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艦船の艦尾の形状について教えてください。 第2次大戦の頃は艦尾が丸くなっていますが、最近の艦船は艦尾が進行方向に対して垂直な直線になっているように見受けられます。いったいどうしてこのように形状が変化したのでしょうか? また、タンカーなどの商船は未だに艦尾が丸くなっているように思いますが、艦尾を直線的にするのは、軍艦だけに当てはまるメリットなのでしょうか? どなたか、ご教示よろしくお願いします。 ミータ |
- 船体の最後部を平面で切断したような船尾形状は、トランサムスターンと言うようです。船尾部甲板上には繋船装置等(艦艇の場合は対装備や下手するとヘリコプターまで)を設置するため、ある程度の甲板上面積(つまり甲板部での幅)を必要とする一方、水線以下の船体横断面積を減らしたいですから、この部分の船体をかなり上に開いた形状にする必要があります。
この目的は、大昔にはクルーザースターンやデストロイヤースターン等の優美な形状でもって処理していたものです。
しかしながら、時代が下るにつれて「速く・安く」フネを造るため、より船尾部甲板面積を確保でき、しかも工事が簡単なトランサムスターンが採用されるようになりました。
日本の例で言えば、太平洋戦争中に急速に船舶・艦艇を建造する必要に迫られた際、第二次以降の戦時標準船、駆逐艦橘型、御蔵型以降の海防艦、二等輸送艦あたりに採用されたのが始めのようです。
戦後の海上自衛隊は、初期からトランサムスターンを採用しています。
一方で戦後の商船については、戦時標準船が海運関係者にあまりに不評であったため、その特徴であるトランサムスターンの採用は遅れたと牧野茂氏は書かれています。
こんにちでは特殊な目的のものを除くと、ほとんど全ての船舶・艦艇に採用されています。
蛇足ながら、こんにちの艦艇ではステルス性が要求されるため、どうしてもトランサムスターンにせざるを得ないのではないかと想像します。
ふりげいと
- 早速ご教示いただきありがとうございます。
やっぱり合理的な理由があるのですね。
個人的には丸い艦尾の方が優美に感じるのですが、
今後、艦艇もますますステルス性を考慮していくでしょうから
その意味でも、トランサムスターンは用いられていくのでしょうね。
ミータ