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300 司馬遼の坂の上の雲に下瀬火薬(広瀬だったような気もします)って言うのが出て来ますが、続日本海軍よもやま話に、WW2でも使っていたと言う記述があったのですが、本当でしょうか。ああ言った基本的な部分ってのは長いこと使うものなんでしょうか。そういった例があったら教えて下さい。
ジャミング

  1. 「下瀬」で正解です。
    TNT火薬は「石油」製なので、石油の貴重な我が国では石油を火薬に使わず。
    下瀬火薬を大戦中も使用していた。と何かの資料で読んだような気がします。

    錦大帝

  2.  質問になって申し訳ないのですが、調べてみると「TNTはトルエンと硝酸を
    原料とし、濃硫酸および発煙硫酸を副原料として3段階で製造される。」とあ
    りました。
     また、「トルエンは石炭乾留(コークス炉)の副産物として、また石油ナフ
    サの接触改質法によって、ベンゼン,キシレンなどとともに生産される。」
    そうです。

    >TNT火薬は「石油」製なので、
    とは「石油ナフサの接触改質法によって・・・」を指すと思うのですが、そ
    うすると戦前にはTNTはどのように作られていたのでしょうか。

     私は下瀬火薬(ピクリン酸)が使われなくなったのは三笠爆沈などで下瀬
    火薬の安定性が疑われて、徐々に廃止されていった。ただ、日中戦争が始まっ
    てから火薬不足になって再び生産が開始されたと聞いた覚えがありますが、
    どうなのでしょうか。(文献が思い出せなくて、記憶モードなので確信がな
    いのですが。)
    tk

  3. 日本海軍の使った爆薬をあげると

    下瀬火薬 PA ピクリン酸アンモニウム 
    91式爆薬 TNA トリニトロアルコール 
    92式爆薬 TNT トリニトロトルエン 
    2式爆薬 TNA60%+アルミニウム粉40%

    これらは発射薬ではなく爆薬として使われるものなので、三笠とかはあまり関係ないと思います。下瀬火薬が表舞台から消えたのは確かに敏感すぎた為ですが、これは遅延信管と組み合わせて徹甲弾に使用しても衝撃で過早爆発をおこしてしまう点が嫌われたようです。また筒内爆発の危険性も多かったと思われます。
    上にあげたうちの2式爆薬は焼夷性を求めて作られたものですが、炸裂時の煙が白くて見えにくい為に、下瀬火薬を混用したようです。


    舞弥

  4. 戦前から終戦まで一貫して陸軍工兵の主用爆薬だった「黄色薬」は、下瀬火薬ですね。
    まなかじ

  5. 上にあげたのは砲弾用の爆薬でした。他にも水雷用、爆弾用とかありました。視野が狭いなあ、我ながら。他のは完全にすっぽ抜けてました。

    88式 カーリット 爆雷、機雷用、航空爆弾用にも少々。
    94式 TNA60%+RDX40% 魚雷用 
    97式 TNT60%+ヘキシル40% 魚雷用、航空爆弾用
    98式 TNA60%+ヘキシル40% 同上
    1式  PA81%+アルミ粉16% 爆雷用

    下瀬火薬は爆雷や機雷では遅くまで結構使われていたようです。

    陸軍の爆薬はこれも砲弾用としては茶褐色薬と呼ばれるTNT系が主流となっていたようですが、破甲榴弾など一部の弾種ではあえて黄色薬が残されていたようです。

    舞弥

  6.  2の後半―あやふやな記憶で書き込んですいません。
    本題とはちょっとずれますが、気になりましたので。
    >TNT火薬は「石油」製
     1960年代以前には石油は例外を除くと(ベークライト製造など)原料とし
    ては使われていなかったようです。特に戦前の日本では燃料不足に悩んでい
    ましたのでそんな余裕はなかったようです。1950年代までは主に石油ではな
    く、石炭の乾留成分が工業原料として使われています。元製鉄屋さんに聞き
    ましたが、1960年代でも石炭化学は現役だったそうです。
    tk

  7. 補足、舞弥さんが挙げられた他の爆薬です

    テトリル(Tet) テトリル       信管用
    K1爆薬    NH4CLO4 80%   爆雷用
            FeSi 8% 
           タルク10%
           クロルナフタリン2%

    K2爆薬    HN4NO3 89%    代用爆薬
           コールタール 6%
           木紛 5%

    K3爆薬    NH4CLO4 42%    代用爆薬
           (NH4)2SO4 37%
           FeSi 20% 
           クロルナフタリン1% 

    K4爆薬    NH4CLO4 55%    代用爆薬
           (NH4)2SO4 29%
           FeSi 10%
           木紛5%重油1% 

    海軍の制式砲用の無煙火薬は以下の通りです
    名称     用途         組成%
    ニトログリセリン 綿薬  安定剤 消炎剤 他
    尋常通常火薬 魚雷加熱火管   58    37   5  −   −
    MD火薬   各口径砲     30    65   5  −   −
    二年式火薬  各口径砲     30    65   5 −   −
    八九式火薬  小口径砲     26.5  68.5 5 −   −
    九〇式二号火薬 〃(消炎)   15    68   5  8   −
    九二式火薬  40o機銃     40    55   5  −   −
          、迫撃砲等
    一三式火薬  砲、魚雷、    30   64.8 4.5 − 0.7
           飛行機射出
    九三式一号火薬 40センチ砲   41   51.8 4.5 − 0.7
    〃  二号  高初速砲     28   64.3 8  − 0.7
    三式火薬   12p高角砲    33   61   6   − 0.7
    四式火薬   12p砲      33   59   3   −  5 
    二式火薬   中口径砲(消炎) 30   61.3 8   8 0.7
    FD1火薬     〃     30   61.3 8   4 0.7
    機銃用は
    名称     使用機銃             組成
                ニトロ 綿薬 セントラリット ジフエニルアミン 他
    八九式一号 7.7o  22.5  73.6   3.0*      −   2.2
    九五式   13o   −   95.8   1.0     1.0     0.1
    二式一号  20o一号 −   98.4   1.0     0.5     0.1
          20o二号 −   97.9   1.0     1.0     0.1  
    一式二号  25o   −   97.8   1.0     1.0     0.2
          30o   −   97.8   1.0     1.0     0.2
    *ミネラルゼリー

    ロケット用は
    名称                     組成
          ニトロ   混綿薬 セントラ オルトトリル モノニトロ  他
          グリセリン     リット  ウレタン ナフタリン
    九三式一号 41     51.8   4.5   2       −     0.7
    特DT6  30     60    3    −      7      −
    特FDT6 27     60    3    −      7      3

    他にもありますし、細かい所は省略してますが勘弁して下さい。
    海軍では陸軍がTNTを使っているため、TNAを用いた様ですね。

    真面目に稽古すると疲れるなぁ。
    takukou

  8. うへえ、、、お疲れさま。疲れたでしょう、これは。自分は代用爆薬あたりも、これはまあいいやってんで止めちゃいました。ましてや発射薬から機銃用まで網羅するとは、、、気合い入ってますね。行が揃っているのにも感動しましたです。
    舞弥

  9. 司馬遼は、下瀬火薬をかなり重要なアイテムとして書き記していたと記憶します(かなり曖昧)。たしか、至近弾でも艦を焼き水兵を殺傷したといったように。当時の艦ではそのへんいい加減だったんでしょうね。
    皆様どうも有り難うございました。

    ジャミング


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