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マスコミに強襲揚陸艦だとののしられている「おおすみ」で質問なのですが、おおすみはアメリカの強襲揚陸艦に比べるとかなり小型で、イギリスやイタリアの軽空母のようにスキージャンプもついていませんが、仮に甲板強度などの面を無視したとしてあの距離でアメリカの強襲揚陸艦のハリアーなどと同じ運用方法は可能なのでしょうか? あと馬鹿みたいな質問なのですが、普通の駆逐艦などにヘリのかわりにハリアーや戦闘ヘリを搭載する計画というのはあがったことがあるのでしょうか? カズヤ |
- >普通の駆逐艦などにヘリのかわりにハリアーや戦闘ヘリを
>搭載する計画というのはあがったことがあるのでしょうか?
ハリアーについては"スカイフック"という計画がありました。
船の後部に設けたクレーンの様な物でホバリング中のハリアーを
回収するという仕掛けです。
yuji
- 後ろの質問への回答です。
グラマン社かどこかの計画で、1977年頃のものなのですが、特殊な形状をした飛行機を艦船に積む計画があったようです。
使用する機体はVTOLの一種ではあるのですが、胴体の後半分が折れ曲がるという珍機で、一本のクレーンと格納庫さえあれば、艦船はおろか輸送船からも運用できる?という機体でした。
主任務は対潜哨戒などのようですが、計画ではサイドワインダーの搭載も考慮されており、ある程度汎用を利かせるつもりだったようです。
たしか名前は「ナットクラッカー」だったと思います。
しかし肝心の可変機構を持つ機体の製作がものにならず、計画は中止になったようです。
zono
- ハリアーを軍艦のヘリコプター甲板から運用する構想は1960年代からあったようで、
イギリス空軍のハリアーが1967年10月に伊海軍のヘリコプター巡洋艦アンドレア・ドリアから離着艦した例があります。
また英海軍のタイガー級巡洋艦ブレイクのヘリコプター甲板に離着艦したこともあるようです。
それから最初のご質問の方ですが、あの距離とは飛行甲板の長さのことでしょうか?
おおすみの全長は178mです。一方米海軍では全長170mのイオージマ級LPHでAV-8A運用の試験をしています。
ですから「甲板強度などの面を無視」すれば十分に運用可能でしょう。
便利少尉
- 記憶モードでご容赦。
70年代後半の「世界の艦船」にデハビランド社のハリアー売り込みの記事がありました。
同社はハリアー運用可能な水上戦闘艦艇として、便利少尉様が書かれたアンドレア・ドリア級やイギリスのタイガー級などの他にわが護衛艦「はるな」型を挙げていました。
アンドレア・ドリアもはるなもヘリ甲板の大きさはあまり変わらないですから当たり前と言えばそれまでなんですが。
枚方太郎
- >記憶モード
おおすみの甲板のうち、後半部を除く艦橋部の横とそれより前の甲板は強度的に航空機を運用するように出来ていないのと艦橋部横の幅がそもそもハリアーが通過可能な様に出来ていないのだそうです、ちょっと図面で確認してないのでアレなのですが。
単純なVTOL運用なら可能かも知れませんが、甲板の強度がジェットの温度に耐えうるのかなあという疑問は残ります。
ooi
- 甲板強度は前後とも同じ、という記事もありますね。 余談ですが艦橋直後の発着艦スポットでも駐機だけでなくヘリの発着艦も行うのですね。
しばいぬ
- 航空機についてはまったくの素人ですので、レスを加えてよいものかどうかは迷う所ですが、ゴミレス覚悟で…(枯木も山の賑わいとか)
まず、おおすみ級はV/STOL機を発着艦させるだけのスペースは持っております。
すでに一部記述がありますが1971年にアメリカ海軍はイオー・ジマ級強襲揚陸艦(LPH7)ガダルカナルとオースティン級船渠型揚陸艦(LPD11)コロナドを使用してパタクセント・リヴァー海軍航空試験センター沖でハリアーの運用試験を実施しております。ガダルカナルの場合は180x32mの飛行甲板(もちろんスキー・ジャンプ勾配はありません)で、兵器1.8tを搭載して短距離発進させると言う実験を、コロナドは61x24.4mしかないヘリコプター甲板での運用が可能かと言う実験を行い、ともに成功しました。当然、おおすみ級のヘリコプター甲板(80x25mぐらい)の大きさから言っても発着艦は可能でしょう。また、艦橋構造物も全幅(25.8m)の半分程度ですから、全幅7.7mのシーハリアーなら何とか通り抜けられそうです。また、排熱の問題ですが、1972年にスペインの軽空母デダロの木甲板張りの飛行甲板を使用しての運用実験にも成功しています(なおブレイクの運用実験は1969年)。
では、おおすみ級はアメリカの強襲揚陸艦並みにハリアーを運用できるか。答えはノーです。
おおすみ級はヘリコプター甲板を持っております。しかし、格納庫を持っておりません。第4甲板にある車両甲板を格納庫に転用すると言う考えもありますが、同艦のエレヴェーターは14x6m(20tの運用能力は最大離陸重量12tのシーハリアーを運用可能ですが)しかありません(後部エレヴェーターはもっと小さい)。もし、スキー・ジャンプ勾配を設置するとしたら、前部エレヴェーターをつぶす必要があり、船体後部にはLCAC用の船渠がある関係で、他の設置場所としては艦橋構造物横しかないと思われます。しかし、各種艤装を考えるとこの部分にエレヴェーターを設置可能かどうかは微妙です。と言うことは、露天繋止しかないと思われ、それは整備上、非常に不利です(実際、おおすみ級の乗員にヘリコプター乗員や整備員は含まれていない)。また、管制できるかという問題もあります。
したがいまして、アメリカの強襲揚陸艦と同様の運用は不可能です。
なお、おおすみ級の上甲板の強度は全て同じですので、前部への発着艦は可能ですが、あくまでも可能性です。
もし、ハリアーを運用するのなら、アラパホ計画のようにコンテナー船を転用する(フォークランド紛争でイギリスがしたように)方が可能性はあります。おおすみ級の場合、船体は大きいですが、輸送目的に絞られた単能艦と見たほうがよく、作戦指揮能力を考えても本格的な強襲揚陸能力も持っておりません。
hush
- イオージマ級強襲揚陸艦はそんなに小さかったんですか。タラワ級とワスプ級だけしか見ていませんでした・・・
あと普通のヘリ甲板からハリアーという計画は本当にあったんですか。自分としては「ハリアー1機だけつむためにわざわざヘリ甲板強化するのは無駄かなあ・・・」なんてちょっと思ってました。
あとちょっとここで質問することじゃないのかもしれませんが、こういう話をきくとどうも全通甲板は周りの国や軍事にあまり詳しくない人に軽空母だと思わせるだけで、あまり利点がない気がするんですがなぜ日本はこういう輸送艦を作ったんでしょうか?
カズヤ
- 『みうら』型までの海自輸送艦は艦首を浜辺に乗り上げて揚陸するビーチング方式でしたが、揚陸場所が砂浜に限定されてしまうほか、運用上喫水線を深くできないため艦の大きさが制限されてしまう(=積載量が限られる)難点がありました。また、運用上艦底を深くできないため高速で航行できないという問題もあります。そこで、『おおすみ』型は欧米海軍の揚陸艦に範を取ってLCACで揚陸するドック型輸送艦となりました。LCAC(=ホバークラフト)は基本的にどんな海岸でも上陸できるので、ビーチング方式より遙かに柔軟な揚陸作戦が可能になります。
『おおすみ』型が全通甲板を採用したのは、単に後部ヘリ甲板と前部車輌甲板の行き来を考慮したものであり、たまたま米海軍の強襲揚陸艦に似てしまった(あるいはデザイン的に多少参考にした)と好意的に解釈するのが妥当でしょう。ただ、空母的な艦型にしてしまったためにかえって積載能力を削いでしまったのではないかという指摘はあるようですね。
ブラック・タロン
- もうほとんど結論が出ちゃってますが・・・、
イオージマ級は(今手元にイオージマではなくて改装されたインチョン級MCSの資料しかないのですが)満載排水量19.600t、全長が602ft(183.5m)、全幅が84ft(25.6m)でおおすみ級が基準排水量8.900t、全長178m、全幅が25.8mです。おおすみの基準排水量は8.900トンなので、満載は15.000t前後かと思われますが、ヘリ格納庫の大きさから、喫水、全高の差があるものと思われます。
おおすみは後部甲板に2機駐機分のスペースと機材しかないわけですから、いくら全部甲板に強度があったとしても、格納庫のスペースと、露天係止の設備が無い以上、ハリアーどころかヘリを2機程度しか搭載できないことになります。それはともかく、ハリアーを発進させるなら、日本近海での運用が主体の海自では、燃料の消費を考慮してジャンプスキー台を設置する必要は無く、普通の垂直離着陸でいいかと思います。対艦ミサイルを何発も積んで離陸するわけではありませんし、せいぜいサイドワインダー数発の搭載になるかと。
ゴミレス失礼しました。
IFV
- 脇レスです。
2.の「ナットクラッカー」ですが、参考までに、想像図を。
http://aerostories.free.fr/dossiers/ADAV/nutcracker.JPG
実に、珍機というか、マクロスの「ヴァルキリー」のような機体ですねえ。
このイメージですと、飛行中給油のみこの形態で行い、離着艦は通常のCTOLとして行うしかないような気がします。
この絵でも着陸脚を出していますが(何故?)、このままでは使いようがありません。(これで、どないすんねん?)
クレーンで捕まえて、縦に並べてぶら下げたまま保管(?)するのもありえるでしょうが、なんだか、新巻鮭の加工場のような感じでしょうねえ。(笑)
他にも、折れ曲がる首の関節部分の強度はどうなんだろうとか。
水平尾翼が固定式っぽいので、水平飛行中にお尻を曲げ始めたとたん、激しくつんのめるだろうな、とか。
・・・・いろいろ考えると、はたして真面目な案だったのかちょっと首をひねってしまいますね。
クリスティー
- なるほどおおすみ型はたまたま似てしまったと考えたほうがいいんですか。
しかしナットクラッカー凄い形していますね・・・
本当にこんなのでどうやってVTOLするんでしょうねえ(笑)
カズヤ
- 同じく脇レスです。
>>11
絵で着陸脚を出している理由ですが、それは絵の右側にある台に乗っかるため
であります。クレーンにぶら下がっている間に台をスライドさせて、台に機体を
乗っけて、その後台を元に戻し、艦の格納庫に収納するという構想でありました。
離陸の方ですが、逆に台をスライドさせて発艦位置に持っていき、クレーンに
ドッキングしつつ、台をずらしつつ、ホバリング姿勢に持ってゆき、完全にホバ
リング出来る様になったら機体からクレーンを外し、後は機体後部を水平に戻し
つつ水平飛行に移るという構想でありました。
なお某社の「飛行機メカニズム図鑑」中にナットクラッカーが掲載されており、同機の発着艦方法についても図入りで紹介されております。
アッサム
- >>13
あと、航空母艦など大型飛行甲板を有する艦から発着艦するときは、STOL機としてそのまま機体を曲げずに発着艦します。
アッサム
- 当時、ハリアーの売り込みのために、製造会社は様々な艦艇への発着実験あるいはデモンストレーションを繰り返していることは、すでに記されている通りです。しかし、実際に空母型の艦艇以外でハリアーを常時搭載して運用したと言うことは寡聞にして聞いておりません。おそらく、運用するに当たっての整備、管制、人員配置等の労力に対して使い道が少ないと言うのが理由ではないかと思っております。単機のみで使用しても、防空能力、攻撃力ともに比較的小さなハリアーでは、益する部分が小さいと思われるからです。さらに沿岸防衛を主任務とする海軍では陸上機の支援を期待できますし、それ以外の海軍では空母を保有している場合の方が多いと思います。アメリカ海兵隊が運用しているのは、陸上滑走路もしくは空母が使用できない場合の直協任務用と思われますし、イギリス、イタリア、スペイン、タイ等の場合は洋上防空その他の任務用として艦載機を運用したいが、アメリカやフランスのように本格的な空母を保有するだけの軍事費がないからと思われます。また、空母以外の艦艇で航空機が有用性を発揮する場合を考えると、対潜任務、早期警戒、ミサイルの誘導等が想定できますが、これらはヘリコプターで充分であろうと思われます。したがって、今後とも亜音速機であるハリアーを無理してヘリ甲板しかない艦艇に載せて運用する海軍はないと愚考いたしております。
hush
- トドのつまり、飛行甲板直下の配管・配線が排気熱に耐えられないから、です。
コレを排気熱の影響を受けないところへ移動させれば、発着艦問題の大部分は解決できます。
たぶんナットクラッカーなら問題無しでしょうが(w
だめ機関科海士