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連続質問、失礼します。 軍縮期間中、日伊の在来戦艦は船体を延長する事で速力向上の効果を得る一助としていましたが、その部位が日本戦艦では艦尾、伊戦艦では艦首とそれぞれ異なっています。この両者結果こそ似通っていますが、延長部位を決定的に異なる物とした理由はなんでしょうか? 烈風天駆 |
- 艦首形状じゃないでしょうか。
艦尾延長の方が推進器効率の増大には有利じゃないかと思いますし、トリムの問題にも対処しやすいだろうと思います(造船はよくわかりませんのでいい加減ですが)
だいいち、艦首の付け替えの方が工事としても設計としても難しいでしょう。
ただ、艦尾延長で改装戦艦、特に金剛型は小回りが利かなくなった(相対的に舵の位置が前寄りになる)と聞きます。
まなかじ
- シャルンホルスト級の15in砲搭載改装に予定されていた艦首延長と一緒で、全般的な重量増に対する艦首部の浮力維持だと思います。あの艦首は元のより甲板を一層分高さを上げてますが、それでも艦首は決して高くないですからね。
因みにウチにある書の図面が正しければ、カブール級は艦首付け替えてないです(元の艦首の上に新しい艦首をくっつけてます)。ジュリオ級も元の艦首の水線下部分を残してますね。
宇宙刑事@現実逃避中
- ↑「艦首は決して高くない」→「艦首乾舷は決して高くない」に変更
宇宙刑事@現実逃避中
- ↑2 自己訂正。図面を見直したところ、カブール級は艦首を一層切り落とした上で新しい艦首をその上からつけてます。故に乾舷の高さは改装前とさして変わらないです。お詫びの上訂正させていただきます(ジュリオ級も乾舷の高さは若干向上しているのみ)。
宇宙刑事in修羅場
- つまりですね、日本艦の艦尾延長は、浮力増進を目的とはしてないんです。
それはバルジで果たしてますから、艦尾延長は、伊艦ほど大きな効果を狙った作業ではなかったのです。
また、船舶は基本的に船首側が軽い(浮力がある)のが望ましい訳で、船体延長で浮力を増すのであるなら、船首側を延長するのが正道でしょう。
日本の場合は、バルジ装着で悪化した抵抗を改善するためとも言える方向性で、金剛や扶桑のように、二段階にわけた工事をした艦も少なくありません。
こういう辻褄合わせもあって、船首延長のような手間の割には浮力が大して増えない工事をする気にはならなかったのではないでしょうか。
SUDO
- 幾つか読み取れる点は、日本戦艦の艦首形状、船体形状の方が伊戦艦のそれよりも、更なる高速化にそれほど手を加えることなく対応可能であり、逆に伊戦艦の場合は、単に馬力の向上のみならず艦首形状、そして太短い船体形状の徹底的な見直しが必要であった。という感じですか?
縦横比を計算してみたら、改装前より改装後の方が両者の差が縮まっていました。
後は、真横から見た日本戦艦の艦首の形状、それが第一陣の金剛の時点で、同じ英国で建造されたにも関らず同時期の英巡戦と比べてあまり似ていない、というのも引っかかる点です。
烈風天駆
- >6
金剛級は英巡戦とはまた別の流れで建造されたのではありませんか?
Lion級の影響を受けている部分も目に付きますが、全体のデザインとしては
Agincourt→金剛→Erinと言った流れになっていると思います。
艦形図を見ると副砲がある事も手伝ってかLionよりもErin、Agincourtの方が
金剛に似ている様に見えたりするんですが、上面図を見るとより顕著な差が見えます。
http://warships1.com/BRbb09_Agincourt-LD1.jpg
http://warships1.com/JAPbb03_Hiei-LD14.jpg
http://warships1.com/BRbb08_Erin-LD1.jpg
http://warships1.com/BRbc09_Lion-LD18.jpg
ルージュ
- >6&7
つまり、艤装や内部デザインはともかくとして、外形は設計者の趣味と言うかセンスもかなり出てくるものです。
確かエイジンコート、エリンは、金剛と同じくサーストンの設計だった筈で、そういうところが出てきてるのではないでしょうか。
SUDO
- >8
仰るとおりで上記Erin、Agincourt共にサーストン卿の設計ですので例に挙げました。
船体ラインは大和に至るまで両級の影響が残っている様にも見受けられますね。
88艦隊計画辺りに来るとAretusa級やC級巡洋艦の艦首形状にも影響されているのかなとも思うのですが。
(当然5500t級軽巡の方が影響を強く受けてそうですけれど)
ちょっと、無理があるかな?(汗)
ルージュ
- >8.9
おじゃましてすみませんm(__)m
金剛の艦首の形状は単純に日本側のオーダーだった可能性はありませんか?
手元の図面見ると、鞍馬、攝津と金剛の艦首ってよく似てますよね。
特に船底の切れ上がり方とか・・・
枚方太郎
- Agincourtの設計はダインコート卿でした、訂正します(汗
>10
そうだったかも知れませんが、何分資料がありませんので…(汗
ルージュ
- 便乗質問ですが、日清、日露の両戦争で日本艦の凌波性はどのような評価が下されたのでしょうか?
二重湾曲形の艦首を持つ艦艇として10番で挙げられた鞍馬は相当早い時期に建造されています。
ちょっと英艦艇で見ても小型の偵察巡洋艦で見かける程度で、増えて来るのは
第一次大戦中計画のRenown辺りからで、それ以前の大型艦ではAgincourtとErin、軽巡洋艦に見られるぐらいでした。
日本海軍は鞍馬の計画時に大型艦の凌波性に不安を感じていたのでしょうか?
不安を抱えていたのならば金剛級の発注時に注文を付けてもおかしくないと思うのですが。
ルージュ
- 日本艦は、日露戦争時の衝突事故の結果から、艦首衝角を廃止する方向に向かっています。
まあ、これ自体は、世界的にもその流れだったのですが・・・。
日露戦争中に建造着手された二等巡洋艦利根から直立型ではなくクリッパー型の艦首を備えており、鞍馬の前の筑波型一等巡洋艦も同様の艦首でした。
また、これはその後の日本建造艦に踏襲されますが、戦艦河内では威容重視として直立艦首を選択し、凌波性不足をきたし(実際に航走写真をみると船首波が艦首にかかりそうです)同型艦摂津では、クリッパー型に改められました。
金剛は、その攝津に続いて建造着手された艦ですから、直立艦首を選択すると言う考えはあまり無かったのでは無いかと想像します。
SUDO
- > 13.
細かいことで済みませんが、摂津のほうが先に起工されてますので、河内の様子を見て艦首形状を改めたわけではないと思われます。
1909(M42).1.18 摂津起工(横須賀)
1909(M42).4.1 河内起工(呉)
1910(M43).10.15 河内進水
1911(M44).1.17 金剛起工
1911(M44).3.30 摂津進水
志郎家の番頭
- >14
あ、ほんとだ。
ありがとうございます(^^;;
SUDO
- >13、14
回答ありがとうございます。
1904年度計画艦辺りから艦首形状が変わっているようですが、
この辺りは実戦経験(衝突も含めて)の影響が強そうです。
英国のKing Edward VII級が艦首を波に突っ込みかけた写真がありましたが
この時期の主力艦は何処も同じように凌波性不足を抱えていて、
日本の場合は事故を経験した事もあり比較的早期にクリッパー形に移行したと見て良いのでしょうね。
ルージュ