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1・戦車砲身には冷却のための冷却フィン(ヒダ)が何故ないのでしょうか?寒冷地ではサーマルジャケットを巻くとして熱帯地域では冷却フィンが有効なはずでは。 2・臼砲の砲身長が短いのは何故でしょう。敵要塞からの砲撃を避けアウトレンジで攻略したいと用兵者側は考えるでしょうから砲身は長いほうが具合がよいのでは? 富士通BIBLO |
- 1・サーマルジャケットは熱地でも有用な装備です。
シナイ半島やゴラン高原のような低緯度砂漠地帯を主戦場とするメルカバもサーマルジャケットを巻いているじゃないですか。
砲身温度が均一に分布しないことで歪みが生じるのが問題なのです。
2・要するに、砲身が長くなると「榴弾砲」と呼名が変わるからじゃないでしょうか?
(身も蓋もなし)
まあ、ドイツ陸軍が第二次大戦中に使った21センチMrs18重臼砲はかなり長い砲身を持っていますが。
まなかじ
- 1・放熱フィンは連射することで銃身が(手が触れられないほど)加熱する機関銃などに使います。戦車砲の発射速度なんて機銃には及ぶわけがありませんから必要ないのではないでしょうか。そこまでして砲身を冷却する必要があるとは思えません。
また、熱帯地方云々といっても気温などで歪んでしまうものにフィンを付けたとしても全く効果はないと思いますが・・・・・・。
居眠り将軍
- A1.サーマルジャケットは、砲身の熱分布の差によるゆがみを無くすために付けられています。
具体的に説明すると、もっとも影響があるソーラベントと呼ばれるものは、冷えた砲身に日があたると影の方向に砲身がゆがむ現象で、M41戦車による実験では最大2ミル偏差したこともあります。
2ミル違うと射距離1000Mでは2Mずれますんで初弾での命中は期待できなくなります。
(*1ミルは1000Mで1M幅になる角度で、1度は約18ミルになります。)
砂漠では、太陽が天頂にある昼よりも朝夕の方が偏差が激しいようです。
これは、直射熱も大きいんですが、地面に反射する輻射熱も大きいんで偏差が少ないそうです。
また、偏差は温度差により起こりますので、夏よりも冬の方が偏差が大きくなるようです。
他には射撃後等、熱された砲身が風や雨等により片側だけ冷やされることによって砲身がゆがむウィンドベント、レインベントなどがあります。
A2.厳密な区分けは無いんですが、自衛隊では、30口径以上の砲を「加膿砲」20口径以上30口径未満を「榴弾砲」20口径以下を「迫撃砲」と区分けしています。追加として、10口径以下のものを「臼砲」と呼ぶ場合もあるとなっています。
ご存知の通り、最近の榴弾砲は30口径以上あるものが当たり前となっているので最近は運用上(弾道の違い:実用射角の違い)で分けるのが一般的です。
はいどーも
- 臼砲について。
臼砲で本質的なのは砲身長よりはむしろ口径の方で、青銅鋳造砲の時代に大口径の砲をつくろうとすると、短砲身にせざるを得なかったのが理由です。
その後、鋼鉄砲の時代になって、材料や製造法の進歩で頑丈な大砲が作れるようになると、長砲身(長射程)を目指すものは榴弾砲に置き換わっていき、曲射弾道を生かしつつ小型軽量にする方向では迫撃砲へと発展していきます。迫撃砲は英語ではMortarで、つまり臼砲ですね。
また、頑丈になったぶんさらに大口径を追求すると、ドイツのカール自走臼砲のように短砲身にせざるを得なくなったり、ドーラのように砲も砲架も巨大化して列車砲にせざるを得なくなるわけです。
石垣
- 臼砲は破壊力(弾頭威力)を優先して開発されています
#4で石垣さんが述べられたように
大口径で長砲身ですと重たくなります(装薬量から見て半端じゃない)
機械化以前の軍隊では大きな大砲の移動は物凄く大変で
各種の制約から事実上の上限とも言える重さが出てきます
この重量を、大口径に用いるか、長砲身化に用いるかで
適度なバランスを持った榴弾砲、射程の大きい加濃砲、そして威力重視の臼砲と分かれていくのだといえます
要塞を叩くにはなんと言っても一番大事なのは破壊力です
秘匿陣地等の布陣を工夫する事で射程の不利は覆す事も不可能では有りませんが
威力は簡単には補えないのです
SUDO
- 回答いただき恐縮であります。ソーラベント等の用語は初めて聞き勉強になりました。臼砲については成る程!破壊力〜弾頭重量で考えればよいわけですね。回答いただいた全ての皆さんに感謝いたします。
富士通BIBLO
- 戦車砲じゃなければ、ブッシュマスターの砲身なんかは、銃身の嵩剛性を増やすた
めと、放熱性を加味して、あんな感じに根元が仕上げられています。
でも、どちらかといえば冷却効果よりも嵩剛性の効果のほうが著しいです。
射撃後数度違うかどうかといったレベル。
sorya