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1981  1939年頃にドイツのレーダー提督が「ソ連がビスマルクを造るには六年は必要」(という内容の発言だったと思います。)
 と発言したそうですが、当時のソ連の建艦能力はどの程度のレベルだったのでしょう?
 「ソビエツキー・ソユーズ」の計画プラン等を見る限りでは、当時のドイツと大差は無いように思えますが・・・
 ど素人な質問で恐縮ですが、宜しくお願いいたします。
彩鳳

  1.  ソユーズの予定工期が60ヶ月で、それが遅れていたそうですから、まともに戦艦建造に6年かかると言う発言なら、適切な状況判断ではないでしょうか。
     まったくの新型戦艦の一番艦の工期で見ると
     イタリア:ヴィットリオヴェネト5年半
     日本:大和4年1ヶ月
     米国:ノースカロライナ3年半
     英国:KGV:3年11ヶ月
     独国:ビスマルク:4年1ヶ月(H級の予定工期も同様)
     ソユーズの予定60ヶ月丸五年は、実際に遅れていたことを思うとイタリア並でどいつには大きく劣ると思われます。
     ただ、ほぼ同時に3隻を起工し、巡戦ともいえるクロンシュタット級の建造にも着手してますので、遅いけど一度に沢山ともいえ、まだ平時でありながら、これほどの建造計画をスタートさせられたという能力は同種のZ計画艦隊よりも上ではないかとも考えられ、その総合建造能力は恐らく列強でも上位ではないでしょうか。
     艦の設計能力等に関しては他と比較して勝るという根拠が無いのでなんともいえませんが、ドイツの設計能力が列強の中でも下位なのは事実です(ですが素材面では最高レベルでしょう)戦車や陸用の砲を見ると、ソ連の素材技術は高度であり、総合的に見て、優秀な艦艇の設計が可能ならば(そしてそれは素材よりは経験と蓄積と長年の研究が必要でソ連には少し不足してると考えます)それを大量建造する能力は十分にあったと思います。
     よってドイツ以上でしょうね。
    SUDO

  2. でも、ソ連というかロシアは12インチ以上の艦砲を製造した経験ないですよね。
    加えてソビエツキー・ソユーズ&クロンシュタット計5隻の建造に当たっては
    国家予算の3分の1&造船能力の3分の2を使ったそうです。

    ソースがコーエー本なので少々あやしいのですが。

    勝井

  3.  ソユーズの16インチ砲は陸用に転用されたそうですから、物は何とかあったのでは?
     15インチの製造にも苦労していたドイツも良い勝負ですが・・・。
    SUDO

  4. 私はこの5隻、いやソユーズは4番艦もあるから6隻で、
    当時のソ連建艦能力は限界近かったんじゃないかと思います。
    ソユーズの進水→次艦起工のサイクルは3年くらいかかると思いますし、
    クロンシュタットはもう少し短いとしても、
    ソ連の大型艦建造能力は年産2隻までは届かない、といったところではないでしょうか?
    勝井

  5. 砲ですが、帝政ロシア末期の未成巡洋戦艦イズメイルをお忘れ無く。
    14in52口径砲(英式では50.4口径)が7〜10門完成しかけていたようで、後に列車砲などに転用されていますね。いつものwarships1にもでております。
    また、イズメイルには幾つかの16in搭載プランもありました。
    ソユーズの砲身は12本程度完成したらしいですが品質はちょっと問題ありで精度が低く着弾がバラつき気味だったようです。

    ソ連の艦船設計能力ですがソユーズ建造と平行して設計されていた24号艦の構造が、機関配置が米新戦艦ノースカロライナと酷似しております。また中央断面図も米未成戦艦モンタナを彷彿とさせるもので水雷隔壁が一枚少ない代わりに、全ヴァイタルパートが1枚多い四重底になっています。装甲も水平部が1in前後薄いものの、舷側部で最大40o厚い(450o20度傾斜)です。
    総合的にみるとモンタナとほぼ同等の能力ですから捨てたものじゃありません。排水量で1万トン増し、主砲塔1基減ですから米設計陣より確実に劣ってはいるのですけれど・・・ですが、ほぼ同規模の独逸H41改正案と比較した場合航続力が1/3未満と言う点を除けば全般的に勝っていると言えそうです。
    もちろん細部の詰めやダメコンでは劣っているでしょうけど。

    ソヴィエツカヤ・ウクライナの進捗状況から計算すると起工から進水までちょうど3年半かかるようです。
    クロンシュタット級も考慮すると大型戦艦2隻+巡洋戦艦2隻が同時期起工。1、2番艦から1年半後に3、4番艦起工。
    建艦能力では巨艦建造可能な工廠は多いものの、それをフル稼働するには国力が今ひとつ足りないと言ったところでしょうか。
    戦艦乞食

  6. >4&5
     年2隻ペースで大和に匹敵するような規模の戦艦を作れるなら、それは凄い事です。
     大和型は、マル三、マル四で2隻ずつしか起工してないんですから、年1隻ペースです(まあ空母もあるんですが)
     それから見たら、最初の五ヵ年計画でソユーズ級4隻に着手したことは決して無視できません。たぶんその次の五ヵ年計画では、もっと多数を作るつもりだったでしょう(国力や設備も改善強化されるでしょうし)どっかのZ計画では起工したのは何隻でしょう?
     各国の建造速度を見ればわかると思いますが、資材の手配の都合(特殊な鋼板の製造速度)も建造速度に大きく影響します。
     ソ連は、大戦中に多数の戦車を製造したように、潜在的な底力は十分にあったのではないでしょうか(軍艦用の浸炭装甲を大量製造できるのかどうかまではわかりませんが)ソ連の計画と腹積もりがわからないので何とも言えませんが、製鋼所の拡充等も計画に含まれていたのならば、建造ペースが加速する可能性も十分にあったと考えます。
     何しろ彼らは10年で30隻のソユーズ&クロンシュタット級(及びその改良型)を建造するつもりだったんですから、序盤は年2隻、後半は年4隻ぐらいを狙ったんじゃないかと考えちゃうし、それはそう非現実的でもないように感じます。
     何しろソ連が第二次大戦で作った戦車や飛行機や大砲の生産量は(レンドリースの支援が凄まじく無視出来ないけど)ドイツより多かったし、たぶん総合的な国力で言うなら、米国を除外したら、列強最大なのは間違いないでしょうし、その国力をもってすれば、作るだけなら結構な数の戦艦を作れると思いますね。
    SUDO

  7. >5
    便乗質問で恐縮ですが、唐長の表記方法は
    英式とその他の国で具体的にどのように違うのでしょうか?
    英式は砲身÷口径で
    その他の国は砲身と尾栓の長さまで含めるのでしょうか
    DragonFire

  8. ぐわっ、私ですか。そうですね。
    英米仏日が英式で、独伊露が後者だったと思います。
    後者の場合、時期によったり人によったり資料によったりで混同してたりしますけど(汗)
    ですからたとえばQE&R級の15インチ42口径砲とバイエルン級の38cm45口径砲は実はほとんど同じ砲身長だったりします。
    戦艦乞食

  9. 設計能力、建造能力共に列強最低レベルです。
    ソ連は1930年代に列国から艦艇設計・建造技術の導入を図っています。
    チャパエフ級巡洋艦、タシケント級駆逐艦等、WW2におけるソ連の最新鋭
    大型水上戦闘艦はいずれもイタリアの技術支援を受けて建造されたもの。
    1936年、伊アンサルド社から42000t・406mm砲9門戦艦の設計図を購入しており、
    1937〜1939年の間米と戦艦の設計委託と建造技術導入の交渉を進めています。
    1939〜1941年の独との交渉でビスマルクの設計図を購入し380mm砲16門の
    製造も委託しています。

    建造能力は、レニングラード工廠とニコラエフ工廠で戦艦・巡洋戦艦各1隻ずつ計4隻。
    残る戦艦2隻が起工されたモロトフスク工廠はドックだけで工場設備が未完成。
    加工済み資材はレニングラード工廠、ニコラエフ工廠から送り出されています。
    つまり、1940年頃のソ連の大艦建造能力は4隻同時建造、工期6年といったところ。

    2隻同時建造の伊仏よりは上。横須賀第7ドック完成で5隻同時建造可能となった日本より下。
    9隻の英、16隻の米には到底及ばない。
    意外に建造能力があるのが独。
    ブロームウントフォス社、キール社、ウィルヘルムスハーフェン工廠、Deschimag社、ゲルマニア社と
    5隻同時建造可能だったりします。

    >5
    イタリア式設計の次にアメリカ式設計があるということは設計技術が確立していない証拠。
    米からの技術導入を試みギブス・アンド・コックス社に設計案を出させていますから、
    23、24は伊・米から得た案を消化しきれぬまま設計を引きなおした結果と考えられます。

    AI

  10. 追加。10年で30隻は建造費用さえ賄えれば難しい数字じゃありません。
    WW1直前では英が年5隻、独が年3隻ペースで建造しています。
    88艦隊計画は船台4基で4隻同時建造、2年毎起工で年2隻ペース。

    AI

  11. >10
     そうですね、予算さえあれば達成可能でしょう。でもその予算を果たして何処の国が確保できるでしょうか。
     八八艦隊の倍の規模で、それを果たそうとした(できるかどうか怪しいですが、やれるという見込みがあるから着手してるのでしょう)という時点でかの国の国力は判ると思います。開戦前ですからね。
     また、第二次大戦時のドイツで大型艦を建造したのは、B&V、ヴィルヘルムスハーフェン工廠、ドイッチェの3つ。
     H級、O級では更に二つ加わりますが、この追加される二つの造船所は、WW1後の戦艦4重巡4空母1豆戦3の建造には関わっておらず、豆戦以外は起工で言うなら3年間ぐらいに集中しており、果たして追加建造所の能力やそれに必要な資材提供能力を考えると、実体としてはソ連のそれと変わらない様にも感じます(Z計画で参加する造船所をカウントするならニコラエフスク工廠の拡充も見るべきでしょうから)

    また船台の数で言うなら、雲龍型の建造では、信濃、大鳳、伊吹と同時に行われており、呉、横須賀、三菱では2隻が船台にありました(これに川崎が加わるので7隻)まあ、所詮15,000トンの空母で、他に大型艦艇の建造が無かったのも大きいでしょう(そしてドイツでも重巡の建造では2隻同時をやったとこがある)
     

    こうなってくると、最終的にボトルネックになるのは予算と人手と資材でしょうな。
     ソ連の製鋼能力と特殊鋼の製造能力がドイツや日本よりも劣るとは私には思えないのですが、そのあたりは如何なんでしょうかね。
    SUDO

  12. 戦艦用主砲身の他国発注は国内生産と同時に行われていますから(イズメイルの場合も同様)大建艦計画を策定した場合に手っ取り早くパーツを揃えるためのソビエト・ロシアの常道なのです。

    ソビエトが他国に設計などを依頼するのは自国に技術が無いと言うより、ロシア時代からの伝統で他国の新技術導入に熱心だったからと思われます。
    前弩級艦時代でも自前の設計技術があっても仏米に新艦建造依頼して新しい血の導入を図っていますよね。
    ギブス・アンド・コックス社の航空戦艦案ですが残念ながら断面図などの内部配置を見た事が無いので24号艦との類似性を少なくとも私は確答できません(もちろん参考にはしたはずです)。
    また伊米への設計依頼より早い時期に日本のA140-Aに良く似た戦艦案に米式多層水雷防御に類似した方式を採用していたり、チャパエフ級巡洋艦以前にシフト配置の25号巡洋艦を設計しています。
    3連装砲塔3基を前後に振り分ける砲配置も1933年のポルタワ改装案で検討されていますし、遥か以前の帝政ロシア最後のペーパープランと思われる未成巡洋戦艦ナヴァリンが背負い式で無いものの副砲含め同様配置の16in砲搭載30ノット艦でした。
    イズメイル改案にも見られる通り、16in砲採用考慮に関しても(実現はしませんでしたが)日米より早かったのです。ソユーズやクロンシュタットもこれらの流れを汲んでいると見るべきで、いたずらにU.P.41などを模倣しただけではないと思われます(と言うか、アンサルド社に設計発注した時のアウトラインがああだったと考えられるのでは?)。
    日本が大戦中に独逸から様々な技術供与を受けながらなかなかものにできなかった事を考えれば、設計図が手に入っても同等に近い技術レベルを持っていなければ実用化はできないのではないでしょうか。

    革命時の技術途絶の懸念よりも、スターリン大粛清の影響による設計などの遅延の方がソユーズには大きく影響を与えたのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?
    戦艦乞食

  13. >12
     革命による途絶と言うか、足踏みは確実にあったと思います。
     海軍でも技術系でもないのですが、赤軍の陸戦教科書は、帝政時代のそれを完全破棄した上で新たな物を作ろうと画策し、また旧士官学校で教育を受けた人材を外して「新生」したのですが、結局それが立ち行かず、10年ぐらい後には旧士官学校出の人材を中核に置き、旧教科書の表現等を赤軍的な物に改めたものにされました。
     冷戦時代の米国の評価によると、この時期「赤軍生え抜き」の将校による軍事論文は事実上皆無であり、帝政時代の教育を受けた将校が戻ってくるまで大きな停滞と回り道をしたと結論しています。
     全てのジャンルでこういうことが起きたとは言いませんが、ソ連における人材の排除はスターリンの粛清の以前にもあり、それはある意味、スターリンの粛清より大きな影響を与えたでしょう。
    SUDO

  14. なるほど、そうなると影響は大きそうですね。御教授有難う御座いました。
    ただ逆に言うと技術系の方もしばらくして復活した可能性もありと言う事ですね。
    戦艦乞食

  15.  皆様、有難うございます。ソ連は基礎的な底力は十分に持ち合わせていたのですね。
     大変参考になりました。

    彩鳳


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