2018 |
シーウルフ級の推進器、ポンプジェット方式とは何ですか?その利点と欠点なども教えてください。 遅れてきた魚雷 |
- 水を吸い込んで、後方に勢い良く噴射することで推進する方式で、原理的には烏賊なんかと同じです。
船舶の場合はダクトの中にファンを置いてやってたと思います。
潜水艦に用いているものは、推進効率がスクリューより悪く、静寂性では優位だったと記憶しています。
馬力が余っている原子力潜水艦向きの方式でしょう。
また魚雷に用いているものが潜水艦のと同種のものかは判りません。
漁船やタグボート、また水上バイク等に用いられるウォーター・ジェット式も同種のものだったんじゃないかなぁ・・・。
モノによっては推進方向を任意に出来るので運動性で有利とか、スクリューを外に置かないので吃水を浅く出来るとかの利点もあったと思いますが、これは配置方法とかにもよるでしょうね。
SUDO
- 素人が机上で得た理解ですが、どうぞ校閲をお願いします。潜水艦のポンプジェットとは、ダクト状のシュラウドでスクリューを囲って、スクリューの前and/or後にステータを装着した推進装置のことです。
ステーターの利点としては:
1)スクリューの前のステーターで、あらかじめ渦流をつくっておいて推進効率を上げる(タービンエンジンでのタービン前のステーターとほぼ同じ効果だと考えてよいと思います)。
2)スクリューの後のステーターで、スクリュー後の渦流を整えて推進効率を上げ、またスクリューによるトルクにも対処している。(シュラウドがない船舶だと、スクリュー後の固定ステーターを装着するのは難しいので、フリーに回るグリム・ホイールなどが開発されている)
シュラウドおよびそれの長いダクトの利点としては:
1)スクリューの先端(ハイスキュードならかなり尖っている)を氷や漂流物から保護する(潜水艦も先タンが護ってくれているのです)。
2)スクリューの先端はほとんど推力の発生に寄与していないため、シュラウドでスクリュー先端を囲んで、スクリュー前後の圧差を保ち、翼端乱流による誘導抵抗を減らす(ヘリコプターのフェネストロンですね)。
3)ダクト形状が出入り口よりスクリューの位置で狭まっている加速型ダクトでは、スクリューに入る水流の速度が上がり、加速しなければならない割合が少なくなって、スクリューが負荷が軽くなり小さなスクリューで推進効率が上がる。
4)ダクト形状が出入り口よりスクリューの位置で太くなっている減速型ダクトでは、スクリューに入る水流の速度が下がり、特に浅深度でのスクリューによるキャビテーションの発生をおさえる(でも、ビヤ樽みたいなダクトは抵抗を増やして、推進効率は低下する)。
ポンプジェとの利点と欠点:
1)上記をうまく組み合わせて設計すると、特に高速において、推進効率が向上し、スクリュー後流のウェーキの乱流を減少させ、発生するノイズも抑制することができる。
2)欠点は、ちゃんと設計するのがとても難しいばかりか、それ以外の速度(特に無音航行などの低速度)だと、かえってヤブヘビになる。高価になるのはしかたがないとして、通常のスクリューより重くなるため、テールヘビーになってしまう。
GST
- となたからも訂正がないようですので、調子にのって自分で追加させていただきます。
最新のSSNであるヴァージニア級やシーウルフ級やアスチュート級に加えて、Mk-48やMk-50やスピアフィッシュなど最新の魚雷にもポンプジェットが装備されていますが、まだSSBNやSSGNのスクリューには、大口径のハイスキュード・プロペラが使われていることと比較すると、ポンプジェットと通常のスクリューとの利点や欠点が、素人にも少しは想像できそうです。
GST