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2242と2247を読み直しまして新たに疑問が生じました。 以前、なにかの本で読んだのですが、機械重量で同一出力を売るのに、 タービンはレシプロの1/9の重量ですむと書いてありましたが、本当でしょうか? そうであるなら、機械重量においては、千鳥型の機関を樺型に載せた場合間違いなく軽くなるはずですね。 また、蒸気の圧力は、樺17.6Kg/平方センチ飽和蒸気に対し、30Kgで350℃加熱蒸気ですよね。 忘れてしまっているので学生時代の教科書を引っ張り出してみたところ、必要な蒸気量は、樺型の方が遥かに大きくなるようです。 もっとも、読み直しているところですから、断言は出来ませんが。 そうなると、材質の進化とかもありますが、機関重量は、軽くなるように思えます。 若しそうであれば千鳥の機関重量は大幅に軽くなるような気がしますが? 青江 |
- 樺型の機関部重量は260.3トン、最大出力11,218馬力で、トン当たり出力は 43.1馬力。レシプロ駆逐艦では 36〜47程度だったそうです。初期のタービン駆逐艦で50〜70hp程度ではないかとのことなので、昭和になってからの駆逐艦でも重量当たり馬力はせいぜい倍くらいではないですか。1/9と言うことはないと思いますけど。
富士見町
- 缶も含めて謂えば、違ってくると思います。
タービンと減速装置のみとレシプロのピストン機関のみ缶を除外すれば、ありうるかな、と想像していますが。
青江
- ざっとした比較ですが
「樺」級が機関総重量94.3Tで9500指示馬力(「蒸気推進研究所」より)
http://www.geocities.co.jp/MotorCity-Circuit/2971/
「千鳥」級の手持ち諸元表がありませんでしたので、同時代のフネより
「初春」級がタービンと減速装置の合計が106.0tで42000軸馬力(「軍艦メカニズム図鑑・日本の駆逐艦」より)。
9分の1というのも、桁違いではなさそうですね。
井中かえる
- 比較対象物や時期によって数値が変わりますから、レシプロからタービンに代えたからと言って、一概に大幅に機関の高出力化・軽量化が成し遂げられるとは言えないでしょうね。
例えば同型艦で機関が異なるネヴァダ級の場合、缶が同一の改装前のオクラホマ(レシプロ)とネヴァダ(タービン)の機関重量(約1800トン)は殆ど変わりませんし、出力も殆ど変わりません(約24800対26400)。
1920年代末期の改装後の場合、この両艦は缶を同一の新型缶に代える一方で、ネヴァダのみタービンを新型(?)のものに変えてますが、その結果ネヴァダの機関出力はオクラホマの約1.3倍(約24000対約31200)の出力に上昇しますが、機関重量の変化は約1700(オクラホマ)対約1550(ネヴァダ)なので機関重量が大幅には減少してはいない事が分かります。
大塚好古
- 最初期の駆逐艦でもタービン艦とレシプロ艦で重量差が有るとは言えません。
いや違うといえば違うんですが(初期のは建造所でも設計が違ったりして重量差が大きい)
ほぼ同仕様で建造された初期タービン艦(船体はホーソン・レスリー)
Viper 軽荷344トン
Velox 満載445トン(燃料86トン)
同時期の同社の駆逐艦
Cheerful 軽荷355トン 満載400トン
Greyhound 軽荷385トン 満載430トン
ちなみにVeloxは機関関係の見直しでViperより20〜25トンは節約できたとされてます。445-86で320トンですから、まあViperより軽いでしょう。
さて、この規模の駆逐艦で細かい内訳が判ってるものとしては、3缶のソーニクロフト艦でボイラー50トン機械65〜70トンでした。
チアフルとグレイハウンドの平均が軽370満415トン、これはソーニクロフト缶4発艦のまあ大体の平均値ぐらいです。
Viperは軽344でVelox缶も軽量小型化したので320トンぐらい。即ち間を取ると軽330トンぐらい。レシプロ艦より40トンぐらい軽いと言えます。
5500〜6000馬力級の3缶艦で缶50ぐらいですので、4缶艦は缶65トン機械75トンぐらいと想像できます。となると、タービン艦は缶が同じですから機械重量が35トンぐらい、恐らくレシプロとタービンで2倍程度の差と考えられます。
Veloxでは重量節約の効果の中に缶の小型化と配管の見直しがあったとの事ですから、機械重量は(初期のタービンであるから色々非効率でしょうが)そんなに極端には変わらなかったのではないでしょうか。
SUDO
- ああ、ちなみに機関が軽くなれば、その分船体も短く出来ますので、それも重量軽減になります。よって初期駆逐艦では機械重量は2倍も差は無かったかもしれません。
SUDO
- ああ、寝ぼけてるな俺。
Veloxは機械高さが無いから機械室上面の盛り上がり等を無くす事が出来、缶の小型化(新しいので進歩)もあって20〜25トンの節約が最終的に果たせたとされてます。
ですがVeloxの満載は、燃料搭載量がほぼ倍であることからレシプロ艦より大きくなってます。
船体の絶対的な大きさは、レシプロ艦と同じでした。いいかげんな事書いてすいません。
SUDO
- ほぼ同時期の(計画年度大正4年と3年)タービン艦の桃とレシプロ艦の樺を比べると、最大出力が62%増し(18,146軸馬力対11,218指示馬力)で、軸馬力換算では79%増し(軸馬力は指示馬力の90%と仮定)。缶重量は18%増し(193.7トン対164.7トン)、機関重量は49%増し(140.6トン対94.3トン)164.7、94.3トンです。缶はどちらもロ号艦本式混2、油2で缶圧はそれぞれ18.3kg/平方cmと17.6kg/平方cm。
タービンとレシプロを比べると馬力増加は機関重量増加を上回っているのは確かですが、単純に機関重量当たりの馬力増加を考えると52%増しです。馬力増加が重量増加の2/3乗に比例するとしても、効率増加は38%程度です。
さらに樺が戦時急造艦であり絶対性能を狙ったものではないことを考えると、タービンとレシプロの差はもっと縮まるかもしれません。
まあ、違った時代の機関を比べるともっと差はあるのでしょうが。ドイツの駆逐艦にはヴァーグナー式高温高圧缶(70kg/cm2, 460℃)なんてのもありますから。
富士見町
- 訂正:
機関出力増加が重量増加に比例すると仮定した場合、樺の94.3トンを桃の140.6トンにスケールアップした場合の推定出力は15,053軸馬力で、桃の18,416馬力は21%増し。重量増加の2/3乗に比例するとした場合、推定馬力は13,177軸馬力で桃のタービンの方が効率は38%増し。
富士見町
- 舶用のレシプロ機関は1910年頃にほぼ発達の極限を迎えたのに対し、タービン機関は1920年代から1940年代にかけて著しく発達しましたから、「1/9の重量で済む」ってのは、「1910年頃のレシプロ機関と1940年頃のタービンを比べると出力当りの重量は約1/9になった」ってコトじゃないんでしょうか?!
1910年代における同目的のレシプロ機関とタービンとの比較では、各位が仰るようにおおむね3割程度の軽減でしょう。
あと、使用圧力の増大は熱効率の改善にはなりますが、その分給水系統、缶、蒸気管系統、高圧タービンなどを頑丈に造る必要が有りますので、重量は思ったほど軽減できるとは限りません。
志郎家の番頭