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76mm〜130mm級の高角砲で三連装というものは見かけませんが、使い難いのでしょうか? 紀伊国屋 |
- 重量が増加することによる操作速度の低下や、給弾機構の複雑化が嫌われたものと思います。
(N)
- より大口径ではやってるので、難しいという事は無いと思います。
単に、小口径は多連装にしても利点が無いだけでしょう。
SUDO
- >2.
対空砲としては、発射弾数の増加という点から多連装の利点があると思いますが。
(N)
- >3
高角砲の場合、4連装1基より、連装2基で、という考えなのでは?
小口径とは言え、多連装にすればそれなりに砲塔が大型化し、搭載基数や搭載個所が制限されてしまうという欠点がでてしまいます。技術的な難易よりも、それが嫌われたのではないでしょうか?
高角砲ではありませんが、日本の3年式12.7cm3連装砲塔の案(実際の搭載はない)を何かの本で見た気が・・・。
つね
- 質問者です。
>3
私も見た記憶があります。多分、特型か甲型への搭載想像図だったように思います。
後から自分なりに考えたんですが、高角砲ってのは中心線上より両舷に搭載されるケースが多いので、三連装以上では幅が大きくなって両舷搭載に難があり、単装〜連装が一般的になったのでは?といった考えが浮かんできました。
紀伊国屋
- 唯一の事例かな?
仏ダンケルクが130mm四連装砲塔を装備しています。
多連装が嫌われる理由には、もしかしたら人力俯仰・旋回の便も考慮されているのかも。
特に密閉砲塔でない場合。
勝井
- >3
いや、もっと凄く簡単に考えてくださいよ。
10糎3連装を作って乗せるなら、13センチ連装が乗るでしょ?
軽巡洋艦や戦艦で3連装があるのは、これらが船体も防御しているので武装区画の圧縮が重量面で有利であり、またより大口径を搭載出来ない事から、多数搭載によって火力増強を図ろうという考えがあるからです。
勝井山が述べてるように操作力量が要求されるという点も、その力量を使うなら、より大口径にした方が有利ですよね?
大口径に出来ない何らかの理由がある場合にのみ多連装という方向も考えられる訳です。
高角砲の類は基本的に軽防御か無防御ですから多連装にしても、武装重量は殆ど変化しません。ダンケルクの場合で200トンだそうですが、防御をした戦艦用の同規模連装砲で100トンぐらいですので。防御区画の圧縮にも繋がらないならば、多連装砲は利点が無いのです(もっと重防御をするなら装甲分が優位ですが)
サイズ的に多連装が載る条件では、一段上の連装でも構わない。
重量的に一定範囲しか回せない場合は、装備位置の自由度が小さく、砲数あたりの重量でも優位が無い。
戦艦副砲のように重防御をする場合には考慮対象となる事も考えられるが、これも連装程度を倍積むのと重量的に大して変わらない(しかも砲塔数が多い方が生き残りやすいし、重量差が大して無い上に対空砲に求められる運動性を考えると重量の優位から来る防御強化も大して出来ない)
何処に小口径多連装の利点があるのでしょうか?
SUDO
- >7
それこそもっと単純に考えられたらどうでしょう。
現に、単装でなく、連装以上の高角砲(銃)が数多く作られているわけですら。
(N)
- >6.
後のリシュリューでは両用砲形式を止め、副砲・高角砲に分離してますから、
結局この四連装砲塔は使いにくかったんでしょうね。
相応の防御を施した結果、対空砲としては重くなりすぎて
目標追従性に難があったとのことです。
勝井
- >8
だから連装すらも利点が無いでしょ?
3インチ連装を搭載した米護衛駆逐艦は(水上射撃戦力もあって)5インチ単装に移行しました。
米40mm4連装は76mm連装に置き換えられました。
そして現代艦艇の主流は単装です。
40mm機銃の事例を見れば判るように、当時それ以上の武器が無かったから多連装にして数量を増そうとしたのです。戦艦や巡洋艦の主砲と同じですね。それ以上の武器が選択できるならば多連装は決して有利ではないのです。
戦前から多くの高角砲は単装でした。その員数を増加するのに連装化しただけのことだと判断します。
12.7サンチ連装を15サンチ単装にしても、まず対空砲としては成立しがたい。つまり当時最大対空戦力が12.7サンチ級であり、つまり#7で述べた大口径(大威力)を選択できないので員数増加の手段として連装化に進み、3連装以上に進まなかったのは、それによって搭載船舶を限定してしまう(#7で述べた装備自由度が無い)事がマイナスだった訳です。
SUDO
- 素人の推測ですが、たぶん、これは、近接信管の普及とレーダー射撃の精度向上が関係していると思います。
多連装砲塔の搭載される砲は、実際上、別目標を射撃できないですよね?近接信管が無い場合は、多連装による発射弾数を増やすことによるメリットがありますが、近接信管がある場合は、よりデカイ大砲で、威力範囲を増やしたり、有効射高を上げる方がメリットが大きいように感じます。また、近年のレーダーの高精度化、未来位置の予測精度の向上により、さらにそのメリットが大きくなったということではないでしょうか?
いちのへ
- 質問者です。
>11
つまりは「一撃必殺」と「弾幕」の違いと考えて良いのでしょうか?
弾丸をバラ撒くようにして射撃するなら小口径多連装の利点がありそうな感じがします。この射撃方法は射撃統制システムが完備されていない発展途上海軍ならばこちらの方を採るのではないでしょうか?(←あくまで素人の私見です。)
紀伊国屋
- >10.
自由に武器(口径)が選択できる、と言う非現実的な世界では、多連装の利点がないと主張されても、現実にはそうでないのだから。と答えるほかありませんが。
1.で書いたとおり、多連装には対空火器として好ましくない性質が大きくなるので、必要な発射速度が得られるのなら単装に向かう(砲身は少なくなる)でしょう。
(N)
- 「多連装にすれば手数が増える」と言いますが、実際には装填速度の限界があるのでは?
http://www.warships1.com/Weapons/WNUS_3-50_mk27-33-34.htm
上から二番目の写真、米軍の連装 Mark33 3in/L50 対空砲です。各砲尾の左右に自動装填弾薬ラックがあり、水兵さんがバケツリレー式にエイヤエイヤと弾薬を運んでいる様子がよくわかると思います。連装砲座一基あたり指揮官1名、操作員2名、装填員4名、弾薬員4名合計11名が配備されますが、写真には弾薬運搬員が少なくとも8名映っている様子から弾薬消費の激しさを伺えると思います(砲側にはラック一基あたり6発×2=12発を備蓄できますが、最大速度(50発/分)で連射すると10秒で無くなりますね)。
ささき
- >12
小口径では、弾幕が稼げないんです。
射程距離が短いので射撃時間が稼げない。
一発あたりの危害範囲が小さいので弾幕密度も小さい。
>13
76mm級や100mm級より大きい対空砲を持ってない国ならばそれは「非現実的」でしょうが、127mm程度までの大きさの高性能対空砲を各国は持つなり開発なりしてます。
各国の新型対空砲のスペックを見ればわかるように、それはより大きな射程距離を求める方向にありました。高角砲に望まれるのは大射程の大型砲だったのです。
3連装を開発して搭載するより、連装か単装の大威力砲を載せたほうが効果的だったのです。
例えば日米では、76mm単装を120-127単装にし、それから新127連装へと移行し、次に高初速高威力砲へと推移しています。127連装が乗るなら76mm多連装も乗るんです。
米国が127/38口径で「射程が短くて対空威力が無い」と記したように何処の国も射程不足と感じていたのです(正確に述べるなら航空機の高速化による対処時間の短さです)
小口径対空砲は射程でも危害範囲でも大口径に劣る。
小口径多連装を載せる場所(スペース・重量・俯仰揚弾力量分の機材)があるなら大口径連装が乗る。
手数は砲の数で補える(より多くの武装重量を費やす方向で計画するとか艦を増やす)けど射程は補えない。
それ以上の大砲が無い場合にしか多連装は選択肢には登らないのです(そして、それはもっと大きな艦でも基本的に同じ)
対空砲が多連装では問題があるのかと言うとないのです。
76mm級を例えば3連とか4連にしても、127連装と重量的には良い勝負でしょうから、127連装をグルグル動かす馬力を与えれば俯仰旋回速度には問題は無いでしょう。
弾薬供給や装填も大口径で成立しているのですから不可能な事ではありません。
>14
127mmも凄い量の弾薬供給が必要ですよ。25kgもある弾頭を運ぶんですから非常に大変です。
問題は、127でも76でも沢山の人員と機材が必要になるという事で、同じように機材と人員を使うなら射程の長いほうに費やすものなのです。
SUDO
- >15
そういえば阿賀野型の8p砲が以後もあまり採用されなかったのもその理由でしたね。
紀伊国屋
- 我が護衛艦の場合、Mk30(5/38/Mk12砲)よりもMk33(3/50)を重用していたと思えます。
大型の護衛艦ではMk30あるいはMk39(5/54/Mk16砲)に加えてMk33を載せていた豪華な例もありますが、両用砲としては概ねMk33ではないでしょうか?
ちなみに、発射速度はMk33がMk30(あるいはMk39)の約4倍程度ですが、重さは同等ですね。
この傾向はMk42自動砲(5/54)を採用してからも続くのですが、重量的にMk42はMk30の代替というよりも5/38の連装(Mk29とかMk32)の代替用でしょうから当然とも思えます。
こうしてみると、少なくとも海自に関しては「大口径少数」よりも「小口径多数」を選択した、ともいえるかと思えます。
勿論、その国のドクトリンもあるので一概にはいえないのでしょうけども。例えば、同時代の米国DEではMk30を主用しているようです。
>12
「出来る限り正確に照準して」「出来る限り多くの砲弾を」というのが対空射撃(に限りませんが)の基本でしょうから、弾幕も一撃必殺も無いのではないでしょうか?
高角砲を三連装にすると、砲員の配置がかなり窮屈になると思います。少なくとも、連装に比べて砲身の間隔を広げないと「なにかと不便」でしょう。
最上型の15.5センチ砲の場合でも「中砲砲員の作業性が良くない」という報告もあったようですから、それよりも小口径とはいえ射撃速度が大きい高角砲の場合でも同様ではないでしょうか。まぁ、一番の「給弾機構の複雑さ」と通じるものがありますが。
>4,5
春風型に搭載が予定されていたといわれる12.7センチ三連装砲塔は、学研の「陽炎型駆逐艦」に掲載されていますが↓に詳細な研究結果が発表されていますので御覧になってはいかがでしょうか?
http://www.venus.dti.ne.jp/~jam/column/column01.html
tackow
- 書き込んだあと、いろいろ考えたのですが、VT信管とレーダー射撃の
精度向上の話は忘れてください。この問題に対しては、直接関係しないので。
議論を発散させるような方向への意見投入、大変、申し訳ありません。
さて、SUDOさんの「だから連装すらも利点が無いでしょ?」に反応して、
米国の4cm/56_MK2×4、3"/50_MK22×2、5"/38_MK49×1で、有効射高、
発射速度、弾量などのデータで計算してみました。すると、SUDOさんの
言う通り、破片榴弾の制圧空間容積を考える場合、多連装には、全く
メリットがないという結果が出ました。非常に興味深いです。
でも、本当にメリットが全く無いのかと思って、むりやり考えると、
0)砲の故障を考えると、小口径でも多連装であれば、射撃不能になる
可能性が少ない(冗長性の観点)。
1)発射速度が高いことから、連続射撃による砲身過熱や砲身消耗を考えると、
多連装の方が、射撃継続時間を長くできる。(ただし、すべての砲を最大射撃
速度で使用するとすれば、このメリットは無い)。
2)艦艇を狙う場合には、徹甲弾の直撃を狙う必要がある。この場合は、発射
数が多いほど命中の期待値が上がるので、多連装が有利。
4)小型船舶などを狙う場合には、小さい砲で撃った方がお得。
5)小さい弾の方が、数多く砲弾を搭載できる。
どれも、たいした理由ではありませんね。結果的に見ると、対艦攻撃を考慮
したり、丁度良いサイズの砲が無かったり、できるだけ多くの砲を積む(冗長
性の確保)の観点から、WW2ごろでは、連装高射砲や数少ない多連装高射砲
がありましたが、実用性を追求した結果、現代では、単装が主流となったとい
うことでしょう。
つくづく、読み返してみると、SUDOさんの仰る通りでした。ごめんなさい。
いちのへ
- 対艦用大口径砲の場合は重装甲の砲塔、巨大な駆動機構、船体構造を貫通する揚弾機構などが必須となりますので、同門数を単装で積むより多連装にした方が重量・スペースおよび対弾能力の点で大きなメリットがあるのでしょう。高角砲の場合はこれらのメリットが少なく、2連装以上では逆に1基あたりのスペースや重量増加、給弾能力の不足、助長性や同時多数指向能力の減少などデメリットの方が目立つのだと思います。
ささき
- ゴミレスです。
でも、阿賀野型の後部15cm連装砲をとっ外して
長8cm高角砲3連装2基にするって、対空能力は向上するわ、魚雷艇には強くなるわ
射撃しながら水偵だせるわ、なによりカッコ良くなるわで、いいことづくめの様な気が・・・。
無頼庵
- >20
それなら長10サンチや12.7サンチ連装2基でも良いでしょ?
たぶん対空・対水上双方で8糎より良いでしょうね。
SUDO
- いや・・・。それだと、両舷で連装の長8cm高角砲が長10cm単装になっちゃいそうで、(マヌケで・・・。)
(SUDOさん、ゴミレスにつきあって下さり、ありがとうございます)
無頼庵
- 質問者です。お陰様でだいぶ高角砲に対する在り方が分かってきました。つまりは「ある口径の三連装を積むなら射程/危害範囲の面でワンランク上の連装を搭載する方が得策」という事で三連装以上の高角砲が出てこない訳なんですね。
そもそも、この質問の発端は(ゲームの話になるんですが)、「提督の○断」や「鋼○の咆哮」での新型艦を設計する際、私はいつも小口径多連装対空砲主義でいくんです。『敵機を引きつけてから一気に撃ち落とす』といった感じで。
そうこうしているうちに「実在艦の高角砲にはなぜ三連装が無いのか?」という疑問が沸いてきまして。
紀伊国屋