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戦艦や巡洋艦や戦車の砲の徹甲弾が貫通能力を超えた厚さの装甲に射ち込まれた場合、その徹甲弾は「跳ね返される」のですか、それとも「貫通能力の限界まで装甲に侵入して止まる」のでしょうか。厚みが厚くなっても表面硬度が上がるわけではないので侵入しそうな気もしますが、めり込んでから炸薬が炸裂したりしたらそれはそれで装甲が破壊されて内側にも大きな被害が出そうな気がします。 かめ |
- 状況次第ですが、まあ一般的には砕けて壊れます(ある程度刺さる事はあるけどそこで砕けてします)
SUDO
- SUDOさんの仰る通り、条件次第なんですが、ちょっとした具体例を言うと。
戦艦大和の舷側の装甲にはVHという表面硬化装甲が使われています。
この装甲は、厚さ410mmで、表面から135mmの部分までが表面焼入れ層で
表面に行くほど硬度が高くなっています。この装甲に、巡洋艦の主砲以下
(口径20cm以下、存速900m/sec以下)の砲弾が衝突したとすれば、
この砲弾は、ほぼ確実に破砕され、ほとんど侵徹しないでしょう。
これは、砲弾の直径と、装甲の厚さの関係によるものです。一般的に
砲弾の直径が装甲の厚さよりも充分に小さければ、表面硬化装甲の作用
は確実に働きます。
一方、砲弾の直径が厚さより充分に大きくなると、必ずしも想定通りに
弾丸を破砕できない場合があります。これは、装甲の厚さが充分では
ないため、砲弾の衝突で、表面硬化層がプラグ破壊の起点となる割れ
(脆性破壊)が起こす可能性があるためです。
よって、大和の410mmVH甲板といえども、口径400〜460mmを超える
ような弾丸で撃たれれば、弾丸が破砕されない場合もあることでしょう。
戦艦の場合は、以上のような感じなのですが、戦車の場合ですと、また
話が違ってきます。第二次世界大戦のころから比較的軟質な均質圧延装甲
が一般的となりましたが、この装甲の場合、厚さよりも充分に小さい徹甲弾が
着弾しても、表面硬化装甲の場合のように砲弾が破砕されることは、ほとんど
ありません。例としては下記URLの図5〜6をご覧ください。
・砲身に着弾した弾種は?
http://ichinohet.hp.infoseek.co.jp/iojima/iojima.htm
この写真は、61式戦車の試作防弾装甲に対する75mm砲の実写テストにおけ
る砲弾の写真です。被帽はとれてしまいますが、弾体はほぼ完全な形で
残っています。ちなみに、砲弾を抜いた装甲の写真は下記URLの
[75mmAP弾による防弾鋼板への弾痕写真(1〜3)]です。
・装甲の破壊状況写真
http://sus304l.hp.infoseek.co.jp/armor_brake/armor_brake.htm
ただし、上の写真は、従来の徹甲弾(レガシー砲弾)の衝突速度による
ものです。
現代戦車の徹甲弾の代表格であるAPDSやAPFSDSの衝突速度では
弾丸をどんなに丈夫にしても、必ず破壊(消耗[erode])します。このため
弾丸自体も強度よりも衝撃インピーダンスを重視した材質で造られてい
ますので、低速で衝突しても破壊されることが多く、完全な形で残ること
は、まずありません。
いちのへ
- >2
被帽が大きくて、充分に広い範囲の装甲表面を破砕してれば、弾体が表面硬化層に接触しなくて済みますが、そうではないと弾体下部が表面硬化層と接触します。
砲弾→/装甲
このように行くと、砲弾は真っ直ぐには入らないので、砲弾側面が装甲表面に削られる訳です。
軍艦の被帽徹甲弾の被帽は、装甲表面の硬化層を自らも壊れながら破壊する事を狙ったものでした>最初期のもので500m/sの撃速が必要だったとか
ちなみに、戦艦用91式徹甲弾で口径の90%以上の厚さの装甲に斜撃25度以上だと破壊されるという問題を持ってました。
大和の装甲は傾いておりますので、真横から相当な至近距離で455mm以上の口径を持ち出さないと砲弾が壊されます(勿論これは被帽や弾丸構造で変わります>91式徹甲弾はこの問題を後に改善されました)
SUDO
- 3>
なるほど、表面硬化装甲の効果は、撃角が大きく影響するんですね。
フォローありがとうございます。
いちのへ
- このページに装甲が砲弾を跳ね返す際の概念図が載っています。
http://sus304l.hp.infoseek.co.jp/arm_var/arm_var.htm
大和の舷側は表面硬化鋼ですが、水平装甲は均質圧延鋼です。均質圧延鋼に砲弾が命中した場合の概念図もあります。
富士見町
- すみません。いちのへさんが紹介されたのと同じページでしたね。
富士見町
- 5>
なるほど、水平甲板の均質圧延装甲に着弾した際に貫通しなければ、徹甲弾が破砕しないで、跳弾する可能性が高いですね。フォローありがとうございます。
いちのへ