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米艦隊に航空機で特攻攻撃をかけた特攻隊員にとって、正規空母、護衛空母、軽空母、の識別は、簡単だったのでしょうか、困難だったのでしょうか、不可能だったのでしょうか? 偵察任務中の偵察機の偵察員の場合には、どうだったのでしょうか? roht |
- 誤認が結構あったと聞きますが。
JOE
- 少なくとも簡単じゃありません。
上空から見れば空母なんてどれもこれもただのマッチ箱です。
まして軽空母インデペンデンスと各種護衛空母は、大きさにそれほど差がありませんから。
勝井
- 真昼間、最高の視界状況と仮定し、高度6000m、降下角度30度で突入するとします。そのときの距離は12000m。1/700の模型で換算すれば、およそ17m。その距離で、敵の対空砲火と迎撃機をかわしつつ、チラッと見たとする為にめをつぶって10ぺん回ってから目標を一瞬だけ見るとしましょう。判別できますか?
偵察機の場合も似たようなものです。彼らの場合、落とされない為に雲の切れ間からチラッとだけ見るという更に条件が追加されます。偵察機の場合、持続して接触を保つのも重要な任務であり、雲の中に隠れつつ、たまに確認の為に切れ間を利用する策をとります。やはり判別は困難でしょう。もちろん、艦種の確認は重要ですが、無電に暗号を用いて、ツー、トン、と打つにはそれなりの時間も必要です。その間に撃墜されるわけにはいかないのですから、まずはおよその数、位置、方向、が確認すべき要素で、次に何がいるのかを確認する、といった手順で、偵察したようです。
実際、空母と上陸用舟艇(大きさは、桁違い)を誤認している場合もありました(沖縄戦など)から、その困難さは推して知るべし、でしょう。
Lachesis
- 3.とも重複するのですが、少しだけ。
偵察機の偵察員に関して言えば、輪形陣の大きさ、随伴艦艇の数、ウエーキ(航跡)から空母の数を判別していたような回想があります。
極論すれば、
A)輪形陣の中心にいるグループで
B)戦艦で無いもの(上部構造物の無い艦)
もしくは
C)陣形から離れて直進している艦(発着艦作業中)
ぐらいで判断するしかなかったのではないでしょうか。無論、これにも熟練した搭乗員で無いと判別できなかったそうですが。
また、沖縄戦の事例が出ていますが、LSTと護衛空母だと「上部構造物がなく」、「低速で航跡が見えない」うえに、「直衛艦が比較的少ない」ため一瞬で判別しがたかったのではないでしょうか。
能登
- 訓練された正規空母の搭乗員にしても、ミッドウェー海戦の際、偵察任務機が、敵艦隊発見後も空母を見つけられず、かなり後になって『後方に、空母らしきものを伴う』と打電してきた状況です。
その後の珊瑚海海戦の際も、給油艦ネオショーを空母と誤認して攻撃するような状況であったわけですから。
特攻機の乗員に的確に識別できたようには思えません。
また、特攻を正当化するためや特攻隊員への同情から、戦果を過大に表現していたこともあるでしょう。
クリスティー
- こんにちは、軍事には素人ですが思ったことを。
大岡昇平「レイテ戦記」には以下の記述がありました。(中公文庫上巻21版)
P199 西村艦隊「最上」偵察機の報告
「レイテ湾の南部海面に戦艦四隻、巡洋艦二隻あり。ドラグ上陸地点沖に輸送船約八〇隻。スリガオ海峡に駆逐艦四隻、小舟艇十数隻あり。レイテ島南東部沿岸に駆逐艦十二隻および航空母艦十二隻あり」
これはキンケードの第七艦隊を視認した報告。空母は全て護送空母で数は正確。
P281 神風特別攻撃隊 敷島隊 を直援して帰還した西沢兵曹長の報告
「...敷島隊は...空母四を基幹とする敵機動部隊に対して奇襲に成功、空母一に二機命中撃沈確実、空母一に一機命中大火災、巡洋艦一に一機命中轟沈」
実際には護送空母「セイント・ロー」命中撃沈、「キトカン・ベイ」「ホワイト・プレーンズ」至近「弾」により被害ですね。
...以上から、専門の偵察員や冷静な超エースの報告で護送空母と大型空母を区別していないわけですから、私は搭乗員にはそこまで要求されていないと思ってきました。
ましてや初めて敵艦隊を見るような新米の搭乗員に艦種を判断する余裕などあったろうか、と思います。
地雷猫
- 便乗質問なんですが、この当時の日本では護送空母や正規空母を明確に分けていたのでしょうか?(空母の製造と言う意味ではなくて)
錦単子
- >7.
えーっと、戦力見積もりなんかでは、
「正規空母」○○隻、「特空母」○○隻、戦艦(以下略)
みたいな書き方をされているようですね。
少なくとも、エセックス級と護衛空母群を同一部隊で運用することは無いですから、何れが主力で、片方が上陸船団支援用と、見分けるためにも分けていたのではないでしょうか。(ここは私見)
能登
- アメリカが商船ベースの航空母艦を輸送、直衛任務用に大量建造しているという情報は昭和17年の段階で入っています。「海鷹」「神鷹」などはその対抗策として建造された空母ですので、その任務、用途、おおまかな要目は理解していたはずですし識別できる場合には区別して報告すべきものだったと思います。
BUN
- みなさま、有難うございました。
輪形陣の大きさ、随伴艦艇の数、ウエーキ(航跡)等の二次的な事が識別を助ける要素になるとは気付きませんでした。
追加質問ですが、もしお分かりになれば、各艦種によりウエーキ(航跡)にどの様な相違が有るのかお教え下さい。
roht
- >航跡の差異
あくまでも推測に過ぎないのですが、結局は「長さ」がポイントではないでしょうか。
「長い」=「高速」と割り切れれば、"20kt"で走る部隊なのか、"10kt"ぐらいしか出してない部隊なのか、"30kt出せる空母を含む"部隊なのかが、判別できるのかもしれません。
能登
- 海軍の搭乗員は「艦型識別」及び「味方識別」の訓練を受けています。
HP「蒼空の果てに」7−3と7−4に当時の資料を収録しています。
参考にしてください。http://www.warbirds.nu/senri/
蒼空
- 能登さま。蒼空さま有難うございます。
Lachesisさまもおっしゃる様に上陸用舟艇はもちろん、魚雷艇にも複数機が攻撃をかけているようですので、艦種を判定出来なかったのか、あるいは敵艦船(獲物)が他に見つけられなかったのか、どうだったのでしょうか?
roht