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よく、「戦車ではどれが最強」的な議論において装甲厚や主砲弾の貫徹力のデータが引き合いに出されますが、そういった戦車単体の実験場的データは戦闘能力の高低に大きな影響を与えているのでしょうか。実験場的データのみを比べた場合、III号J型とKV-1を比較して、前者に軍配を揚げる人はまずいませんよね……。 WT |
- 機械の性能と言うハードウェアと戦術や運用といったソフトウェアを
一緒くたにして「強さ」と見るから混乱するのでは?
SUDO
- >>「戦車ではどれが最強」的な議論において装甲厚や主砲弾の貫徹力のデータが引き合いに出されますが…
それだけだと、必要条件は満足しているとは思いますが、必要十分条件は全く満足
していません。限られたシナリオ(運用)下における評価しかできんです。
少なくとも、ウチらはそんな不完全なデータだけで議論を行ったことがないです。
sorya
- 早速の回答をありがとうございます。
> SUDO様
ソフトウェア(乗員の訓練やドクトリン、作戦レベルでの数的な差、他の兵種との連携等
)の方はなかなか数値化しがたいとは思いますが、個人的な所見では戦車単体でのハードウェアの優劣よりも遙かに大きな影響を与えるもののように感じます。これは見当違いな意見でしょうか。
> sorya様
重ねての質問となってしまいますが、他にはどのような要素のデータを加味して議論なされるのでしょうか。上記のようなソフトウェア的要素を数値化する方法をぜひ知りたいです(差し支えのない範囲で……)。
WT
- >3
どっちがより大事って事は無いと思います
どんなに戦術洗練させても95式軽戦車じゃスターリン重戦車は先ず壊せないでしょ
戦術を生かすにはそれに見合った性能が必要なわけで
性能を生かすにもそれに見合った戦術が必要なのでは?
そして戦術は時と場合によって最善の答えが違うわけで
これに戦車の性能と言う要素も戦術選択には加わるのですから
数値化は難しいと言うか困難かと思います
SUDO
- > どんなに戦術洗練させても95式軽戦車じゃスターリン重戦車は先ず壊せないでしょ
たしかに、そうですね。同時代の戦車に話を限定と言いたいところですが、その2つは配備されていた時期が重なっていますよね。下を見始めたらきりがないので、同時期の中程度以上の対戦車能力を持つ戦車同士の比較としましょう。それでも、帝国陸軍は辛いですけれど……。
データを調べたわけではないので何ともいえませんが、41年のKV-1も急降下爆撃機や高射砲、歩兵の攻撃、榴弾砲の直接射撃などによって倒され、戦車に食われるケースは意外に少なかったのかもしれません。とすると、戦車同士の性能比較はさらに意味がなくなってしまいますね。それとも、独ソ戦の方が特殊なケースだったりして。
> これに戦車の性能と言う要素も戦術選択には加わるのですから数値化は難しいと言うか困難かと思います
いろいろと教えていただいているのに恐縮ですが、上記のお答えを拝見すると、soryaさんはそれ以外の要素もいろいろと数値化されて議論なされているのではないでしょうか。ある程度、数値化されていなかったら、水掛け論になって議論にならないような気がします。それとも、怪しい係数をかけたりするんでしょうか。SS戦車大隊は装甲×1.15として換算することと、とか(笑)。
WT
- 対戦車戦闘に関して言えば、必ずしも装甲を貫通させる必要はないということを聞いたことがあります。中の戦車兵を士気喪失させてしまえばいいのですから、九五式軽戦車でも四方八方から乱打すればスターリン戦車を戦闘不能にすることは可能かもしれません。その前に燃える鉄塊が幾つもできてしまうことでしょうが。
WT
- 別にオカルト的な評価をしてないよ。以下一例。
基本的にはゼロサムゲーム法を元に評価。点数のつけ方は、
+2=>+1=>0<=−1<=−2
+2点は勝率トリプルスコア、+1点は勝率ダブルスコア、0点は僅差、
−1点は負率ダブルスコア、−2点は負け率トリプルスコア
で、とある因子と水準で割り付けられた戦闘パラメータを前提にして、(最良・最悪
の)防御時、(最良・最悪の)攻撃時の勝・負率から前述のスコアをつけ、その組み合
わせ因子の得点を書き出し、因子分析を行うです。
すると、採用因子とその水準によって、例えば採用因子毎の一両あたりの勝率係数
がいくつとか防御・撃破係数がいくつとか言う、単因子の効果や、複合因子(相互作
用)の効果が導き出されてきます。(つまりはその乗り物の性格が出てくるのさ)
これから、逆にどのような戦術を取れば一番効率がいいのかを考えれば良い訳で。
アプローチが逆です。
sorya
- ↑ちなみに内容が内容なんであからさまにあやふや状態で投稿してまふ(笑)。
基本はゲーミングと実験計画法による評価が主になるですね。
sorya
- おっと忘れてた。そんな訳でハードウェアとして評価する場合一番評価されるのは
火砲単体の威力、発射速度、防御力、索敵能力(センサーですな)、そしてターレッ
ト(砲軸変更)速度だけ。車体単体の機動力というのは余り考慮せんですね。戦術面
に吸収されるので、確かに機動力というファクターは採れる戦術の広さを限定して
しまいますがこれだって、あくまでも単体での戦闘能力に限ってしまうことに留意
すべきです。
例えば前述の評価法を用いて、90をそのままスケールアップした140mm砲搭載の
65t級MBT一両と無砲塔型47t(砲角度が左右面のみ±10度に限定される)MBT4両とで
対戦させたと仮定した評価では、3000以下ではトリプルスコアで65t級MBTが負けま
す。この場合65t級MBTが採るべき道は一つです。現時点でのハードウェアのままで
は常に4000以上(これも因子分析で傾向が出てくる)の距離を取ること、改良点は発
射速度の向上もしくは射撃精度の更なる向上です。
前述のような簡単な評価ですら、これくらいは分かるのですよ。
sorya
- >7〜9
なるほど、性格が浮き出てくるんですね
SUDO
- sorya様
おおっ、これは勉強になります。ありがとうございます。
ちなみに、III号J型とKV-1例に当てはめてみると、やっぱりIII号J型の方が高性能という評価になるのでしょうか。
WT
- ……でも、機動力は本当に計算しなくていいのでしょうか。マチルダIIやらB-1bisの評価が上がりそうですね。逆に、SU-100やV号駆逐戦車の評価は下落……。もう一つ疑問なのは、対戦車戦闘のみの評価だけで、対歩兵戦闘とか陣地攻撃の戦闘力は加味されないのでしょうか。
WT
- それと、練度や士気の問題はどうなのでしょう。M48のようにイスラエル軍でもヨルダン軍でも使用されている戦車は、イスラエルの精鋭戦車兵が乗ろうがヨルダン軍のいまひとつやる気のない戦車兵が乗ろうが評価は同じなのでしょうか。だとすると、実践的にはあまり意味のない評価になってしまいます……。
WT
- >>練度とか士気とか
そげな定量化しづらいものは基本的にやらないです。極論を言えば人間というのは
システム中における歯車の一つ(しかもたいそう脆弱な)ではあるのですが、それを
もって、ハードウェアの評価というのはあり得ないです。普通はあくまでも人間的
ファクターを出来うる限り最大として評価します。
確かにM1A2SEPやM1A2(無印)のように、ベクトロが洗練されてない状態だと、乗員
自体の情報処理能力の飽和によって(現状ではS/N比低いんだな) 、発揮される能力
は限定されてしまいますが(特に複数両同時運用の場合)、それにしても基本的には
そのような流動的なファクターに基づいて評価しません。瞬間的には100%運用が可
能である確率は否定できませんから。
>>機動力とか戦闘条件とか
そうだなあ。ハードウェアとして評価する場合、機動力のファクターを加味する事
はやはり少ないですね。と、いうのも評価因子に遭遇距離と遭遇時間が入ってしま
いますので(厳密には)。遭遇距離と遭遇時間の相互作用が機動力として評価が可能
なので、わざわざ機動力を評価することはないですね。
戦闘条件も同様で、総合重量を固定し、装備のバリエーションを因子水準に取りま
す。これと遭遇距離と時間の因子を加えることで感度分析が行われることが多いで
す。
sorya
- >それをもって、ハードウェアの評価というのはあり得ないです。
なるほど、なるほど。ハードの評価にソフトは入れるなっていうことですね。艦艇関係では「帝国海軍の練度を以てすれば米海軍何するものぞ」的意見を見受けますが、あれも邪道ということですね。実際にハード面に携わっていらっしゃる方ならではのお言葉と思います。
逆に、これを御覧になっている方の中で、ソフト面から評価している方はいらっしゃいませんか? やはり、最終的に勝敗を大きく左右する要素と思える士気や練度・ドクトリン等は、不確定要素として定量化できないところに意味があるんでしょうか(やり方によっては劣勢なハードでも勝てると考える)。
WT
- ドクトリンに関しては評価可能ですよ。と、いうよりより厳密には使用兵器の性格
が分かってこそのドクトリンとも言える訳で。
まさか、自走榴弾砲にしかならない性格の兵器のみ用いてMBT に肉薄攻撃は普通し
かけんでしょうし、健康的な軍なら、わざわざそんな事を考える必要性もないです
から。そんな事をしたら無惨な死しかアウトプットは出ません。
(前述の方法を用いれば、ドクトリンに完全適合した性格の兵器も作れるんですけどね)
私の個人的な意見を言わせて貰えば、明らかにハードウェア的に劣位な状況で反撃
もしくは勝とうとする時点で、極めて不健康な状態であると認識します。
単体でのハードウェア的な劣位は数で充分賄えるのです。数を賄えることでその兵
器系の突出した弱点が大きくカバーできるという直球ド真ん中運用方法の方が、そ
れこそ下手な考えなんとやらになります。
柔好く剛を制する例も多少なりとも存在しますが、それよりも剛好く柔を砕く例の
方が圧倒的に多いことを忘れてはならないと私は常に考えますよ。
(ああ、柄じゃねえ)
>>で、練度とか
米軍(日本もだけど)とかでも、特定の条件下における人間の動きはルール化できて
いません。パニック挙動とか。練度に関しては人間工学による操作性の向上でカバー
せざるを得ないと思います。同時に教育も大事よ(笑)。
ついでに言うと、これも日本含むのですが、所謂メガプレイヤーゲームを軍用にア
レンジした奴で、数式化はできなくとも、有る程度の傾向のテーブルを取得しよう
とする動きがあるですね。
sorya
- なるほど、参考になります。が、WT氏が13番で書かれた様な内容「イスラエルの精鋭戦車兵が乗ろうがヨルダン軍のいまひとつやる気のない戦車兵が乗ろうが評価は同じなのでしょうか」なんかの場合。例えば、訓練時の射弾散布(偏差なり公算誤差なり)がイスラエル軍の場合にはxmil、ヨルダン軍の場合にはymilと既知である時(勿論、統計学的に有意な母数が得られたとします)に、「戦力評価」としてそれを用いる事はどうなのでしょう?「100%の能力を発揮できる可能性がある」のも勿論否定するものではありませんが・・・
tackow
- 確かにD.E.A.の様な「現時点における効果判定」には使えると思いますよ。
でも、ハードウェアの設計の指標に用いる事は全くありませんね。それを示す一例
が湾岸紛争時のアメリカ軍です。
鉄弾芯のKE弾以外の装備の可能性があると判定した米軍は一部計画を前倒しにして
M1A1をM1A1(HA) に改造したり、M1A2の先行調達をはじめました。
実際にはその判定は杞憂に過ぎなかったわけではありますが、ハードウェアの設計
者及びその仕様を推進させた運用側には全く過ちが無かったと私は思っています。
実際砲塔基部にブチ当てた兵がいましたしね。皆逃げ腰〜と報道されていた割には
ちゃんと2σ超えちゃってる技量を持つような兵が存在したわけです。
結局は鉄弾頭であったため、撃破されることはありませんでしたが、これが本当に
タングステン合金製のKE弾だったら一部地域ながら洒落にならない被害を米陸軍が
受けた可能性を全く否定できないのですよ。
このことを考えても、現時点の練度や士気を加味したハードウェア評価というのは
中々にし辛いというのが実際のトコロですね。
sorya
- 一連の↑
もしかしたらちゃらんぽらんなワシの最後の良心かもしれづ(笑)
sorya
- 了解しました。ハードウェアの評価を語るときには、練度などのファクターは除外した方が確かに理にかなっているとも思います。ヨルダン兵が使ったL7もイスラエル兵が使ったL7も(砲弾が同じであれば)物理的には同じ威力、ということなのですね。
どこそこの戦場で、○○がどの程度の兵士によって扱われたから××に対してこうだった、というのとはまた別の話と考えればいいのですね。
tackow