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Uボートの本では「連合軍のレーダーの発達で行動を封じられた」とありますが潜航して行動する潜水艦がどうしてレーダーなんかに負けるのでしょうか? 匿名 |
- 水中での行動能力の不足(潜航すれば数ノットでしか移動できない)、索敵能力の不足から当時の潜水艦は水上で行動することが多かったのです。したがって、レーダーの発達により潜水艦は水上で行動することが難しくなり、船舶の発見が困難になってきたのです。しかも、ドイツ軍が採用していた多数のUボートを運用する狼群戦術は無線を多用していたため、この意味でも封じられたのです。レーダーを逃れて電波の届かない水中に行けば、無線も通じないからです。
hush
- 潜航中の潜水艦がレ−ダ−に捕らえられることはありませんが、潜望鏡を出せバレ−ダ−が潜望鏡を捕らえるのでこれは潜水艦にとっては脅威になります。
秋月
- >1
無線連絡多用が仇になったのは、電探ではなくてHFDFのせいじゃないかと思うのですが。
まなかじ
- 潜望鏡だけでなく、シュノーケルもですね。こちらは完全に潜水艦の「命」にかかわる問題で、ドイツ側も電波吸収塗料を塗りたくったりしています。
居眠り将軍
- >1
潜望鏡や浮上時の見張り所の高さからも理解できると思いますが、潜水艦の場合ですと水中聴音機の探知距離と大して変わらないので、潜航の問題は見張り能力にはそれほど響かないと思います。
勿論見えていたほうが色々便利ですが、実態として聴音機で概略を捕らえてから潜望鏡を上げるといったやり方すらしているのですから、大きな影響は無いでしょう。
潜水艦の見張り能力に殆ど何も期待できないというところは既にレーダーとは無関係に理解されていた事です。
SUDO
- >4
Uボートでは電波吸収材として「塗料」が使用された例はありません。
Uボートで使用されたのは電波吸収材を混ぜたゴムマットや電波吸収率の違うシートを積層させた塩ビのパネルです。
日本海軍の使用した吸収塗料と混同されているのではないでしょうか。
捕獲したH2Sを使用しての実験の際にシュノーケルの電波反射が
意外に大きいことにドイツは焦ったようです。
北方不敗
- 突っ込み入れてるばかりじゃアレですね・・・
レーダーの何が痛かったのかといえば、航空機搭載のレーダーによって夜間浮上中でも捕捉されてしまうことにあります。
連合軍の対潜哨戒機の行動半径が北大西洋全域をカバーできるようになって、昼間の浮上充電が困難になった結果、Uボートとしては充電や船団に追いつくための高速水上航行を夜間に行うことを強いられています。
ここへ機載電探が登場したことで、夜間浮上航行すら危険となり、水中行動を保障すべき充電も船団に対して攻撃位置につくことも難しくなってきたわけです。
ドイツの潜水艦群がどこらへんにどのくらいの規模の網を張っているのかはウルトラ情報とHFDFによる無線方向探知の二段構えで概略をつかむことができますから、哨戒機はそこらへんを重点的に飛べばよく、船団は航路をわずかに変えるだけでUボートに配置変換を強要でき、配置変換には高速航行が必要で、即ちこれは浮上航行をすることを意味しますので哨戒機の網にかかる率が上がります。
レーダーが行き渡っていないうちはこれを夜間に行うことで船団直接護衛部隊との対決だけに止めることができたわけですが、夜間にも哨戒機が喰いついてくるようになると、Uボート側でも逆探を装備して対抗はするわけですが、潜航を強要される時点でUボートの移動速度はがた落ちとなって船団に追いつく機動を阻止されてしまうわけですから、Uボートを撃沈できなくても英軍的には勝利ですし、逆探の精度や波長帯の問題で気付かないうちに沈められてしまう艦も少なくなかったわけで。
潜望鏡やシュノーケルを捕まえられるようなレーダーはかなり大戦も末期になってからの登場で、既に弱ったドイツ潜水艦隊への更なる荷重とはなっても、それで特に有利になったとか不利になったという性質のものではないと思います。
ドイツ側としても船団の出航前(出航後は無線封止)の無線探知で出港日時と概略位置はわかっており、無線封止のまま前衛哨戒に出ている艦が船団を捉えることはそう難しいことではありません。
これは制圧されてしまっても船団の確実な位置を捉えて連絡することさえすればよいわけですが、これに触れれば船団は航路を変換して以下略と。
まなかじ
- 無線を多用していたため…
削除ですね。
まなかじ様の御指摘通りHF/DF(ハフダフ、方位探知機)が問題でありました。
レーダーの発達はUボートの行動を封じてしまったわけですが、それに対するドイツ側の回答が真の潜水艦、すなわち水中のみを行動する潜水艦の建造でした。このため、ドイツは過酸化水素水を燃料源とするワルター・タービン推進艦を開発しようとするのですが、そこまでのつなぎとして出来上がったのが、大量の電池を搭載した水中高速型潜水艦です(これでも発電機であるディーゼル機関は酸素が必要なので、半潜航中でも空気を取り入れられるシュノーケルがないとと言うことになります)。このような潜水艦が大量に建造されていたら、また状況が変わったかもしれないと言われております。
なお、北方不敗様の仰っておられるH2Sはイギリスが使用していたレーダーです。文脈上、読み取れるとは思いますが、念のため。
hush
- ありゃ、文がなってませんね、申し訳なし。
北方不敗
- >9
ちと気になったもので、御免なさい。
>5
ただ、映画「Uボート」等を観ていると、たくさんの見張り員が出ていますね。対空・対艦警戒だけでなく、船団を発見するためじゃないかと思うのです。たしかに視点の低いUボートの司令塔からの視界は限られていますが、印象、あくまでも本を読んでの印象ですが、艦船の発見は視認の方が多いように思うのですが。
hush
- えっと冗長になりますが、大戦前半までのUボートの基本的な行動をまず理解して下さい。
1敵船団の航路前方への移動(何等かの情報に基く)
2船団に接触
3射点へ遷移(当然ですが大抵は浮上して走る)
4状況次第では潜って、場合によっては浮いたまま魚雷発射(場合によっては砲撃も)
5敵護衛等の反撃を潜航もしくは浮上高速で振り切る
これが潜水艦の基本戦術でした。場合によっては複数の潜水艦による共同攻撃も行いますが、鍵となるのは浮上航行です。
#7でまなかじさんが述べられたように、航空機が出張ってくると、日中の浮上が出来なくなります(つまり充電も出来ないし無線連絡も困難だし移動も出来ない)これで潜水艦の行動速度は半分に低下してしまいます。何等かの索敵情報等を得ても、敵船団前方に向える潜水艦が少なくなります。
さて、何とか敵船団に接触したとしましょう。
船団は頻繁に之字運動をしてますので、射程距離に入っても美味しい角度になるとは言えません。動きのパターンを見ながら、船団の真横数千メートルの位置に潜水艦を回さないと有効な攻撃は出来ません。
潜水艦は、船団に接触した後、観察し襲撃手順を考え、浮上高速航行して射点に移動し、発射するのです。勿論、敵船団がどんなに鈍足でも、潜水状態では射点に遷移するのは殆ど無理です(そして浮上してると護衛艦に撃たれるので、無事に逃げられたとしても潜航を強いら、つまり船団に逃げられちゃいます)
よって、まずは敵船団の概略情報等から、夜間に接触する航路を潜水艦は取るようになります。こうすれば安心してかなり近距離でも浮上したまま射点へと遷移できます。
レーダーの進歩は、船団の近くで潜水艦が浮上する事を夜間でも阻止してしまいました。護衛駆逐艦等と殴り合ったら潜水艦はまず勝てません。見つかるようになった時点で襲撃不能です。
水中高速潜水艦は、接触後の射点遷移能力を改善しましたが(っていうか主眼は逃げるためだと思うけど)接触までの能力は従来型と大して変わりません。
接触後の射点遷移問題は潜水艦の性能改善だけでは無く、例えば長射程誘導魚雷等の武装でも対処できます。真に問題となっているのは浮上航行しないと進出できないという要素ではないかと考えます(よってレーダーが潜水艦を制圧したのではなく、制空権が潜水艦を制圧したのです)
SUDO
- >10
そりゃ貴重な浮上機会なんですから、可能な限り全力で全周囲の見張りをしますよ。
ですが、既に戦前の日本海軍ですら、水中聴音機による見張りと襲撃運動を組み込んでいるという現実を理解して下さい。
浮上した方が色々見張れるのは紛れも無い事実ですが、自分から見えるという事は、相手からも見えるという事です。安全な見張りは煙突の煤煙を見る程度の世界なんです。これは水中聴音機で見張るのと実態として大差は無いのです。
問題は浮上見張りでは無かったのです。浮上航行を制限されたところにあったのです。
SUDO