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成型炸薬弾(HEAT)が戦車等に命中した時は具体的にどのようになるのかイメージが湧かないので教えて。映画などで見るとただの榴弾のようにしか見えないのだけど、理論を読むとまず装甲にくっついてそれで爆発して、装甲に穴を空けて・・・、などと良く分からない。どうしてバズーカはトーチカなどにも有効なのだろう。HEAT弾が貫通した跡はどのようになっているんだろう。徹鋼弾のはよく写真にあるが。
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- 成形炸薬弾が爆発すると高速の金属ジェットが発生し、それが装甲を貫通して内部に吹き込みます。だから装甲の表面には小さな穴しかあきません。ちなみに、「http://www-dsed.llnl.gov/documents/diags/iccs_base.html」に、形成された金属ジェットを捉えた写真がありますが、なんだかよく判らんな…(N)
- 燃料弾薬を満載した無人の標的戦車にヘルファイヤをぶちこむ映像を見ました。命中の瞬間は小さな煙が上がるだけですが、数秒後には砲塔から白煙を吹き出し、搭載機銃弾が自爆して無数の火花が飛び散り、十数秒後には主砲弾が自爆して砲塔が吹っ飛び大爆発…。「高温ガスジェット」の恐ろしい威力でした(ささき)
- HEAT は弾頭の漏斗状ライナーによって外縁から中心に向かって爆発が起こるよう設計されているので、爆風は外に飛び散らず中央の一点に集中し(モンロー効果と呼ぶそうです)、高圧+高温によって装甲(またはコンクリート)を破り、そのまま内部に吹き込みます。ハリウッド映画のように派手に外部に爆風が散ってしまってはモンロー効果は期待できません。逆に、これを意図的に起こさせ HEAT のガスジェットを散らせるのが後期ドイツ戦車に見られるシェルツェン補助装甲、イスラエル戦車等が装備する火薬を詰めた自爆装甲などです(ささき)
- ただし、今時の西側の戦車が搭載している成形炸薬弾(対戦車榴弾)は、通常の榴弾としての効果も持つ多目的対戦車榴弾(HEAT―MP)になっているので、命中すれば榴弾のように爆発して見えます(と、思う)。(N)
- 2段目のを読んで怖い想像までたどり着いてしまった(笑) 目標の中は蒸し風呂というかオーブントースターというか溶鉱炉というか、内装類で可燃物が燃え、煙が外に出る。通常は乗員はこの段階で死ねますね。次に肉厚が薄くて熱伝導率の良い小口径弾が誘爆、最後に大型弾が誘爆、The end。
- 続き)あと、モンロー効果に付いては既に述べられている通りで、装甲面から離れてしまえば効果は激減します。シェルツェンもそうですし、スペースドアーマーというのもありましたね(チャレンジャーでしたっけ) 徹鋼弾よりも比較的簡単に防御力強化がはかれるため、現代戦車ではHEAT不要論みたいなのもあった気がするのですが、今でも続いてるのでしょうかね。
- モンロー効果については爆圧の集束する位置に鋼板表面が来るように漏斗状の爆薬から離れた位置に電気信管を置くのでは?
- 1944年に入ってからバズーカで撃たれることの多くなった独戦車兵には火傷による負傷が激増したとのこと。戦車の中の乗員を蒸し焼きにするにはかなり大口径の砲弾が必要でしょう。
- 3段下と4段下を書いたものです。いけね、誤解を招いた。「距離が離れると」を「モンロー効果の最適距離を離れると」としてください。あと「オーブントースター蒸し焼き」はあくまで2段目の「ヘルファイヤ」の記事の感想ですので。
- 訂正)「装甲面から離れると」を「モンロー効果の最適距離を離れると」ですね。ゴミまき散らしてすいません。
- 質問者です。たくさんの回答ありがとうございます。じゃとりあえず映画の中でトーチカ等建物に撃って破壊しているのは全くの嘘なのでしょうか。でもNさんの言うとおり瘤断としても使えるものもあるようですがどうなってんの頭。
- LAW携帯ロケット砲をプレハブ小屋みたいな標的に撃ち込むSEALSの訓練映像を見ましたが、小屋は見事にバラバラになってふっ飛びました。標的の防御力が低いときは貫通効果云々よりも単純に「爆発物」としての破壊力が効くのかも知れません。しかし HEAT の破壊力はあくまで直撃に特化されているので、主人公の撃ったバズーガが地面に着弾して周囲数十メートルの敵兵が「うわぁ〜っ!」と薙ぎ倒される…というのはあくまで「映画的演出」だと思います(対人榴弾を撃てるロケット砲も多いですが…まぁ映画は映画ということで)(ささき)
- 「トーチカ等建物に撃って破壊」の用途にも使えます。ただ完全に破壊する力は携帯式ロケット弾程度では無理ですけど(下にもある通りにキリで穴空けて内部に超高圧ジェット噴流と貫通した時の破片をまき散らすだけなので、内部に置いてある爆薬とかに誘爆でもしないと、映画みたいにど派手な爆発はしません)
- ↑(少し言葉足らず)下の「キリで穴空けて」->あくまでイメージ的にはです。
- 歯科用ドリルの新製品に,磨き粉を混ぜた水を高速で吹き付けて歯を削るというのがありましたが,水→爆発ガス,磨き粉→金属粒子と置き換えて原理を納得した経験があります。貫徹の主役は成形部内側で蒸発したライナーの重い金属粒子で,炸薬のガスはその動力&運搬媒体である,という意味で。
- ↑金属粒子が装甲貫通に大きな役割を果たしていることは確かだと思いますが、硬度差によって切削する水流ドリルとは異なり、金属の溶解物を装甲表面に貼り付けて融解させる効果のほうが大きいと思います。熱容量の大きな大電流端子にハンダ付けするとき「予備ハンダ」を山盛りして流すあのイメージで…(しかし私ら仕事中に何を連想してるんでしょ^^;ささき)
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