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今後の戦車の重量はどうなるんでしょうか? 自衛隊の40t級新型戦車や米独の新型戦車計画などを見ると50t以下に軽量化していく方針です。しかし「レオパルトIIA6やメルカバMk.IIIが60tに到達したところを見ると自衛隊の40t級戦車のような軽量化は不可能では?」という否定的意見も聞きました。 ニルス曹長 |
- その意見は何処で?誰が?どのような文長で?
重量は減るよ。今後は。アメリカのFCS (と一般的に言われている)システムだと
要求されている全備重量が30t 台。受動装甲ほとんど無し(その代わりにアクティブ装甲がつく)。
今後と言うのが具体的に何処の未来を指すのか判らないのだけど、少なくとも次々
世代と言われている研究中の車両は今よりかなり軽くなるでせう。
sorya
- 便乗ですいません。
受動装甲、アクティブ装甲とは何なのでしょうか?
それぞれ、普通の装甲、リアクティブアーマーと理解して良いんでしょうか?
taka
- 受動装甲というのは従来の装甲という概念でオケ。
能動装甲はERA 含まんです。あれも外からのエネルギで動くので広義の受動装甲に
含まれます。
で、能動装甲(アクティブ装甲)というのは、車体に脅威が当たる前に全て無力化し
てしまおうという奴です。
一例では、米国で研究しているスレッド発射型装甲 (金属板を飛ばして弾頭を切
断・破壊させる) 、電磁装甲、電磁加速装甲、ミサイル迎撃用マルチFEP 弾頭等
があります。防御システムと誤解されそうなアイテムだけど。
sorya
- >「レオパルトIIA6やメルカバMk.IIIが60tに到達したところを見ると自衛隊の40t級戦車のような軽量化は不可能では?」
なんでレオ2A6、M1A2、チャレンジャー2などが60t級になったのかは、元々120mmタングステン合金のAPFSDS弾に対応して造ってないからだと思います。(メルカバは特殊なのでパス)
たとえば、M1A1エイブラムス(57t)、チャレンジャー(62t)、レオパルト2A1(55t)などはHEATや鉄弾芯APFSDSに対応しているだけでこの重量です。
そこから装甲をタングステン合金APFSDS弾に対応しようとすれば当然60t級になるわけで…。
その点90式は設計が新しいだけに同程度の対弾能力を有しながら50tですからね。
米英独でも現在の技術というか設計で造れば50t台のMBTは可能だと思います。
90式と同年代の仏ルクレルクですが当初重量50tにするつもりだったらしいですけど、結局54.5tになってしまいました。ここら辺が90式との技術力の差かな?
ガンヘッド507
- 今更だけど、装甲の世代に明確な線引きが可能なのは「before ”GULF WAR”」世代
のものと「after ”GULF WAR”」世代のものです。
湾岸紛争時の対戦車駆逐戦における戦訓の一つとして、APFSDS弾の使いやすさ (主
に”multi-weathwer”,”multi-enviroment”) と、その威力が見直された事です。
sorya
- 自動装填やコンピューター化で乗員が減り、2名程度になって砲塔が小型化する
ことで軽量化が進む話もあるのでしょうが、無人偵察機・各種センサー等の発達
および目標を自己認識・判別する砲弾・爆弾・ミサイル等により「戦車を破壊でき
るのは戦車」という図式が崩れて図体がばかでかく、多量の熱を発し、容易に
発見されてしまう戦車という兵器自体の存在意義が問われているようです。
スタイナー
- >>スタイナー氏
そ…それは、明らかに誤った認識だと思うですよ。
と、いうのはね。そのスタイナー氏の言うところの対処方法というのは、MBT にも
当然ながら搭載可能な代物な訳ですよ。
一例を挙げてみましょうか?
前にここでも話したXナンバ付の砲発射型高速ミサイル。これ既に射程が3kmを遥かに超えてる要求があります。特にHEAT弾のタイプ(”TERM”で検索してみましょう)
そして、このミサイルは無人偵察機、衛星、攻撃ヘリ、各種戦闘車両といった、他
の目からのデータを用いた慣性誘導(終末は赤外・ミリ波自己誘導)されます。
火力が同じならば、装甲の性能が高いもののほうが明らかに有利です。
センサー。本当にMBT には色々なセンサーが付かないでしょうか? 現実を言えば
最高のセンサーが付いています。具体的に言えば、暗視TV(カラーもあり)、パッシ
ブ式IRTV、現在研究中のに限って言えば、対人用ミリ波センサなんてのもあります
ね。ついでに言えば、今後データリンクが完備さされば衛星からのポストデータな
んかも使えます(ポストデータというのは情報加工されたデータの意)。
ついでに言えば、 MBTのステルス化というのはかなり昔から研究されてたり。対パ
ッシブ・対アクティブ含めてね。具体的なことを言うと赤外線放射量の低減化、キ
ャタ材料の変更を代表とした駆動装置の静粛化などです。
技術的な話に関して言えば、これ以上は説明しなくても大丈夫かな。
それはともかく、MBT の定義というのは(〜かくあるべし)、年代を追って色々変わ
ってきた代物でして、時代の変化に対しても進化しつづけ、形が現在のものとは違
うにしても結局は生き残る代物だと思ってる。
sorya
- >駆動装置の静粛化
元自衛隊の人に、演習で90は気付かないうちに後ろに廻りこんで来る、と聞きました。怖い。
バツ
- sorya様
うーん卓見ですね。ただ、戦車の弱点である「空からの攻撃に弱い」たとえば
30mm機関砲でやられるといった事に対処するためには上部装甲も考慮しなければ
ならず、ニルス曹長が心配しているように今以上の重量化の道をたどるとすればな
かなかやっかいですし、空からの攻撃(爆弾・砲弾・ミサイル等)に一方的にやら
れてしまうということになると、1両あたりのコスト・運用コストが高いだけに
費用対効果の面でも厳しいですよね。(ただ、最近のように不正規戦というか相
手が対抗手段を持たない場合は戦車は効果的な兵器ですので無くなることは無いと
思います。)結論としては、戦車は軽量化の道を辿らざるを得ない(運用上)
→同時に運動性と隠蔽性を向上せざるを得ない。(生存性向上)ということでは
如何?
スタイナー
- ううむ。そのような趣旨だったらほぼ全面的に支持しちゃう(笑)
ただし、恐ろしいことに(と、いうか端からそうだって事だけど)、最新のMBT には
既に上面装甲なんか付いてたりするんです。直射(=完全鉛直な角度での着弾)され
ない限り、かなりのモノまで受け付けるようなのね。
後欲しいのは、駆動系(特にエンジン関係)と、センサー系の冗長性くらいで。
赤外線なんかも、塗料によって、かなりの赤外線放射を抑えることが可能です。
現在研究中(日本に限らずってこと)の技術を実証試験すっぽかして実用化できたと
しても、かなりの各種静粛性と防御能力を持つことは可能です。
エンジンの赤外線放射の低減化、ミリ〜X 帯用ステルス構造 (兼対小口径用空間構
造)、対レーザーポインタ用(というか、この場合はポイントスキャンタイプのシー
カー用に限定か) のデコイシステム、全複合材製の強化型装軌システムなんかが、
対探知システムに関するものになるかな。
そして能動的な防御システムになると、ハードキルでは対空システム(HEAT+…要は
知能化HEAT弾 )、誘導KE砲弾(STAR-STREAKの原型を留めない先進改造ともいう)、
ミサイル防御システムを代表としたアクティブ装甲なんかがそれにあたります。
ただし、この機能は搭載砲が起因する、車体の最低必要重量に縛られるため、どこ
までORできるかというバランスの問題になると思うよ。
sorya
- 上の奴は枝葉的な話に過ぎないのだけど、要は少なくとも開発サイドでは既存の技
術の延長では重量的(より正確には運用的)限界を感じている。そして、運用サイド
では最新鋭同士(ワシらの世界独特の言葉があるんだけど、敢えて引用せず)の戦闘
を考慮した新たな機能の付与を求めている状態だと思って良いのでは。と、思う。
sorya