬
度) は気にしていません。衝撃インピーダンスのみです。
、、えっと、言い出すときり無いんでこれだけ。
sorya
補足ありがとうございます。断熱圧縮による発熱だと勘違いしてました。空気中に放っておくと発火するなんて金属ナトリウムみたいですね。
ささき
断熱圧縮の影響も決してなくはないんだけどね。
貫通後は当然ながら膨張(厳密には等エントロピー過程を経るんだけど)することで
圧力が0になっていくんだけど、先の括弧書きにあるような過程を経るため、厳密
には圧力が0になってもある程度の熱が残留します。
ただ、その残留熱だけでは酸化反応を大きく促進するほどのモノではない、と、い
うことです。少なくとも現状の1500〜2000m/s程度の着速ではね。
sorya
元に戻すと、徹甲弾と徹甲榴弾の違いは炸薬量の違いでしょうか?
戦車に使われているもの以外にも艦船や航空機に用いられているものに共通の明白な識別点があれば教えてください。
APDSなんてのは戦車にしかないんでしょ?
劣化ウランを使うAPDSに関しての破壊作用はおかげさまで結構分かりました。(用語が分からないが、)
炭化タングステンを使う普通の奴も焼夷効果は見込めますか?
たこのす
…と思います。ただ厳密な線があるわけでなく、国や時代やメーカーや用途によって異なる名称を混用している可能性が大ですけど。
>戦車に使われているもの以外にも艦船や航空機に用いられているものに共通の明白な識別点があれば教えてください。
大口径艦砲の場合は炸薬が入っているのが当たり前なのであえて「徹甲榴弾」という言葉は使わないようですが、これも時代によって定義が異なるような気がします(詳しくは知らない)
航空用の場合、例えば零戦の99式 20mm では「通常弾」が炸裂弾(瞬発信管)、「徹甲弾」が徹甲榴弾(遅動信管)となっています。いわゆる純粋な通常弾や徹甲弾は使っていなかったようです。
一方英軍イスパノ 20mm の記述では「通常弾」「炸裂弾」「徹甲弾」の定義が別々になっていますし、実際に主用されていたのは徹甲/焼夷弾(SAP/I)と炸裂/焼夷弾(HE/I)という複合効果弾でした。
このへんも国や時代によって少しづつ定義が異なることが多いようですね。
>APDSなんてのは戦車にしかないんでしょ?
航空機の場合、吹き飛ばしたサボが戻ってくる危険性が高いので原則として APDS 系の弾は使いません。しかし艦砲のうち近接防御用(CIWS)の対空機関砲ファランクス(航空用 M61 バルカンの転用)は高初速と貫通力を得るため劣化ウラン APDS 弾を発射しています。
ささき
WCは安定しているので、しょうい効果は全く期待できません。
>DUの火事
昔、○大とかで(色んなとこが経験済)器具を拭いた紙ウェスがごみ箱中でちょっと
した火事を起こしたなんて良くあったデスよ(笑)
sorya
現在はWA(Tungsten Alloy…タングステン合金)が主流。
sorya
劣化ウラン弾って全部サボ付きですよね。そんな事無いのかな?
沖縄の島に航空機が劣化ウラン弾を発射して問題になったことを思い出しました。
それともヘリか?
たこのす
理由は放射線シールドのためと空気と触れさせないための二つの理由から。
サボーはあるものとないものがあります。
sorya