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妙高型を説明する上で、よく「妙高型の散布界は大きく、九八式発射遅延装置が装備された事で散布界を縮小させる事に成功した」という記述を見るのですが、 こうした問題は、妙高級よりも砲塔の多い伊勢型等では見受けられたのでしょうか? 月読 |
- 手元には伊勢型の全門斉射の数値が無いので断言はできないのですが、私の知ってる範囲で最も小さい散布界を出した艦は伊勢型の66mというもので(交互打ち方)殆ど冗談みたいな数字ですが、散布界問題は特に顕著ではなかったように感じます。
また同じ砲を用いた金剛型の全門斉射でも、より近距離で射撃した重巡洋艦よりも小さい散布界でした(メモった数字が手元に無いので記憶便りなので断言は出来ません)
この場合、戦艦の方が古く、つまり各種の細かい対策やすり合わせが進んでいると考えるべきですが、元々金剛型の主砲選定で新型14吋を採用した経緯の一つに12吋50口径砲の散布界過大があった事を思えば、とりあえず悪評は特に無かったといえるのではないかと思います。
また、一般的に大口径で大きな船体であるほど射弾散布が良くなりますし、艦齢が長いほど(改装等が入ると、また変りますが)良くなる傾向がありますので、日本の戦艦は全般的に重巡よりも良好な射弾散布を持っていると考えて良いと思います。
SUDO
- 古鷹が単装砲塔6基時代に 射距離1万5000mで 散布界が13×100mとなっていたが これってすごいのか?
セミララ
- なるほど。
それにしても何故、妙高級等で散布界の大きさが顕在化したのでしょうか?
妙高級の散布界が大きかったのは、砲弾の相互干渉であった事は知識として知っていたのですが、砲塔配置なども原因に有ったのでしょうか?
月読
- いや。最上級では散布界の大きさなどは特に聞かないので
(連続レスすいません)
月読
- >4
主砲換装した後の最上型で発砲遅延装置が組み込まれ、その効果が確認されてます(最上・三隈に搭載し、なしの熊野・鈴谷と比較)
ちなみに、最上型でも利根型でも散布界は見事に悪いです(笑)
船体設計や強度も有るんでしょうけど、20糎砲自体が開発当初から命数や射弾散布に多少懸念の声があった代物でして、根拠の無い「印象」なんですが、初めての本格的口径の自緊砲だったので、何か何処か弱かったか拙かったのでは無いかと思います。
またご指摘の砲塔配置問題では、前後砲塔群間の短縮を高尾型で行い、利根では前方集中という形で対処してますが(散布界短縮が目的とは言い切れませんが、そういう狙いもあったでしょう)実態として効果は無かったのではないかと思われます(だから発砲遅延という形に進むのでしょうし、各巡洋艦の散布界を見ていると船型の相違は顕著な影響を齎しているとは感じられません)
もしかすると、砲弾の速度が特に問題となるような領域にかかっていたのかもしれません(確か散布界問題のあったイタリアの中口径砲も似たような初速だったんですよね・・・・)
SUDO
- 重巡の散布界が大きいのは、戦艦と違って船体が相対的に細長く一斉射撃の場合船体の「しなり」が原因と何かで読んだ記憶がありますが、どうなのでしょうか?
バウアー中尉
- >6
>5で書いたように、砲塔群前後間隔の縮小や、前方集中配備とかも試してて、その結果は顕著ではなかったんですがね?
SUDO
- 発砲遅延装置は実際に効果があったといえるのでしょうか?
taka
- >8
無しの熊野・鈴谷と、ありで、しかも改装復帰直後で練度の低い最上・三隈で比較して、最上・三隈の方が明らかに良好な結果を出しており、効果があると判断されています。
もっとも、この時の熊野・鈴谷は利根・筑摩と並んでドベコースを走ってまして、良好とされる最上・三隈も重巡全体の平均値程度です(発砲遅延装置を用いなくても古鷹や愛宕は最上よりも良い成績を上げていたのです)
散布界は、艦型・艦固有の癖・砲の性能・有形無形の様々な対策の蓄積等が積み重なった結果として出てくるものですので、特効薬は無かったんではなかろうかと思います。
発砲遅延装置は、散布界拡大防止策・縮小策の一つであったと、そう考えればよいのではないかと思います。
SUDO
- >7
でも解決できなかったとか????
んでもってもひとつ戦艦と比べ細長いってこと考えると、
主砲発射時の反動よる船体のローリングとかは?????
造船工学わかんないので、わかんないっすーーー
バウアー中尉
- >10
解決って何が?
船体長さや武装配置の問題も「理由の一つ・一部」であって、それらを解消したとしても、それだけでは全ての解決にはならなかったってだけです。
勿論ローリングやピッチングの問題もあったでしょう、そしてそういった一つ一つの問題に対して、少しずつ微調整していって、セッティングを取っていく訳です。
ただ、私は数値を知りませんが、最上型巡洋艦の15.5糎砲は散布界も優秀だったそうですし、15.5糎15門の装薬量は20糎10門と大体同じですので、反動による影響は似たようなものだったでしょう。そして20糎に換装した後の最上型の散布界は誉められたものではなかったのは確かです。
よって、重巡洋艦の散布界問題は、船体や武装配置もあったでしょうが、主因は砲と砲弾にあったのではないかと個人的には想像します。
SUDO
- 妙高型における船体の「捻れ」による各砲台間の射程差ですが。平水上でほぼ無し、荒天下で約10m程度であったそうですから、射弾散布に対する影響は無視出来る程度であったようですね。
いわゆる2号20センチ砲における「散布界問題」は、様々な要素が絡んでいたと思われるのですが。当時の認識としては主として隣接砲の爆風が原因によるものであったようです。
我が国の戦艦では様々な理由から交互打方を実施しており、「一斉射当たりの弾数が少ない」「隣接砲の影響を受けない」事で散布界の大きさが問題とはならなかったといえますが。妙高型あるいは高雄型重巡では、当初より斉打ち方を実施していましたから。それまで表に出なかった問題が表面化したとも考えられます。
大戦突入直前には発砲装置の実用化により隣接爆風の影響は除去されたと判断されています。それでも散布界の大きさには各艦毎に大きな差があったようです。これは各艦における術力差とも考えられるのですが、はっきりしたことは判りません。
>2
10門艦においても「ある一斉射」の散布界が100m程度に収まっていたことがありますから。書かれている「主砲塔6基時代における古鷹型の散布界」がどの様な条件で記録されたのかが判らないことには「すごい」とも「すごくないとも」判断できませんね。
tackow
- 訂正です。。
>妙高型あるいは高雄型重巡では、当初より斉打ち方を実施していましたから。
「斉打ち方」→「一斉打方」です。
tackow
- >11
散布界問題において、船体よりも砲と砲弾が主要因となるのは、同一の船体を使用した
米戦艦のコロラド級とカリフォルニア級において、コロラド級の方が遥かに射弾散布が
狭い事からも伺う事が出来ますね。
大塚好古