1949 |
建造中の旧海軍大和型戦艦3番艦を改装して空母<信濃>ですが、カタログスペックでは最大戦速27Ktになっています。戦艦として完成した大和や武蔵の速力も27Ktですが、信濃は空母として改装された以上排水量も違いますし、高さ等も大和とは違います。それなのに速力が同じということは、わざわざ機関出力を変えることによって27Ktにしたのでしょうか?それとも完成した時点で偶然27Ktになったのでしょうか?もしくは戦闘に出ていない信濃のカタログスペック自体を信じるべきではないのでしょうか? 山信 |
- 諸先生方を出し抜こうっと(笑)
えと、満載排水量変わんないです。機関も同じ。ですから速力もほぼ同じ
でしょう。
え?舷側装甲減厚して主砲なくなったのに何で同じ重さなんだって?
あのだだっ広い飛行甲板装甲してますもん。もともとの防御甲板とあわせて、二重水平装甲。ものすごいざっとした計算ですけど、飛行甲板の装甲
って5000トン近いんじゃないでしょうか。
枚方太郎
- まあ、枚方太郎さんに言うべきことは言われてしまいましたが。一言付け足すと、「信濃」と「大和」の高さについて触れているのは、水面上の形の違いを指摘しているのだと思います。しかし、日常の経験で分かりますように水と空気では抵抗が大きく違います。ですから差がないとはいいませんが、たいした影響はありません。
井中かえる
- ご返答ありがとうございます。
満載排水量は同じ、と枚方氏、井中氏ともに言われていますが、いろいろなサイトを拝見した所ざっとですが1000トンほど違うように思います。
大和クラスの機関になると1000トンほどの違いは大して速力には影響ないんでしょうか?
山信
- 機関は変わりません
また 公試状態排水量は 乗員、搭載機、対空砲火の機銃などによってもどんどん変わってきますので 大和や武蔵に対して信濃が1000t位軽い というのは必ずしもいえないように思います
仮に1000t軽いとしたら 速力が0.5t(?)位速くなるでしょうか
ところで 大和も武蔵も信濃も 27ktというのは計画速力であって 実際に走らせた時に記録した値ではありません
セミララ
- 信濃は全速で航行したことは無いんですよね?まだ完成もしてませんでしたし。大和が全力公試で29Kt出したっていう話を聞いたことあるんですが、真実なんでしょうか?
山信
- >4
満載で72,000トン前後で1,000トンですから
単純に考えて最大速度で5%ぐらい違うかもしれないですね。
27ノットが27.1ノットになるぐらいです。
SUDO
- >1
確か水線下防御も強化されていたはずです(対魚雷対策)。
……あれ? ってことは、もし信濃を機関同じで戦艦として建造したならば、もしかして速力が大和・武蔵より低かった可能性が?
tac
- 諸先生方のフォローが入ってる。ありがとうございます。
>7
信濃の水線下防御強化は戦艦時にすでに計画されていたものですよね。
その代償は垂直防御410mm→400mmへの減厚。だから速力は変わんないでしょう。
枚方太郎
- 本当の所今となってはもう誰もわからない事なのでは?
大和型は最高機密ですから改ざんした数値が出てたり、データそのものが焼かれていたりでいまだに未知の部分が多いですからね。
乗員でさえ46cm砲装備とは知らなかったという話までありますから司令部、艦長、各パートの責任者などほんの一握りの人だけが真実を知っていたのでしょう。
しかも信濃の場合は未完成で燃料が僅かばかり入っている以外は殆ど空っぽの状態で撃沈されたので信濃の正確な性能諸元なんて艦長や航海長でさえ知りえないのではないでしょうか。
HCN
- >5 山信 さん
>信濃は全速で航行したことは無いんですよね?
回航される時 ボイラー4基がまだ使用可能状態ではなく 8罐で運用していました
そのため 全速でも24ktしか出ない状態だったようです
当日 最初 20ktで走っていたところ スクリュー軸の軸受けが過熱するというアクシデントが発生し スクリュー回転数を落として18ktで走っていたところに雷撃を受ける という状態だったようです
>大和が全力公試で29Kt出したっていう話を聞いたことあるんですが
ここのログの1871番にあります
>6 SUDO さん
大和で 6万9166tで27.46kt、6万9304tで27.3ktという数値があります(両方とも10/10全力公試の値)が....
>7 tac さん
対魚雷防御を強化したといっても 瑞鶴のように いかにも抵抗の大きそうなバルジをボンと付けたのでしょうか
信濃の場合 艦底の3重底の部位が拡大したくらいしか知らないのですが 瑞鶴のようなことをしなければ 水の抵抗は変わらないと思います
セミララ
- >10
まったく同一の条件ではないでしょ?
波は?
潮流は?
風向きは?
そして、その時の発生出力は?(10/10でも馬力は全然違う事があります)
当たり前ですが、同じ海域で同じ日付でも、時間が違えば、全てが異なってくるんですよ。
たかが100トンの違いでも、周辺条件が異なれば、コンマ単位のノット数なんぞ変わってきてしまうものです。
ですが、計画速力は概ね0.25ノットぐらいの単位で示されますよね?
つまり、計算上の予定性能は(ある任意の条件下を想定)実測値とは別に計算で求められる訳です。
これをある条件下で出した実測数値と比較してどうなのかは、また別の問題です。
7万トンのフネで1,000t変わったら、まあ、普通は0.1ノット前後は計画性能で変化する事もあるだろうと言う事です。
SUDO
- tacさんへ突っ込ませていただきますと日本軍の艦艇の水中防御の強さは魚雷よりもむしろ、水中弾に対する防御であったかと・・・。別に魚雷防御だったら舷側装甲を水線下まで伸ばさずバルジを取り付けるだけでも良い
麗樹
- >SUDO さん
>まったく同一の条件ではないでしょ?
確かにそのとおりです
>波は?
27.46ktの方が かなり荒れていたようです
>潮流は? 風向きは?
これらをできるだけキャンセルする為に1.5往復するのでは?
>そして、その時の発生出力は?(10/10でも馬力は全然違う事があります)
当然のことながら 27.46ktの方が馬力が大きいです
ところで私は 機関の調子が違うから出力が異なり 結果として速力が変わった というのではなく 排水量が小さくなった結果抵抗が減少し その結果 タービンが回りやすくなってスクリュー回転数が増加し 速力、出力が増大したのではないかと考えます
蒸気タービンは直流直巻きモーターと違い 回転数が小さくなるほどトルクも小さくなる(そう単純ではないですが)ので
>7万トンのフネで1,000t変わったら、まあ、普通は0.1ノット前後は計画性能で変化する事もあるだろうと言う事です。
ごめんなさい 計画速力の話だったのですね 勘違いしていました
セミララ
- >13
>>潮流は? 風向きは?
>これらをできるだけキャンセルする為に1.5往復するのでは?
戻ってくる時に気象条件が変化してしまう事も珍しくありません。
極端な事を言うと、追い風、追い潮で走って、戻る時には風がやんで潮流も穏やかになってたら、その計測はかなりプラス方向の数値になりますね。
これは同じ場所でも日時が変われば置きかねない代物であり、それを完全に予測する事も出来ません。そしてそういった影響が齎す数字の前後はかなり大きなものになります。
また、7万トンのフネで150トン分抵抗が変わって、0.3ノット増える分だけの馬力増大が得られるのだとするなら、1500トン減らしたら30ノット出ちゃいますよ。そこまで極端な変化が無くても、2000か3000トン減らしたら馬力が無茶苦茶増大して30ノットいけちゃいますね?
何処がおかしいのかご自身で考えてください。
7万トンで150トンの抵抗は何パーセントの変化なのかを考えてみればよいでしょう。
SUDO
- 確かにそのとおりかもしれません
ただ アイオワ級戦艦が満載状態で30kt出ないとか アトランタ級軽巡が軽荷状態で40kt超えたとかいうので そうなってもおかしくないのかなぁと思ったわけです
セミララ
- 御参考までに米戦艦の例を挙げておきます。
アイオワ級の場合、排水量53,900トン、機関出力212,000馬力(100%)で速力32.5ktsを発揮します。
この数値は1,000トン増大するごとに0.25kts低下するとされており、戦時における緊急時満載の
排水量約60,000トンに達した場合、同級の最高速度は約1.5kts低下する計算になります。この場合
同級は計算上31ktsが発揮可能となりますが、艦の整備状態及び周囲の環境によっては30kts前後に
落ちる場合は当然あります。
なおこの数値は、アイオワによる戦時計測値でほぼ正確であることが確認できます。
(この時の排水量は約57,000トン、機関出力212,000馬力(100%)で最高速度30.7kts)
大塚好古
- 排水量が1,000t変わると速度はどのくらい変わるかというのを考えてみました。
排水量 1,000t あたりの喫水の変化量は約6cmで、造波抵抗の変化分はない(=舷側は垂直)とすると、オーダ的に 0.3% 0.08kt くらい(27kt → 27.08kt)かなと思います。
大塚先生による実例、アイオワ級の1,000トンごとに0.25ktsより小さいですが、アイオワ級の方が大和より小ぶりで高速な分 排水量の変化に速度の変化が敏感なのなと思いました。
(計算)
船の抵抗は大雑把に言うと造波抵抗(Rw: Resistance wave)と摩擦抵抗(Rf: friction)から成ります。 摩擦抵抗は浸水表面積に比例、速度の略1.8乗に比例して大きくなります。 造波抵抗は、(比で見て)船が長いほど小さく、水線面の形状が同じなら同じという性質があります。
それゆえ、低速船(V:小)では摩擦抵抗が支配的、高速船(V:大)では造波抵抗が支配的になります。 排水量が変化するとき、水線面形状が大きく変わらない場合には摩擦抵抗(浸水表面積に比例)が増えるのが速度が減じる最も支配的なファクターになります。
大和型の喫水は、
基準排水量 65,000t で 10.4m
満載排水量 72,809t で 10.86m です。
排水量 1,000t の変化についての喫水の変化は
46cm/(72,809t - 65,000t)/1000 = 5.9 cm
それで、
排水量 65,000t → 66,000t になると
喫水は 10.4m → 10.459 mに変わります。
これに対する浸水表面積の変化量ですが、
大和型の水線面積は、細長比がだいたい0.6くらいで
L(長さ)×b(水線幅)=256 × 36.9 × 0.6 = 5,668 m2
浸水表面積は底面を水線面と同型の平面、側面を垂直として
5,668 m2 + 256m × 喫水 dm × 2(両舷分)
ぐらいで、
排水量 1,000t の変化について浸水表面積の変化量は
(5,668 + 512 × 10.459)/(5,668 + 512× 10.4) = 11023 / 10993 = 1.0027(0.3%)
あまりいい本がないのですが、以下を参考にしました。
岡田幸和 「艦艇工学入門」1997 海人社
面田信昭 「船舶工学概論」1998 成山堂
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(2868番関連 自己レスです。)
信濃の装甲板重量ですが、5,400t くらいで、この重量による喫水変化は
5.9cm × 5,400t/1000t = 31.9 cm くらいです。
(重量計算)
2重底様構造の下側に貼った14mm鋼鈑の重量も入れて
信濃の甲板装甲 210m × 幅が約30m × (厚さが95mm + 14mm) = 686.7m3
× 鉄の比重 7.9 → 5,400t
IWA
- >16 大塚好古 さん
良い情報 ありがとうございました
>17 IWA
>大和型の喫水は、
>基準排水量 65,000t で 10.4m
喫水の10.4mは 公試状態での値です
セミララ