534 |
WWII当時のエンジン加給について教えて下さい。 4サイクルディーゼル空冷V12を通常配置(車体後部中心線上、縦置き)した中戦車に排気加給器付与(中間冷却器有り)による出力増加を施した場合、その装備位置や外形的変化としてどの様な形態が尤も一般的でありましょうか? 例 加給器取り付け位置 − 中間冷却器を挟んでエンジン直後=車体後部延長 外形変化 − 機関室上面に吸気用スクープ(ないしインティーク)を設置 宜しくお願い致します。 落馬童子 |
- 加給器取り付け位置:排気ターボなんだから当然エンジンからの排気管(エキゾーストマニホールド)とテールパイプの間ですね。取り付け位置は、エンジン直後になります。数はV型エンジンなので片バンクづつ付きますから、2個となります。イプ。
外形変化:エンジン室に余裕があれば特に外形変化は特にないでしょう。エンジンルームに余裕がない場合は車体の延長をするしかないですね。ただ、下はそのままで上部構造だけ後方に延長しても可能だと思います。それと、中間冷却器というものがインタークーラのことであるのなら取り付け位置はエンジン上方となるのでその部分を盛り上げる必要があるでしょう。
>機関室上面に吸気用スクープ(ないしインティーク)を設置
これは必要ないと思う。もっともあった方が絵的にはいいですけど。
はいどーも
- はいどーもさん初めまして、お応えありがとう御座います。
メカニズム的な内容には全く疎いもので本当に助かりました。それでやはり消音器は左右両側の2基のままで宜しいのでしょうか? WWIIの所謂高々度戦闘機のシステムを見ますと液冷発動機の両側から導かれた排気管はインタークーラを経由する時点で纏められ最終的にターボチャージャー部の排気口は一穴となっておりますが、この辺りの機構を車輌のそれにもそのまま踏襲させるべきなのか判断出来ずにおります。
具体的には四式中戦車用の四式(?)統制エンジンの加給型を追っているのですが、「機械化兵器発達史」上の簡単な記述しか資料を持ちません。(まさか排気加給=ターボチャージャーではなく機械加給=スーパーチャージャーではないですよね?)
試製中戦車「チリ」車のマフラーが車体後部中央で合流しておりますが、加給の場合もこの様なレイアウトが考えられるのでしょうか?
そもそも「チリ」車のインタークーラは何の為なのでしょう? 防研の資料では発動機の加給を示す記述は見当たりませんでしたが特殊加給無しでも中間冷却は必要ないし有用なのでしょうか?
(やはり加給機を備えているが故の、アノ消音器配置/構造なのでしょうか?)
落馬童子
- 4式戦車は機械式過給器ですよ
SUDO
- SUDOさん初めまして。
え〜と、ここで問題にしておりますのは「チト」車のエンジンそのものではなく、それに蝸牛型排気加給機を付与し25%の出力増加を施した「チリ」車II型用のエンジンの方なのです。(尤も「チト」車用エンジンの詳しい諸元−性能では無く主に寸法/重量面−も掴めておりませんが...)
落馬童子
- 私も「加給」してほしいです。
安月給
- あっ! ...全く気付いておりませんでした、ご指摘どうもです。
落馬童子
- 「チリ」車のエンジン周りについての情報を改めて整理させて頂きますと、
○ BMW系航空ガソリンエンジン(ハ−9II甲、850hp)の車載用デチェーンモデル(550hp)である
○ 中間冷却器を備えている。
○ 原型に比べ著しく重い。(ハ−9系は600kg弱、「チリ」車のそれは1900kg)
○ 消音器/排気管周りのアレンジが特殊である。(一見独V/VI号戦車風だが最終的に排気口がひとつに纏まる機構を見るとただ単純にこれらに倣った訳ではない事が判る)
...この様になります。
これらの事実を踏まえた上で以下の様な疑問を感じております。
○ 「チリ」車用エンジンも排気過給機装備ではないのか? 過給機を備えているが故の中間冷却器の設置であり、重量増大であり、アノ様な消音器/排気管配置なのではないか?
○ 排気過給機を備えていないのであれば、中間冷却器の存在の意義は?(非排気過給の場合でも有用な装置なのか?) また重量増大の意味(内訳)として何が挙げられるか?(航空用>地上用でこの様な著しい重量増加は一般的な現象なのか?)
この辺りの詳細や「チト」車用エンジンの諸元などが明らかになりますれば「チリ」車II型や「ホリ」車などの計画車輌により確かな影を与えられるのですが...。(せめて末期の独ペーパープラン車輌並みの信憑性を与えてやりたいのです)
落馬童子
- 加給器付きエンジンのマフラー配置は、日本の戦車でV12空冷エンジン排気ターボ付きといえば、そう、61式戦車です。この戦車全体的な配置はもろ大戦中の戦車を引きずっています。
一つ疑問に思ったのは、中間冷却器がターボとマフラーの間に付いているように書いてありますが、何の装置なんでしょう?最初の回答での「インタークーラ」をさすのであればそのような位置に付くわけありません。
給排気系の構造は、吸気口→エアフィルター→ターボチャージャ(吸気タービン)→インタークーラ→エンジン→ターボチャージャ(排気タービン)→マフラー(消音器→テールパイプとなるわけなんですが。
インタークーラの役割はタービンで圧縮されたことにより厚くなった空気を冷やすことです。とここまで書いて気付きました。吸気タービンからインタークーラへは一本となりますそしてエンジンへ、エンジンから出た排気はそれぞれのバンクの排気タービンを通り左右へ出されるわけですね。
それと、加給器付きだからと言って、総てがインタークーラを備えているものではありません。現に61式戦車も74式戦車もインタークーラを付ける事によるエンジンの大型化(つまり重量の増加)を嫌って採用しませんでした。エンジンパワーがあがったからって重量が増加したら結局、相殺されてしまうということですね。
はいどーも
- >7
別に片バンク毎に排気タービンを設ける必要は有りません
例えばP-38戦闘機はV12エンジンですがシングルタービンです
左右のバンクからの排気は、まずバンクごとに纏められ、次に左右のそれを結合して一つの排気管に導かれるのが普通です
バンクごとにまとめた段階で排気タービンをつけるのか
それとも、それから左右も結合した後に排気タービンをつけるのかでレイアウトも構造も変わってきますし
当時の日本の状況から考えると、左右別口の所謂ツインターボは無いのではないかと思います
でもって、謎の排気タービン付き空冷エンジンはちょっと除外して
チリ車ですが
>○ 「チリ」車用エンジンも排気過給機装備ではないのか? 過給機を備えているが故の中間冷却器の設置であり、重量増大であり、アノ様な消音器/排気管配置なのではないか?
重量増大:ハ9エンジンの重量600kg弱は乾燥重量です、戦車のエンジンはどうなのでしょうか?、潤滑油と冷却水はどうでしょう
飛行機と違い風が当たる事が殆ど期待できない戦車のエンジンは(まあ国産車なんかでもそうですが)
排気量や出力の割に大きなラジエータを搭載します>そうしないとオーバーヒートする
更にそのラジエータに強制通風することで冷却を果たします、それらの重量も含むのかもしれません
車両用ですからクラッチ等も付いているでしょう、意外と追加される重量は大きいのではないかと思います
よって、重量面からは排気タービン搭載の可能性は読み取れません(排気タービンそのものは別にそんなに巨大な重量ではないです)
排気管レイアウト:V型縦置きですと双方のバンクを別個に引っ張り出すのは良くある方法です
ドイツ戦車のみならず、例えばT−34戦車なんかも同様です、つまり別に特殊でもなんでも無いです
消音機のところで一本に纏めていますが、これも特別に変な構造だとは思えません
よって排気管の外回りレイアウトからは排気タービンの有無に繋がるような物は感じられません
中間冷却機:中間冷却機は過給器によって熱せられた吸気の温度を下げる為に使われますから、排気タービン式でなくても恩恵は有ります
まあ、インタークラーと称する場合、正確には多段式過給器の第一段と第二段の間に設けるもので
単段式の場合はアフタークーラーと呼ぶのが正しいそうですが
見ると、チリ車のエンジンはハ9から見て回転数を80%弱に制限しています
地上用ですから、吸気用エアフィルターや、上記冷却ファン用にも出力を食われるでしょうし
ブースト圧も燃料や過熱の問題から制限があったと思われます(単純に回転数だけで680馬力になる)
下手をすると、500馬力出るかどうかというレベルにまで出力制限が必要だったのではないかと想像します
自動車用エンジンの事例ですと、中間過給器を設けることで、概ね1割程度の出力向上を最終的に果たせます
最初から550馬力超のエンジンとして設計された物ではなく、流用できそうな在庫から回したので
苦肉の策として中間過給器を追加する事で所定の出力を得たのではないでしょうか?
SUDO
- まずは、先回の回答は疲れと酔いで意味不明な面があったのをお詫びします。
さて、5式戦車II型の発動機についてですが、91年の戦車マガジンに、「4式戦車の統制型V12気筒空冷エンジン、400馬力をターボ過給器により過給、500馬力とする。」となっています。
インタークーラ(アフタークーラですか。SUDOさんどうも)については、4式、5式どちらも採用していないとなっております。4式戦車については当初チヘ車用100式統制型V12気筒空冷エンジン、240馬力をターボ過給(試製は300馬力)でしのごうと思っていたようだけど、馬力不足とエンジンの耐久性に疑問があったようで新式の統制型V12気筒空冷ディーゼルエンジン(4式との記述もあり)、400馬力となったようです。
さて、5式II型用の試製V12空冷ディーゼルエンジンをBMW航空エンジン用(98式800馬力発動機?)で設計された車体に積むとしたらどうなるか?と言うのが落馬童子さんの聞きたいことだと思います。
とりあえず、昨年アルゴノート車から発売されたPANNZER臨時増刊「日本の戦車と装甲車両」の4式及び5式(BMWエンジン)の内部図面等からいえることは「ほぼ外形変化は無い(必要ない)」と考えます。
過給器は、写真を見る限り間違いなく排気ターボチャージャーです。したがってターボは片バンクに1機ずつになります。排気管の引出しは5式ガソリンエンジンと同じで問題ないと思います。(4式と同じでも問題ないけど)又、仮に中間冷却器が必要であっても取り付け位置は十分に確保できるように思います。中間冷却器は、空冷エンジンとなったことで不必要となった、ラジエータ部分に設置が可能なため、特に冷却ルーバー等の増設は必要ないと考えます。
エンジン重量
SUDOさんも書いていますが、戦車用エンジンは、空冷にしろ液冷にしろ強制冷却のための冷却ファンを持ちます。大戦中の日本戦車は片バンクに一個づつのシロッコファンが付いています。又、エアクリーナ、オイルクーラ、オイルポンプ、スターターなどの補器類(当然BMWエンジンは液冷なのでラジエータも)が付くので倍以上の重量になってしまいます。BMWエンジンの場合も、容積は原型エンジンの3倍ほどになっていますし、馬力も冷却ファンは機械駆動なので当然、馬力を食われてしまいます(現用戦車でもレオパルト2が1500馬力中の400馬力、90式戦車は300馬力が冷却ファン駆動のために必要)
なお、5式II型用のエンジンの重量は不明ですが、BMW系エンジンとそれほど変らないと思います。(アルミブロックエンジンが採用されれば軽くできたでしょうが当時の状況ではムリでしょうね。100式統制型も結局、生産性からアルミブロックは断念せざるを得なかったですから。)
中間冷却器
中間冷却器が存在した記述は私の持っている資料には見当たりません。また、4式戦車用のエンジンの図を見る限りではエアフィルタからエアインテイクを通りエンジンへと素直に繋がっていますので機械式にしろ、排気式にしろ過給機の存在を認めることができません。したがって中間冷却器の装備は意味が無いものとなります。思うに、ひょっとしてオイルクーラーの事ではないのでしょうか?(前述のPANNZER臨時増刊にもラジエータと図示してあったけど空冷エンジンにラジエータは無いですからね。)
SUDOさん>
戦車用のV型エンジンの排気過給器取り付け方法はエンジンルームを有効に使うため通常片バンクに1機づつ取り付けるのが普通です。(パジェロなんかは1機だったような気がしましたが)また、ターボが2つあるからといってツインターボとは言わないと思いました。(言い方はかっこいいけど)ツインターボは低速用と高速用とかの2種類のターボを使う場合ではなかったでしょうか。2つあるけど、あくまでシングルターボだと思います。
はいどーも
- >10
なる程、詳しい説明有難う御座います
>ツインターボ
まあ、これは商売上の宣伝文句みたいな物ですからね(^^;;
SUDO
- >>はいどーもさん、SUDOさん
お応えを戴いておりながら対応に間を空けてしまいまして申し訳有りません。
「空冷ディ-ゼル・エンジン」−吉田毅 著/山海堂 1961 中に「チト」車用エンジンについての記述が有るとのご指摘を頂いたのですが内容を未だ確認出来ずにおります。これを確認、疑問点を再整理の後、改めて質問をポストさせて頂こうと思います。
過給機構に関する詳細なご説明、誠に有り難う御座いました。
落馬童子