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1・なぜ戦車だけが滑腔砲+有翼弾を用いるのでしょうか。カノン砲や狙撃銃には不向きなのでしょうか? 2・小火器のことには無知なものですが… 反動抑制のためのガスシリンダー(ガスピストン)がある小銃と無い小銃があるのは何故なのでしょう? 富士通BIBLO |
- 1.の質問ですが
戦車の砲は、敵戦車の装甲を撃ち抜くことをその主目的としてます。
最初は砲弾の着速を増したり(高初速化)、砲弾をより重く大きくしたり
(大口径化)することでその目的をこなしてきましたが、撃ち抜くべき
装甲が厚くなるにつれ、効率の良い方法が求められました。
そこで砲弾を細長くし、同じ重量でも砲弾の単位面積当たりの重量を
増す手法が取られ、砲弾はAP→APDSと細長く成って行きました。
しかしある程度以上細長くなると、回転(スピン)だけでは砲弾の姿勢
安定が十分出来なくなり、翼を使って安定する有翼弾APFSDSに成って、
砲もそれに最適化された滑腔砲が主流となるに至ったのです。
便乗質問ですが、APFSDSというのは初期から塑性流動状態での侵徹を
狙っていたのでしょうか、それとも理論は後付だったのでしょうか?
恐らく後者だとは思うんですが。
taro
- ベトナム戦争初期か直前に合衆国軍が時期主力ライフル用の弾に矢(フレシット弾)の使用を考えていたはずです。
当時は「重い、かさばる、反動がでかい」と言うことで5.56mmの採用に流れたと思ったんですが。
うう、すいません。
詳しい方、後よろしくお願いします。
Sparrow
- Q1.に回答。
APDS、APFSDS ともに、小火器用に小口径化した場合、空気抵抗を利用しての”サボ”離脱が
タイミングよく働かない事実があります。そのおかげで、命中精度も、ガタガタ。
(APDSライフル弾は、米国で市販されていました。確か”アクセレーター”弾とか言いました。)
Q2.に回答。
小火器における、ガスシリンダーは、「反動抑制のため」では、ありません。
通常は、自動連発−装填機構の為に備わっています。
WarBirds 重鎮 ささき 氏のHPにて、”3−5 ガス圧利用 ” の項目を見ましょう。
http://www.warbirds.nu/crazy/jp/gun/mech.htm
別格: 重機関銃の銃架(マウント)に、反動抑制のためにシリンダーが備わっている場合もありますが、
その件は銃の基本話とは離れてしまいます。
軌跡の発動機?誉
- Ans.Q-No.4向きの話になってしまいますが・・・
>2
1960年代、米陸軍ではM14ライフルの後継として、複合歩兵火器SPIW(Special Purpose Individual Weapon)の研究を進めていました。SPIWの要求スペックは、フレシェットと呼ばれるダーツ(矢)型弾を高発射速度で発射できることと、40mmグレネード弾を3発以上連射できるというものでした。が、M14の6倍もの開発費を投じながら、70年代に入って計画は中止されてしまいました。
SPIWが流れた要因として、フレシェット弾の弾道や着弾威力が安定せず、当時としては時代に先んじすぎたスペックであったことが挙げられます。また、フレシェット+40mmグレネード弾3発という要求も当時としては欲張りすぎといえ、各メーカーが完成させたSPIW試作銃はどれも大型で重くかさばるゲテモノでした。さらに、当時ベトナム戦争の真っ最中で、現場からM14に変わる新型ライフルの早期配備が求められていたことも要因の一つです(完成の目処が立たないSPIWを待つ余裕などなかった)。
結局、1962年に米空軍が先行して口径5.56mmのM16(AR15)を採用し、最後までSPIWに期待をかけていた米陸軍も1965年にM16改良型を導入することになりました(1967年に制式採用されM16A1となる)。
なお、米軍ではその後もフレシェット弾をテストしています。1970年代後半から行われた自動式ショットガンをベースとするMIWS(Multipurpose Individual Weapon System)計画で、H&K社と米オリン・ウィンチェスター社が共同開発して提案した試作銃CAWは、スチール製の小型フレシェットを発射できるようになっていました。
また、M16の後継銃を模索して1980年代末〜90年にかけて行われたACR(Advanced Combat Rifle)計画では、米AAI、コルト、H&K、ステアーの4社から提出されたACR試作銃のうち、AAIとステアーが提出したのがフレシェット弾使用銃でした。
ただし、これらの計画もすべて試作止まりで終わっています。
>3
誉さんが挙げられた『アクセロレーター』は、米レミントン社が市販している(いた?)プラスチック製サボット付きライフル弾薬の商品名です。7.62mm口径の銃身から、プラスチック製サボットで包んだ.22口径ライフル弾頭を発射するためのアイデアで、速燃性の発射薬と組み合わせて高初速を得られるのが特徴です。
.30-06仕様が製品化されましたが、.223レミントン等の.22口径ライフル弾に比べて命中精度が著しく劣る、ボルト・アクションやレバー・アクション以外の作動機構には使えない等の欠点があり、営業的には伸び悩んでいるようです。命中精度が悪い理由は誉さんが挙げられている通り、空気抵抗によるサボットの離脱がうまくいかないためです(戦車砲とは比較にならない小口径&銃身内を通過する際の摩擦熱でサボットが溶着してしまう)。
ブラック・タロン
- カノン砲というのは、砲兵があつかう、長距離砲のことでしょうか?また、有翼弾とは、APFSDSのことでしょうか?その前提でお話します。
長距離砲用の離脱装弾筒付翼安定弾は、第二次世界大戦中のナチスドイツによって開発されています。ドイツ語風の読み方で、レクリング弾、最近では、レリヒン弾とか呼ばれています(スペル判りません、ごめん)。この弾丸は、長距離砲の射程増大と、要塞の分厚いコンクリート壁を貫通するために開発されましたが、不発弾が連合軍に発見され、連合軍で利用されるのを恐れたヒトラーが使用を禁止したと言われています(信憑性は?)。その後、他国で実用化されたという話は、私は聞いたことがありません。
離脱装弾筒付翼安定弾は、通常弾と比較して下記の点で不利です。
1)砲の口径に対して、弾径が小さくなり、威力が劣る。
2)弾丸重量が小さく、横方向からの断面積は大きいので、風の影響を受け易く、精度が劣る。
このことから、長距離カノン砲では、滑腔砲+有翼弾が用いられないのでしょう。
ちなみに、比較的近距離用の曲射射撃砲で、滑腔砲+有翼弾は沢山あります。多くの迫撃砲がこれにあたります。
ある
- >>taro氏
その推測は極めて正しい(笑)
少なくともロシアはそんなの考えてなかったと思う。まともな論文すらない
し。少なくとも重用視していたとは思えない。
HEAT重視だったわ、APFSDSの弾芯短いし。
ちなみに西側だけに関して言えば、塑性流動による侵徹機構を最初から考え
採用されてますね。もっとも、初期の侵徹理論は修正ベルヌーイ式の様に、
HEATの侵徹理論をAPFSDSに拡張しただけで、「あまり重要視」はしてなかっ
たようです。少なくとも米国は。
こんな歴史的な事実をを見る限り、一番整合性のとれる見方としては、ロシ
アとアメリカは知っていたけど、重要視なんかしてなかった。という事に尽
きちゃうのではないかな?と思う。
APFSDSの真の価値を知っていたのはドイツ(と日本)だけだったのではなかろ
うか?他の国のMBT の装甲を見てもつくづくそう思う。
sorya
- 回答いただき恐縮であります。小火器や長距離砲用の有翼弾が研究・試作されていたことは初めて知りました。また、ガスシリンダーは自動連発−装填機構のために備わっていたのですね。勉強になりました。今後も宜しくご協力ください。
更にご意見ありましたら追記願います。
富士通BIBLO
- 12.7mm クラスのレーザー誘導式の遊翼弾を使う『究極の狙撃銃』をイギリスが研究中だそうです。
ささき
- >8
私が「ディスカバリー・・・」で見た奴は弾頭の先がモーターか何かでグリグリと動いて弾道を変えるタイプの銃弾でした。(やっぱりレーザー誘導式だった)
ガンヘッド507
- >9. あ、多分それだ。勘違いしてました(^^;
ささき