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2161  WW2時のアメリカ艦船の写真を見ると、防雷具(パラベーン)を使用しているかのように、この索が艦首部に見られるものが、結構見受けられるように感じます。
 米艦船は戦闘中?でもパラベーンを常用していたのでしょうか?
セミララ

  1. 私も手持ち資料等を探してみたのですが、ご質問の内容が不明確ですね。
    「パラベーン」は、「掃海具」のことで、「防雷具(防雷網)」とは別物です。
    パラベーンを艦首側から流すことは考えられませんし、防雷具を航海中に使用することもありえないと思いますが。
    ともに、スクリューに絡みつく可能性を孕んでいますし、防雷具は造波抵抗を増やすばかりで、ともにマイナス要因しか考えられません。
    WW2時のアメリカ艦船の写真において、艦首部の係留索が垂れ下がって波に洗われているものは多いのですが、それと勘違いをされているのでは?とおもわれますが・・。
    元むらくも乗員

  2.  御回答ありがとうございました。


     >ご質問の内容が不明確ですね。

     申し訳ありません。

     >「パラベーン」は、「掃海具」のことで、「防雷具(防雷網)」とは別物です。

     現在の海上自衛隊は、パラベーン=掃海具≠防雷具、防雷具=防雷網という状態のようですね。旧海軍では、パラベーン=掃海具=防雷具、防雷具≠防雷網というような表記をよく目にします。海軍の正式な図面等ではどう書かれているか、確認してみます。

     >パラベーンを艦首側から流すことは考えられませんし

     WW2当時は、掃海艇以外の艦が、艦首から、先端にパラベーンを付けた索を引っ張り、航路(後路?)を開く、という事が普通?に考えられていたようです。この場合、艦首甲板上フェアリーダー、艦首艦底フェアリーダーの両方に、パラベーンを先端に付けた索を通します。

     >WW2時のアメリカ艦船の写真において、艦首部の係留索が垂れ下がって波に洗われているものは多いのですが、それと勘違いをされているのでは

     確かにそうかもしれません。しかし、係留索は艦底付近と結ばれているのでしょうか。というのも、航行中において、艦首部の索が、ぴんと張った状態で直下の艦底に向かって伸びている写真を見るからです。http://www.d3.dion.ne.jp/~ironclad/Mary%20and%20Curacao/mary%20and%20curacao.htmのページの一番下の写真に、防雷具展開用のチェーンとして説明されているのが件の索です。
    セミララ

  3. セミララ様。
    ご質問の物体自体を勘違いしていました。申し訳ありません。
    ですが、航海中にあのチェーンから「索状の物を曳航する」ということは、以下の点から考えて現実的ではありません。
    1.航走波の特性から、曳航物は船体方向に吸い寄せられる形になってしまう。
    船首を頂点とした航走波は、白線に見える部分を境目にして、内側は船底へ潜り込むような形、外側は外側へ押し出されるような形の水流が発生します。
    このため、スクリューに巻きつく等の事故が多発する可能性があります。
    2.曳航物の揚収方法が無い。
    停泊時ならばいざ知らず、航走時にあのチェーンを使用して曳航している物体を揚収する方法は無いのでは、と思えます。
    3.操舵特性の変化
    航走波の内側に物を投げ込むことによって、片舷の造波抵抗を変化させて応急操舵の最終手段とする、ということは、現在でもたまに訓練として実施されます。
    上記の点をクリアするためには、
    1.に対しては、
    ・航走波の外側に曳航物が行くように、ビーム等をはりだして誘導する。
    ・スクリュー部分に覆いを設置し、曳航物とスクリューの接触を防ぐ。
    ・船体側面や船底部分に曳航索誘導路を設置する。
    ・最大限伸ばした状態でも、曳航物の後端がスクリューに届かないように調整する。
    2.に対しては、
    ・一旦、上甲板レベルまで曳航索を誘導し、揚収作業は上甲板レベルから行う。
    というような対応が必要であると思われます。
    3.に戴しては、
    ・常時高速航行を行い、造波抵抗の変化を強引に打ち消す。
    というような方策が必要であると思われます。
    ちなみに、上記1.〜3.とも、艦尾からの曳航であれば特別な考慮は必要ない事項です。

    あくまで推論なのですが、問題のチェーンは「設置するためには乾ドックへ入渠する必要があるため、余程の事が無い限り設置したままにしていた」のではないかと考えます。
    元むらくも乗員

  4.  お返事遅れて申し訳ありません。

     >1.航走波の特性から、曳航物は船体方向に吸い寄せられる形になってしまう。

     あれは一度、艦首艦底やバルバスバウ先端のフェアリーダーに索を通しているのですが、それでもスクリューに巻き込まれる事が発生したりするのでしょうか。
     判り難いですが、以下に、艦首に防雷具らしい索が見られる艦の写真をいくつか示します(全て米艦船です)。

     http://warships1.com/UScve014_Fencer_frt.jpg
     http://warships1.com/USca069_Boston_prtfrt.jpg
     http://warships1.com/UScl043_Nashville_Prat.jpg
     http://warships1.com/USclaa095_Oakland_strbrdfrt.jpg

     これらの艦首部に見られる2本の索は、私には繋留索には見えません。

     >あくまで推論なのですが、問題のチェーンは「設置するためには乾ドックへ入渠する必要があるため、余程の事が無い限り設置したままにしていた」のではないかと考えます。

     このチェーンは何の為にあるものだとお考えですか?
    セミララ

  5. 御指摘、拝見致しました。
    >1.
    艦首先端から繰り出した索が艦尾までのびていた場合、何の方策も講じていない場合、ほぼ100%、絡むと思われます。
    ただ、資料としてご提示いただきましたボストンとナッシュビルの写真を見ますと、以下の理由から「何かを曳航している」とは思えません。
    1.艦首波から推定される速力
      少なくとも、18〜20kt超の速力で航走中であると思われ、曳航速力としては速すぎます。
    2.入水角度
      抵抗が大きい物を曳航していた場合、もっと水面に対して緩い角度で入水するはず。
    3.監視員の姿が見えない
      特にナッシュビルの写真では、前甲板に人影が見られません。現在でも曳航作業は事故発生率の高い作業ですので、監視員の配置が無いのは不自然です。
    次に、ルーラーとオークランドの写真からの情報ですが、
    1.入水角度が水面に対して垂直である。
      つまり、先端部が海底に達していない。海底まで達していれば、引きずるような形になり進入方向へ流れる(前進であれば後ろへ、後進であれば前へ)。
    2.泊地における水深の推測。
      ルーラーに関しては錨泊で、錨鎖も5節目の黒がと思われるので参考になりませんが、オークランドは港湾施設内であり、水深は15〜20m程度ではないかと考えられる。
    3.索の太さ。
      艦首部の係留用チェーンの下に見えている索よりも、明らかに細い。おそらく直径が100mm程度ではないかと思われます(この太さでは、何かを曳航することはまず不可能です)。
    そして、4枚の写真を組み合わせて考えた場合に、停泊中と航走中で入水角が違うため何かのガイド等を使用して誘導しているものではないということがわかります。
    以上のことから、これはおそらく長さは20m前後の「電纜」で、用途は「アース線」(日本で言う「消磁電路」相当)だと思われます。
    >2.
    クイーンメリーのチェーンに関しては、停泊時の防雷網等の展開用とのことですが、そうであれば出船錨泊の船の間に展開するためのベースだと思われます。
    ただし、破損した船首を支えるための物にもみえるのですが・・。

    いずれにせよ、ご提示いただきました4隻の写真に写っているものと、クイーンメリーのチェーンは、全く別の用途を持つものであると思います
    元むらくも乗員

  6.  御返事遅くなり申し訳ありません。
     ここのサイトの画像掲示板2(http://www.warbirds.jp/BBS/gazo2/joyful.cgi)のNo.1542に、艦首から防雷具を引っ張る掃海方式を表した、酷く雑な絵をアップしましたのでご覧ください。

     >艦首先端から繰り出した索が艦尾までのびていた場合、何の方策も講じていない場合、ほぼ100%、絡むと思われます。

     よく考えてみましたら、索の長さが約50mということで、全長が200m以上ある船にとっては、スクリューに絡む心配はしなくても良いみたいです。この、艦首から防雷具を引っ張る方法は、空母、戦艦、巡洋艦等の大型艦が採用し、駆逐艦や水雷艇、掃海艇等は、艦尾から掃海具を引っ張る方式でした。

     >これはおそらく長さは20m前後の「電纜」で、用途は「アース線」(日本で言う「消磁電路」相当)だと思われます。

     消磁電路とは、私の頭の中では、磁気機雷対策として船体の磁気を中和する為の物だと思っているのですが、これがアース線とイコールなのでしょうか。

     >クイーンメリーのチェーンに関しては、停泊時の防雷網等の展開用とのことですが

     防雷網ではなくて防雷具(掃海具)だと思います。防雷網はこの時期、既に各国では使用されていないと思います。

     画像掲示板2の図を見ると、ここの#4に示した写真の艦首に見える索の内、幾つかは防雷具(掃海具)用の索に思えてきませんか?

     あー、なんか、元むらくも乗員さんに、自分(セミララ)の意見を押し付けているみたいで、自分が嫌な人間に思えてきました。こんな私にここまで付き合っていただいた事に対し、深く御礼申し上げるしだいです。
    セミララ


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