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564 デザートイーグルのブローバックの作動方は「ガス作動」と聞きますが、これはどういった仕組みなのでしょうか?また、アサルトライフルやSMG等に使用されている「ローラーロッキングシステム」とはどういう物なのでしょうか?また44オートマグに使用されている「ロータリーボルトロッキングシステム」とはどういう物でしょうか?また、LMGの構造は通常のアサルトライフルなどと違い弾倉からの給弾ではなく、ベルト給弾ですが、このベルト弾帯は、どのようにLMG本体に収納され、どのように薬室に給弾され、どのように排莢されるのでしょうか?長くて本当に申し訳ありません。
まぐ

  1. ガス圧作動については拙作「機銃メカ解説」を見てくだされ。
    http://www.epsnet.co.jp/~f4u/crazy/jp/gun/mech.htm
    ただし図解にあるガスベント孔の位置はちょっと嘘くさいです。
    普通はもっと銃口側(ガスポートに近い側)にある場合が多いです。
    (いずれ修正しようと思っているのですが時間が…)
    デザートイーグルのガスピストンも長さは2センチくらいしか
    ありません。
    またM16の場合はボルトとピストンが直結されており、ガス
    シリンダーが薬室の直前にあってベントを省略しています。この
    機構は軽量化と機構の簡素化を狙ったものですが、ベント代わりに
    薬室内に噴出するガスが薬室やボルトの汚れを促進し、初期型は
    手動でボルトを前進操作できなかったこともあってベトナムで
    故障続出の悪評を高めたことは有名です。

    ローラーロッキングはボルト先端部にローラーが仕込んであり、
    激発によって生じた反動力をローラを「外側へ」動かすことで
    レシーバー側面との間に抵抗力を発生させ、ボルト後退を遅らせる
    という機構です。

    ■■■■■■■■■■■■■■←薬室/レシーバー
    薬莢底面から→□\○□□□□
    受ける力  →□□□ □□□←ボルト
          →□/○□□□□
    ■■■■■■■■■■■■■■←薬室/レシーバー

    ヘッケラー&コック社の銃が有名ですが、他の方式にくらべわずかに
    早い時機にボルトが後退を開始し、薬莢にかかる圧力負担が大きくなる
    欠点があります。そのためヘッケラー&コック社の銃は薬室に縦溝を
    掘って発射ガスの一部を戻し薬莢側面を押さえつける「フルーテッド・
    チャンバー」という構造になっており、排出された薬莢には縦縞の
    ガス痕が生じます。

    「ロータリーボルト」はボルト先端が歯車状になって回転するように
    なっており、これが薬室側の刻み目に入って数十度回転しロックする
    という仕組みです。ボルト先端部の回転は、ボルトキャリアーに刻まれた
    溝によって誘導されます。

    もう一つ、M14 や 64 式に採用された「ボルト・ティルティング」という
    方式もあります。これはレシーバー側面に斜めのカットが入っており、
    前進したボルトが傾いてカットに入り、その上からボルトキャリアーが
    覆い被さることでロックを完了する機構です。

    (うーん文章だとわかりにくい;アサルトライフルの分解写真でも見て
    貰えば一目瞭然なのですが)。

    ベルト給弾式の機関銃はふつう給弾部が上下二段になっており、ベルトは
    上段に装填されます。ボルトキャリアーにはベルト駆動機構と送弾機構が
    連動しており、ボルトの前後動作に合わせ連動した爪がミシンの布送り器の
    ように規則的にベルト弾薬を送り込み、弾薬をベルトから後方に抜き出し、
    下段に落として薬室へと送り込みます。使い終わったベルトは上段から、
    薬莢は下段から別々に排出されます。

    弾薬同士を結合するベルトは金属片を曲げた「メタルリンク」を使うのが
    一般的です(ごく初期の機銃は布ベルトでしたが)。米軍のM60などの
    リンクは単純な二重輪になっており、弾薬そのものを連結子に利用するので
    射撃後はリンクがバラバラに散乱します(分離式)。一方ロシア製のRPKや
    旧ドイツのMG34のベルトは最初から蝶番が組み込まれており、一定の長さ
    (20発〜30発くらい)のものを連結して使います。従って機銃からは使用
    済みのベルトがぞろぞろ〜っと出てきて連結部で離れてポタリと落ちる、と
    いう具合になります。
    ささき

  2. あ〜すいません。ローラーロッキングのご説明、ちょっとうまくないと思います...

    みなと

  3.  ローラー・ロッキングについての蛇足(^^;

     ローラー・ロッキングは小口径弾薬に適した機構ですが、ガス圧の高い5.56mmX45弾にはかえって不向きらしく、H&K社の新製品であるG36系はガス・オペレーション(ガス圧作動式)&ロータリー・ボルト・ロッキングとなり、UMP系はストレート・ブローバック&クローズド・ボルトとなりました。

     ちなみに、ローラー・ロッキングは多用途機関銃であるMG42(MG3)にも採用されていますが、こちらはH&K社のディレード(遅延)・ブローバックの機構と違い、銃身のショート・リコイルによって閉鎖を解除するフル・ロックの機構です。

     H&K社のローラー・ロッキングの大元となったのは、第2次大戦末期にドイツのモーゼル社で開発された簡易スチューム・ゲベァー、ゲレート06ですが、当初この銃のローラー・ロッキングは、ガス・オペレーションで閉鎖を解除する、MG42のようなフル・ロック機構でした。ところが、その後テストしていくうちに、ガス・オペレーションがなくてもローラー・ロッキングが作動する可能性が発見され、これを元にローラー・ロッキングによるディレード・ブローバック式の改良モデル、ゲレート06Hが完成し、1945年にStg45(M)の仮制式名が与えられました(ドイツ降伏により量産はされなかった)。
     戦後、このゲレート06の開発に関わったモーゼル社のスタッフの一人、ルドウィック・フォルグリムラーがスペインのCETMEに招かれ、ゲレート06Hの作動機構を発展させる形で、1952年にローラー・ロッキング&ディレード・ブローバック方式のセトメ・アサルト・ライフルを完成させました。このセトメ・ライフルの部品製造を秘密裏に手がけたのがドイツのH&K社で(当時ドイツでは兵器生産は禁止されていた)、その後、H&K社は新生西ドイツ軍向け制式ライフル向けに、セトメ・ライフルを独自改良した製品を開発しトライアルに提出します。これがドイツ軍制式ライフルとなったG3で、以降H&K社のライフル、サブマシンガン開発はG3を基本原型として推移していくことになります。
    ブラック・タロン

  4. 歴史についてはブラック・タロンさんから補足があったので、
    僕からはローラーロッキング利用のディレード・ブローバックの機構について少々
    補足させてください。

    給弾時、復座ばねの力によってロッキングカムが押され、この傾斜面によって
    ロッキングローラーがバレルエクステンションに設けられた”くぼみ”に
    押し上げられ、閉鎖が完了します。
    (尚、下図ではローラーが ”くぼみ”にすっぽりはまり込んだように
    書かれていますが、正確ではありません。G3の場合、円柱形のローラーの
    半分程しか ”くぼみ”にははまり込みません。)

    閉鎖/撃発時:
    ■■■■■■■■
    ■■■■■■■■○■■■■■←バレルエクステンション
    薬莢底面から→□ /□□□□
    受ける力  →□□□□□□□←ロッキングカム
          →□ \□□□□
    ■■■■■■■■○■■■■■←バレルエクステンション
    ■■■■■■■■

    撃発時、ロッキングローラーにかかる力は下、図A)の様に分散され、このうち、
    ロッキングカム方向へ分散された力がロッキングカムを後退させ、ローラは
    「内側へ」動き、閉鎖が解除します。

    図A)          ▼ バレルエクステンション方向
                /
    薬莢底面からの力――>○
                \  
                ▲ ロッキングカム方向


    ロッキングカム後退/閉鎖解除:
    ■■■■■■■■
    ■■■■■■■■ ■■■■■←バレルエクステンション
    薬莢底面から→□ ○/□□□□
    受ける力  →□□□□□□□←ロッキングカム
          →□ ○\□□□□
    ■■■■■■■■ ■■■■■←バレルエクステンション
    ■■■■■■■■

    ボルトヘッド後退開始:
    ■■■■■■■■
    ■■■■■■■■ ■■■■■←バレルエクステンション
       薬莢底面から→□ ○/□□□□
       受ける力  →□□□□□□□←ロッキングカム
             →□ ○\□□□□
    ■■■■■■■■ ■■■■■←バレルエクステンション
    ■■■■■■■■

    ローラーロッキング利用のブローバックについては以上です。

    ベルト給弾の機関銃について、

    >弾薬をベルトから後方に抜き出し、下段に落として薬室へと送り込みます。

    歴史的には、マキシム系、ブローニング系とも仰るとおり、ベルトから後方に
    実包を抜き出すのですが、現用のマシンガンは優秀なMG42の給弾機構の影響
    を受けたものが殆どで、前側に実包を押し出すものが大勢を占めています。
    (MG3、FN-MAG/M240、M60、AAT52、62式等々)
    現用で後方に実包を抜き出すものの代表は、ブローニングM2、PK/PKS、DShk38/46
    あたりでしょうか....。

    >一方ロシア製のRPKや旧ドイツのMG34のベルトは最初から蝶番が
    >組み込まれており、一定の長さ(20発〜30発くらい)のものを連結して
    >使います。

    MG34/42に用いられたベルトは50連で、必要に応じて連結し使用されました。
    (但し250連ベルトも存在します。)
    PK/PKSは100、200、または250連のメタルベルトです。
    50の倍数が大多数のように思います。
    (ちなみにRPKはベルト給弾ではありませんが、PK(M)のことですよね?!)

    重箱の隅をつつくようで恐縮です。
    みなと

  5.  また蛇足(^^;

     PK汎用機関銃のメタル・リンク給弾が弾薬引き抜き式なのは、使用弾薬である7.62mmX54R弾が、大きめのテーパーとリムを持つ古いリムド弾薬(1891年制定)だからです。
     PKを調査した米軍の機関もレポートでこの点に触れ、「リムレス弾薬を使用していればさらに優秀なマシンガンになっていただろう」と結論付けたとか。
    ブラック・タロン

  6. >5. あ〜、これは確かにいいポイントですね〜。 
    .303ブリティッシュやら、7.62x54Rやらのセミリムド/リムドカートを使う
    国々に機関銃を売り込みたかった H.マキシムや J.ブローニングが
    引き抜き式を採択したのは当然でしょうからね...
    勉強になります。

    みなと

  7. 詳しい補足ありがとうございます〜(Т_Т)/
    ささき


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