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小説「極北のハンター」ジェイムズ・バイロン・ハンギス作に「小火器に耐える特異な能力に彼らはショックを受けていたが、ハンターのほうはいっこうに驚いている様子は無かった。多くの動物が小口径銃には負けない骨の密度と皮膚の構造を持っていることを知っていたのだ。灰色熊の頭蓋骨は30−06弾ほぼ砲弾に匹敵をやすやすと跳ね返せた。それに30−06以下の銃弾では、サイに命中しても皮膚でぺちゃんこになるだけだった。だから疑いも無く自然は、骨と皮膚の正しい組み合わせがほとんどあらゆるライフルー超高性能バーレット、もしくはそれと同等の狙撃銃を除いてーの効果を無に出来ることを繰り返し照明してきたのだ。」と有りましたが本当でしょうか?アフリカの象やサイの密猟者はありふれたM16やAKを使っていると思っていました もぐら号 |
アフリカのゾウやサイといった大型獣を標的としたビッグ・ゲーム・ハンティングには、高初速・高ストッピングパワーを主眼とするマグナム・ライフル弾薬が使われます。これらの弾を『アメリカン・ゲーム・カートリッジ』と俗称します。また、これらの強力な弾薬を使用するライフルは、『アメリカン・ライフル』あるいは『エレファント・ガン』と呼ばれています。
通常、銃用弾薬の『マグナム』という呼称はメーカーが勝手に付けてるものですが、アメリカン・ゲーム・カートリッジと呼ばれるマグナム・ライフル弾薬のほとんどは、薬莢の底をベルトを巻いたように補強したベルテッドと呼ばれる型式の薬莢を使用しているのが特徴です。
大型獣猟用の高威力ライフル弾およびライフルの歴史は、主にイギリスで発達しました。そのルーツは発射薬が黒色火薬から無煙火薬に移行し始めた1870年代に遡り、イギリスで登場した.600ニトロ・エキスプレスなど『ニトロ・エキスプレス』が代表格です。
その後、1912年に、.375ホーランド&ホーランド・マグナム(H&H.Mag.)が登場しました。この弾は、ベルテッド薬莢を使用するマグナム・ライフル弾薬の元祖とも言えるものですが、未だに根強い人気を誇っています。さらに、ウィンチェスターやレミントン等から、.300ウィンチェスター・マグナム、.458ウィンチェスター・マグナム、8mmレミントン・マグナムなどの各種マグナム・ライフル弾が発表されました。
これらのマグナム・ライフル弾薬を使用するライフルは、昔はショットガンのような水平二連式の『ダブル・ライフル』が主流で、ホーランド&ホーランドやリグビーなどのイギリスのメーカーが受注生産していました。単純な構造で信頼性が高い点が評価されていました(逆に言えば、昔は水平二連式くらいしかマグナム弾に対応できるものがなかった)。
第2次大戦後になると、より頑丈で値段が安く、装弾数の多いボルト・アクションがアフリカン・ライフルの主流となりました。
中でも、アメリカの高級ライフルメーカーのウェザビー社は、市販ライフル弾薬最強と言われる.460ウェザビー・マグナムを筆頭に、数多くのマグナム・ライフル弾薬と、それを使用するボルト・アクション・ライフルを世に送り出しています。
ただ、どの弾薬も必要以上に高威力過ぎるきらいがあり、銃自体も高腔圧故に銃身の命数が短く、また高腔圧対策としてフリーボア(*)を設けているため命中精度に難があるという弊害を持っています。ウェザビーのライフルはカスタム並みの高価で、ある種ステータス・シンボル的な面があります。
ちなみに、ウェザビー社のライフルおよび弾薬は共に外注生産で、ライフルは日本の豊和工業、弾薬はスウェーデンのノルマ社が製造しています。もっとも、最近ライフル製造はSAKOディフェンス社辺りが取って代わっているようです。
*フリーボア
薬室先端の長いライフリングなしの部分。通常、薬室には弾薬の弾頭の長さに応じたスロート(薬室に弾薬が入ったときに弾頭が位置するライフリングなしの部分)が設けられている。これをさらに伸ばしたのがフリーボア。マグナム弾の腔圧対策として設けられることが多い。
なお、ブローニングM2に使われる12.7mmX99は、ライフル弾と呼ぶには恐ろしすぎる超ハイパワー弾薬です。市販ライフル弾薬最強と言われる.460ウェザビー・マグナムは、重量換算で1tを越す弾頭エネルギーを発揮しますが、12.7mm弾はその約2倍のパワーを持っています。
ブラック・タロン
ブラック・タロン
で象の間引きをしている映像を見たことがあります。
軍隊を動員して、多数の銃で撃ちまくれば、308WINでも象にも効果
があるらしいですが、通常の「狩猟」の範囲であれば、アフリカでは、
308WINは「ベイビーライフル」とのことです。
ましてや、M−16やAKでは、かなり多数の銃で撃ちまくらないと
こちらが返り討ちでしょう。(象1頭対1個小隊位?)
通常の象撃ちでは、375H&Hが最低レベルとの話を聞いたことがあります。
(このレベルでは、うまく、頭に撃ち込まないとストップできないらしい。)
私がTV番組で見たアフリカの密猟者は458WINマグナムを使っ
てました。
大物狩猟の場合、弾頭の選択を誤ると、弾頭エネルギーが充分でも
弾頭が破砕されたり(7mmレミントンマグナム対熊で実例が
あるそうな。)することがあるので注意が必要だそうです。
大物猟では、バックアップのハンターに援護射撃してもらう体制を
取っていた方が返り討ちにあわなくていいみたいですね。
SAW
あくまでもハンティング対象としたときですが、1 ゾウ・サイなどの「厚皮獣」、2 主に頭蓋骨の頑丈さ・矢強さ・逆襲能力が問題となるクマ・ライオンなどに大別できます。
弾頭のエネルギーが大であることが求められるのは共通ですが、
1 については、体内深くまで侵入してから爆裂することが期待され、被甲弾(ただし「フル」メタルジャケットではないことが多い)が主に使われます。軍用小口径でFMJを多く撃ち込めば、爆裂を数で補うことが可能でありましょう。
「サイに命中しても・・・」は、ややオーバーな記述のような気がします。厚くてもやはり皮膚ですから、表面で弾が「ぺちゃんこ」なるとは思われません。ソフトポイントが皮下浅くで爆裂し、深部に大きなダメージを与えられない現象だろうと思います。
ブラック・タロンさんの書かれている機械的な事情が大元なのでしょうが、往時のサファリ・ハンティングでは、緊急時にも2発しか撃つことはできず、また、マナーとしても2発より多くは撃たないのがマナーであったので、その2発に最大の威力を期待したことが大威力化の要因のひとつであり、大威力の弾でないと効果が無い、というわけではない、と考えられます。銃器メーカー(売りたい)もハンター(高価な愛銃と危険なゲームを倒した勇気を自慢したい)も、大威力の銃のすばらしさを誇張しがちであることも考え合わせれば。
2 については、「ベア・アタックス 2、S・ヘレロ、北海道大学図書刊行会、P403〜413」が、誇張が入り込みがちなハンターの伝説と異なり科学的なので参考になりましょう。そこでハイイログマ向けに推奨されている458ウィンに510グレインソフトポイント、375H&Hに300グレイン、338ウィンに300グレイン、そして、「二二〇グレイン弾頭を用いた三〇−〇六」です。さらに240グレイン弾頭の44マグナム、12番散弾銃とバックショットまたはスラッグの組み合わせも威力が認められるとされています。
また同書の別の個所には、22ロングライフルを耳に撃ち込んで、また「(開拓時代に)連発式ライフル(45コルトでしょう)」で、クマを射殺している例、同時に、大口径でも急所にあたらなければなかなか死なないことも紹介されています。
また、狙うべき個所としては肩甲骨を砕くために肩、が薦められ、頭部は的が小さいので避けるべきとも、ただし、当たっても効かない旨はありません。同書には見当たらず記憶ですが、たしかハイイログマの頭蓋骨の厚みは20〜30ミリ程度だったと思うので、30−06がいい角度であたって跳ね返されることは考えにくいでしょう。浅い角度で当たればむろん皮膚だけこそいで滑るでしょうけれど。
全体として、ご質問中の文は、必ずしも正確とは思われませんが、フィクションとして許容される誇張の範囲でしょう。その不正確さがフィクションとしての作品の質の向上に資しているかはまた別ですが。
はたの
そういえば、かつてニュースで、サーカスの象が暴れて町に出てうまく捕獲できないのでやむなく警官隊が銃を打ちまくってしとめた映像を見たことがあります。アメリカの警察でした。小銃も使ったかは分かりませんが、拳銃や散弾銃を乱射しておりました。1発で楽にしてやりたくてもできなかったのですね。
もぐら号
日本でも動物園から逃げ出したライオンを、数人の警官が、
ニューナンブで15発も撃ち込んで射殺したことがあったそうです。
集団で撃ち込めば幾分非力な銃でも、猛獣をしとめることは
可能なようですね。
もっとも、20年ほど前に千葉県で逃げ出したトラは、鳥用の散弾を
皮膚でストップさせていたそうですから(結局、同時にスラッグ弾が
頭に当たり死亡)、猛獣に対しては余裕のある銃や銃弾を使用するの
が無難と言えるでしょうが。
SAW
私は、やっぱり動物さんたちを甘く見ておりました。
山岳部の友人と「クマくらい9mmパラで簡単に死ぬ」「イノシシ? ンなもんPPKで十分だ!」なんてアホなこと口走っておりました。
反省します。いつクマさんやイノシシさんと鉢合わせするかもしれぬ部活、もっと正確な情報をもっておくべきでした。
居眠り将軍
北海道のヒグマ辺りが相手だとどうかはわかりませんが・・・
ブラック・タロン