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自衛隊61式戦車の実力を教えてください。 制式された1961年の時点で旧ソ連はT62を開発していたことから、その実力は 優秀と言えないかも知れません。 もし北海道侵攻があったとしたらT54/55クラスとの戦いになると思われますが その際、勝機はあったのでしょうか。 また、退役したのは最近ですので、ひょっとするとT72クラスとの戦闘になる 状況がなかったとも言い切れません(なかったですが)その時はどうだったでし ょうか。状況は防衛で、という前提でお願いします。 E5型 |
- 仮に極東ソ連軍の北海道侵攻があったとして、どの時点にどこで戦闘が行われるのか、特定の戦場において双方、どれ位の両数を動員するのか、軍用機を始め他の種類の兵器による支援の状況はどのようなものか、といった要因によって戦況は相当異なってくると思いますけど。
あくまでも仮想ですがソ連軍が全面的侵攻作戦を行ったとして、61式配備の戦車部隊だけでなく、自衛隊全体にとって侵攻軍に対し最も有利に闘えるのは、ソ連軍が上陸用舟艇等を用いて戦車部隊等を陸揚げする時点でしょう。もちろんソ連軍も水上艦艇の砲撃や爆撃機を用いて自衛隊の陣地や集結拠点を潰そうとするだろうが、地形を利用して自軍の戦力温存を図り、戦車や火砲を動員して上陸用舟艇や戦車、それに陸揚げされた資材・物資等を破壊する、内陸に進もうとする侵攻部隊の行く手を遮るといった戦術です。
そもそも、戦車同士の一騎撃ち、ないしは入り乱れての集団戦闘のような状況が実戦で果たしてどの程度発生するか、よくわからないわけですが・・
アリエフ
- ソビエト海軍歩兵のPT−76には勝てたと思いますよ(笑)
冗談はさておき、当時ソビエトの揚陸作戦能力はどの程度だったでしょうか?
手持ちのアリゲーター級やロプチャ級(虎の子のイワンロゴフ級も)総動員してもMBTをそう多数持ち込めません。所詮陸戦は数による所が(当時は特に)多いですよね。
一対一での優位・・・は論議してもあまり意味はないでしょうね。
(呑み会での与太話としては最高に面白いものではありますが。)
タイ駐在員
- 61式戦車が、制式化されたのは確かに1961年でしたが、開発に着手したときにはまだ、T-55の情報すらも入ってなかったはずです。
要求性能の概要をいえば、敵戦車と選定する車種はT34/85だったそうです。
当時、T-10重戦車もありましたが、それとの戦闘はありえない(極東には配備されていなかったため)と言うことだったそうです。そのために、主砲はアメリカの90mmM3を改良(鋼質の改善、砲身の延長)し、61式90mm戦車砲(別名M3改)として採用しました。弾種は徹甲弾(AP-T)、榴弾(HE)、黄燐発煙弾(WP)を採用
装甲は、85mm徹甲弾に耐えれることを目標にしたんでしょうが、重量の制約で重量以内で最大肉厚を持たせたそうです。(鋼板射撃試験は40mm徹甲弾使用)
61戦車が採用されたときには、すでに西側戦車は105mm戦車砲に移行している最中で出現当時すでに、2級の不名誉な称号を与えられてしまいました。しかしながら、90mm戦車砲を積む最小限の車体設計のため105mm戦車砲に換装することは不可能、また次期戦車(74式戦車)の開発が始まっており次期戦車の整備を優先させることで61式戦車はほとんど改造を受けることはありませんでした。
ただし、あまりにも砲の威力が低すぎるので、1970年にT55、T62戦車対抗用として70式対戦車榴弾(HEAT-T)が採用されました。装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS-T)も1982年ごろに開発されていますが、HEAT弾より貫徹力が低かったので不採用となっています。
>T-72クラスの戦闘
61式戦車の戦闘の基本は敵海兵部隊の持つPT76軽戦車や、せいぜいT55が相手と言うところでしょう。
それでもT72クラスとの戦闘を余儀なくされたら、WW2でシャーマン戦車がティーガー戦車にとったような行動しかないでしょう。
正面撃破は不可能ですが、側背面からなら旧式徹甲弾でも十分可能なので、ある程度引き込んだ上で、防御陣地からの側面への射撃、もしくは側面への機動打撃になります。
蛇足ですが、74式戦車開発時の対抗目標としたのはT-55戦車です。
T-62対処として、APFSDS弾の追加
T-72/80対処として、新APFSDS(93式装弾筒付翼安定徹甲弾)追加
はいどーも
- 与太話レベルということで、お願いします(笑)。
61式とT-55の性能を、Web上のデータや一般的な書物から調べてみました。
・61式戦車の性能
[攻撃能力]
主砲:61式90mm戦車砲
初速:910m/sec(M318AP、実際はAPCBCに分類されると思われる)
弾丸重量:不明
貫徹能力:不明
ちなみに、M26ジェネラルパーシング搭載砲90mmM3GUNの性能および
貫徹能力は下記の通り、これよりちょっと上程度と思われる。
初速:853m/sec(M82APCBC)、1021m/sec(M308HVAP)
弾丸重量:10.8kg(M82APCBC-T)、7.6kg(M308HVAP)
貫徹能力:射距離1000m、直立したRHAに対して、M82APCBCで131mm
、M308HVAP:222mm
[防御能力]
車体前面:55〜46mm、角度不明(45°前後)
車体側面:36mm、角度不明(ほとんど直立)
車体後面:16mm
砲塔前面:114〜102mm、R形状
砲塔側面:100〜40mm、R形状)
砲塔後面:40mm
※公式な数値は不明ですが、このぐらいだって言われているそうです。
・T-55の性能
[攻撃能力]
主砲:D-10T2S 100mm戦車砲
初速:不明
弾丸重量:15.9kg(53-BR-412B、AP系)
貫徹能力:射距離1000m、直立したRHAに対して、AP系で180〜200mm
HEAT(3UBK4)で380mm。
[防御能力]
車体前面:110mm、60°
車体側面:100mm、55°
車体後面:30〜60mm
砲塔前面:205m、R形状
砲塔側面:120〜130mm、R形状
砲塔後面:60mm、R形状
61式の主砲でも、HVAPを使えば、T-55の砲塔でも1000m以内で貫ける可能性がありそうです。車体なら、簡単に貫けます。70式HEATならば、それなり以上に戦えるかな。
T-72とじゃ、比較するだけ野暮かな(笑)。でも、側面なら、充分に貫けるでしょうから、完全に戦術しだいということで。
ある
- >(M318AP、実際はAPCBCに分類されると思われる)
M318AP(61式のものはM318A1)の分類はAPBCです。
うろ覚えですみませんが、米軍のデータだと射距離1000mの垂直RHAに対し180mm前後の貫徹力があるとされていました。
61式戦車砲のものは、これよりやや貫徹力があると言えます。
HVAP及びM82APCは有事の際に米軍から供与を受けるという名目で射撃できるようになっていました(初期型だけだけど)。
はいどーも
- 射撃統制装置の性能も重要な要素ではないでしょうか?
74年の第4次中東戦争で115m戦車砲を搭載したT62が105mm戦車砲搭載の西側戦車により大きな損失を受けた原因として、第二次大戦型のスタジア・メトリック式の測遠システムを用いていたからです(後により高度なシステムに改良されますが)。60年代当時のT54/55も同様です。このシステムの場合、命中精度は移動目標に対し1000mで70%、1500mで50%、2000mで20%程度です。
61式について手元にデータが無いのですが、開発に当たり参考にしたというアメリカのM47中戦車は基線長(ステレオ)測遠機と弾道計算機などを連動させたシステムになっています。同様なシステムを用いたM103の120mm戦車砲の移動目標に対する命中精度は1000mで85〜90%、1500mで70%、2000mで50%程度を維持できるとされています。
と言うわけで、遠距離射撃における命中精度では、61式はT55を上回っていると思いますが。
アリエフ
- ありがとうございました。
E5型
- 5>
>M318AP(61式のものはM318A1)の分類はAPBCです。
M318はM82APCの改良型かと、勝手に推測していたんですが、違うのですね。ご教示ありがとうございます。訂正します。
>HVAP及びM82APCは有事の際に米軍から供与を受けるという名目で射撃できるようになっていました(初期型だけだけど)。
HVAPも標準で撃てるのかと、勝手に思ってました。そういえば、仮制式要綱にもHVAPが標準的な弾種だって書いてませんね。ご教示ありがとうございます。
ある