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九四式酸素魚雷(航空)と言うものが開発されていたらしいのですが、詳しいスペック、なぜ採用されなかった等お知りの方は教えてください。 BOB |
質問にお答えしますが、九四式が開発されていた当時は対空射撃能力が第2次大戦後期程でなく、敵艦に肉薄して雷撃するため特に酸素魚雷の超射程、超速力に頼る必要はない。等が主な理由らしいです
摂津守
九四式二型 雷速43ノット 射程3000m
九一式改三 雷速42ノット 射程2000m
炸薬量、総重量等なほぼ一緒ですが、雷速が僅かに速く、射程が長い酸素魚雷を、当時、所掌兵器として扱っていた艦政本部が制式兵器として採用するのは無理のない事のように思えますが、実際には現場からの批判が相次いで生産は中止され、日本の航空魚雷は再び九一式の改良型で終戦まで進む事になります。
この批判の背景としては、航空雷撃に対しての酸素魚雷の適性についての疑問がありました。
航空機の性能が顕著に向上した当時の航空魚雷のテーマは高速、高々度発射なのです。そして対空砲火に関わらず航空雷撃は最後の時期まで肉迫攻撃ですので、遠距離隠密発射はその性格上、不可能(飛行機は潜水艦と違い必ず発見される)かつ必要がありません(多数機による同時攻撃法が理想、回避困難)でした。
長射程、隠密性が必要なく、まして通常型魚雷でも解決されていなかった高速高々度発射の問題も精密な酸素魚雷では一層解決困難であり、取扱いも困難且つ危険と指摘された末に航空酸素魚雷は中止さたと言われています。
酸素魚雷が重要な機密兵器であった為に航空関係者を交えず、艦政本部のみで開発を決定した経緯等、実に多くの批判がある九四式航空魚雷ですが、ただ、個人的な見解ではありますが、コンセプトとしての航空酸素魚雷はそう非合理なものではなく、大型機用の53センチの一型があるように当時研究開発中であった大型攻撃機等からの大量遠距離発射が構想されていたことが背景となって現れた次世代兵器なのではないかと思います。
BUN
つまり,航空機発射しようと思えば,何らかの方法で,機上において発射10秒前以上からエンジンを起動させ,純酸素供給にしないと使えません.それを考えると,発射に相当な熟練を必要とし,なおかつ,発射航空機も相当な改造をしないと使えないことになります.
以上のことから,トータルのコストの問題で採用しなかったと考えることもできるのではないでしょうか?
となりの大トロ
航空酸素魚雷の評価は散々なものですが、当時最も力のあったと思われる批判は魚雷の気室への被弾による爆発なのではないかと思われます。この気室への銃撃実験は鹿島の爆撃実験場で実施されたと言われていますが、搭載中の爆弾、魚雷への被弾による誘爆は支那事変中にも発生しているので、当時かなり説得力のある批判だったのではないでしょうか。ですから恐らくコスト面でのマイナス評価は酸素魚雷の推進派、反対派ともに考慮していなかったものと思います。
また、航空酸素魚雷の空中での発射手順は艦艇用とは少し異なるのではないでしょうか。
BUN
昔、魚雷の発射時、発射管中を圧搾空気にて滑り出す際中に起動レバーが引かれ、
発射管を出たときにはスクリューが回り出している、というのを読んだことがあります。
これは酸素魚雷も同じでしょう。
それに、発射後10秒間なんて、馳走距離を考えれば序の口ですから、
別に空気機動だってかまわないんじゃないですか?
ですから、航空機よりの発射でも、投下10秒前よりの起動は必要ないかと思います。
(飛行機からの投下では、やはり投下した際に起動レバーが引かれるのだと思います)
勝井