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排気というより効率(燃費)に問題があるような・・・。高速回転時の安定性以外に何か利点はあるんでしょうか?そもそもなぜWW1の航空機に多用されたんでしょうか?質問になってすいません。 taka |
taka
BUN
実用化されていたのか不思議には思ったんですけどね・・・。
星形のピストンが回転するというエンジンは初めて知りました。
taka
Schump
エンジン本体の回転する空冷式ロータリーエンジンで最初のものは、1889年オー
ストリアのハーグレーブによって製作されたものとされており、後に彼のエンジン
は初期の航空機にも採用されます。
また、1894年にはハンガリーのバルツァーが自動車用に3気筒のものを作ってお
り、1906年にはアメリカでロータリーエンジンを搭載した自動車が発売され、コン
パクトで冷却も良好だっといわれており、この自動車は現在も残っています。
さて、第一次大戦で航空機用としてさかんに使用されたこのロータリーエンジン
は航空技術史では、同じ馬力を出すならば、冷却システムを含めた液冷エンジンよ
り軽量であったこと、また、エンジンを空気で冷やすためにはその出力によって飛
行機がとぶ速度(時速100から200kmぐらい)では冷却仕切れないことから、エンジ
ン自体を回転させて冷却するロータリーエンジンが適していたとするのが一般的な
ようです。
また、高速回転時の安定についてですが、それは長所よりもむしろ戦闘機では欠
点でもありました。ジャイロの特性から一度機体を左右にふると、そのままどちら
かに回り込んで、元に戻すのが難しかったからです。しかし、エース、リヒトホー
ヘンの助言により、このジャイロ効果を積極的に利用し、左旋回より右旋回の方が
鋭い機体、それが有名な三葉機フォッカーDr.1でした。
このような例外的な機体以外は、ジャイロ効果は激しく旋回、機動する戦闘機に
不向きで、このためドイツでは世界的に珍しいカウンターロータリー式エンジンを
開発したくらいでした。これはエンジン後ろで差動歯車によって、エンジンの回転
方向とプロペラの回転方向を逆にするというもので、ジーメンス・シュケルトなど
が搭載したジーメンス製の一連のエンジンがこのシステムをもつものでした。
航空機用のロータリーエンジンについては、構造と原理についても簡単に触れて
ありますので、もしよろしければ私の著書「航空機メカニカルガイド1903-1945」
(新紀元社刊)をお読みください。
国江