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WWII中の独の戦車は、ガソリンエンジンを搭載していますが、ディーゼルエン ジンを搭載することは検討されなかったのでしょうか。私としては、ソ連の戦車は ディーゼルエンジンを搭載しているので、東部戦線で、ソ連の戦車燃料置場を占領 した際、その燃料を使えるし、石炭液化技術の点からいっても(石炭液化により、 石油を製造した場合、高品質の軽油が製造できる一方、オクタン価の低い低品質の ガソリンが製造されるので、ガソリンエンジンには好ましくないと聞いています) ディーゼルエンジンの搭載を検討してもよいと思うのですが。 何か、ディーゼルエンジンには、戦車に搭載するのに不向きな欠点があるのでし ょうか。 山家 |
- デカくなります。日本戦車は車体の半分近くを機関室に占領されていますしね。ソ連のディーゼルエンジンは結構小さい割に高馬力ですけれども、エンジン自体に軽金属等の高級材料を使用していた、と読んだことがあります。
居眠り将軍
- >1 必ずしも当時のディーゼルエンジンが同馬力のガソリンエンジンより大きくなるとは限りませんが。むしろ、ディーゼルの方がより高い馬力を出すには有利です。また、ソ連の戦車エンジンはイスパノ・スイザの航空機用ガソリンエンジンが原型で、それをディーゼル化したものです。馬力向上により原型に比べると幾らか大型化しているだろうけど。ディーゼル化したため、やたら大型化するのであれば、米軍のM4シャーマンでも航空機用星型ガソリンエンジン搭載型より、ディーゼルエンジン搭載型の方が、エンジンルームが相当大きくなってしまうのでは?実際はほとんど同じ位の大きさですけど。
で、以前にも回答したことがありますが、独戦車の多くがディーゼルを搭載しなかったのは、前線でガソリンエンジンとディーゼルエンジンの両方を使用しなくてはならず、燃料の互換性や補給で問題が生じることを嫌ったことが大きな要因だと思います。米軍でも、海兵隊は船舶と同じ燃料を使用できるディーゼル搭載型のM4を使用したのに対し、陸軍は輸送用車両がほとんどガソリンエンジンであることから、ディーゼル搭載型のM4はほとんど使用していません。
ソ連の場合、航続性能を重視したため、レンドリース車両も含め中戦車や重戦車をできるだけディーゼルエンジンで統一する傾向が見られます。もちろん、ドイツでも航続性能、燃費と燃料の補給・互換性といった相反する要求を天秤にかけた上で、戦車のエンジンはガソリンエンジンを主流とする選択を取ったということではないかと思います。
アリエフ
- すいません。裏もとらないで勝手に思い込んでいました。
居眠り将軍
- 戦闘中の弾切れという最悪の事態を避けるため、ドイツ戦車は射撃時に停車
してよく狙うよう訓練されていた、というのが通念で、JentzのPanzertruppen
にもそのような記述があります。SchneiderのPanzertaktikによると、移動中
に発砲することもあったようですが。
ともあれ、ドイツの戦車運用では「止まって撃ってまた動く」ことが多く、
エンジンがすぐかかるガソリンエンジンの使用が前提ではなかったかと思いま
す。大戦末期になると背に腹は代えられず、確かヘッツァーなどはディーゼル
型も真剣に開発されていましたね。
マイソフ
- >2
大戦末期の日本陸軍では
ガソリンエンジンのほうが小さくできるので
燃料タンク容積が大きく出来て、行動半径は同等以上になると結論付けてます
(空冷ディーゼルと水冷ガソリンでの比較)
単純にどちらが上とは言えない要素があります
SUDO
- 既に回答がありますが、ガソリンエンジンの方がコンパクトで出力が大きいのが理由と思います。
但し、ディーゼルも検討されており、2サイクル+過給器が有望視されていたようですね。
tackow
- ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの出力について、どちらが優れているか単純比較は難しいだろうが、エンジン馬力だけでなくトルクも考える必要があるのかな。戦車の場合、低速で走行し発進・停止を繰り返すことが非常に多いから、こうした走行条件にどちらのエンジンがより適しているかという問題だと思う。
アリエフ
- 親切な回答を、いつもありがとうございます。
私事ですが、年末の大掃除をしたところ、紛失したと思いこんでいた「陸戦兵器
総覧」という本が出てきて、それをあらためて読み返したところ、山下奉文将軍を
団長とする軍事視察団が、独の戦車専門家と戦車用エンジンについて討議した際、
独から日本の戦車用空冷式ディーゼルエンジン技術を賞賛し、技術交流の申し出が
あったという記述があったことから、あらためて質問させていただきました。
本当にたびたびの質問にお答えいただき、ありがとうございました。
山家