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1861 「坂の上の雲」における日本海海戦前の日露両艦隊の記述に、喫水下のフジツボが溜まり、煙突にはススがつもり性能ガタ落ちと耳にタコができそうなくらい書いてありますが、
1,幅10メートル以上もある艦船にせいぜい10センチはりだすかはりださないかのフジツボがたまるぐらいでそんなにも航行性能が落ちる物なのでしょうか?
2,また、煙突もドックに入れなければ云々と言う記述がありますが、町の銭湯の煙突には煙突掃除の職業があって中に入って掃除したりするそうです。それと同じように機関の火を落としてゴシゴシやればいいのではないのでしょうか? そしてわざわざドックに行ってどのような作業を施すのでしょうか?
以上二つの点艦船に関しては全くの素人ですが回答をお願いします。
紅葉饅頭

  1. >1,幅10メートル以上もある艦船にせいぜい10センチはりだすかはりださないかのフジツボがたまるぐらいでそんなにも航行性能が落ちる物なのでしょうか?

     あー、そこまで当時の事情に詳しいわけでは無いのですが。
     ちょっと想像して見てください、ドックに入れて牡蠣殻フジツボを落としてきれいにした船体と、牡蠣殻フジツボの類がびっしり付いた船体、どっちがツルツルでしょうか?
     で、どっちの表面積が多いでしょう?

     でこぼこしてて、表面積が多いと言う事は、それだけ水の抵抗がツルツルの状態に比べて大きくなると言う事です、せいぜい10センチのフジツボでもそれが水面下を覆うようでは、性能の低下もむべなるかなと言う事です。。
    ooi

  2. 私も素人ですが、まずは座興までと言うことで。
    1:(レイノルズ数とか、細かい話はヌキで)
    沈頭鋲に代表されるように、幅が数メートルの
    航空機は、数ミリの表面仕上げの凹凸を気にしますよね。
    もちろん、航空機より艦船の方が、速度は遅いですが、
    空気より水の方が粘性が高いです。
    2:煙がモクモクでる、2ストの単車の場合
    排気系のスス掃除は
    ・手っ取り早くやるならマフラーからドライバー突っ込んでガリガリ。
    ・もうちょっとやるなら、マフラー外して付け根をガリガリ。
    ・根本的にやるなら、マフラーばらして、中の細かい(消音)部品の
    カーボンを焼ききる。
    となります。

    本当に煙突の管の中身が、余裕を持った空間でかつ、
    ガランドウなら、分解しないで、煙突掃除夫により清掃できますが、
    なら、なんで軍艦にそんな無駄なスペースがあるねん!と言うことになると
    思います。


    蛇足ですが、産業革命時の児童労働と煙突掃除、癌発生率との関係は面白いですよ
    (本題とまったく関係ありません)
    無頼庵

  3. 漁船等では、船体より先にスクリューへ来ますね。
    よく潜ってこさぎ落としたり、ヘラ付の棒で桟橋から
    突ついたりしました。

    10年ぐらい前に漁船造船所のおじさんから聞いた話では
    スクリュー用の対フジツボ塗料も有る様ですが
    1ヶ月程度しか持たないって事でした。(海水に融ける)
    Scylla

  4. >1.〜フジツボがたまるぐらいでそんなにも航行性能が落ちる物なのでしょうか?
     おおまかな話は既出ですが(↑沈頭鋲の話ね)、フジツボがびっしり船底を埋めると2〜3ノット程度は落ちそうな気がします。
    (ちなみに、航空機の例だと、九七艦攻の翼をガソリンで磨き上げたら+3ノット、B-29が脚を出したら速力半減、ちゅうぐらい影響でます)

     で、船に限定して話をすると、鋲構造と溶接建造(沈頭鋲と考えてみて)の同型船を比較すると、鋲構造船の方が5%程度燃費が悪い云々と聞きます。フジツボの場合はもっと凸凹しているので、整備直後に較べて1割程度は燃費の悪化(速力の低下)を招いていると思われます。

     ただし、バルチック艦隊の場合は特別も特別で、日本回航の途中で相当な停泊期間がありましたね。フジツボ等は航行中(船底に水が流れ続けている状態)では付着しにくいのですが、停泊中は加速度的に増殖します。ましてや熱帯圏ではなおさらです。当然艦隊側も水中作業でカキ落しをしますが、冷却水取り入れ口等を確保するので精一杯でしょうから、速力を回復するには至らないと思います。 
     また、冷却水取り入れ口等の内部に海棲生物が付着した場合は、主機の全力発揮も難しいくなるだろうことも書き加えておきます。
    能登

  5.  ゴミレスですが。。。

    >フジツボ
     趣味の関係で時折24ft(7m強)のモーターボートを操縦します。エンジンはディーゼル1基(スターンドライブ)、カタログデータでは出力96hpで27kt出ることになっていますが、進水後6年経過してるのでその分割り引いて下さい。

     1年中海上係留しているのですが、毎年4月頃から水線付近を中心にフジツボの付着が始まり、7月には抵抗の増大で滑走状態に移行できなくなります。
     どういうことかといいますと、速度が上がって全没状態から半滑走状態になった辺りで抵抗の増大によりスクリューにキャビテーションが発生し、推進力が減少してまた全没状態に戻ってしまうのです。ほとんどスピード出ません。

     で、お盆近くにフジツボを落とすとバケツ半分も付着していません。排水量船型と滑走船型の違いもありますが、結構な抵抗になると思います。

    >煙突
     煙突内部にすすが付着するのなら、缶内部の燃焼室から煙路に至る部分まですべてに付着すると思います。完全に清掃するなら、缶の火をすべて落として開放する必要があるでしょう。航行中は難しいと思います。
    天翔

  6. 機動戦士ガンダムに「あたらなければどうということはない」という、名(迷?)セリフがありますが、「古来 海戦空戦を問わず0.1ノットの速度差で勝敗の決まった対戦は数限りない」です。海上の砲戦における彼我の速度差は、程度の問題ではなく、射程、精度、練度、戦闘精神、攻撃力、天候をしのぐ決定要因です。98年の時を隔てて東シナ海の不審船の追跡でも端的に現われているものです。
    IWA

  7. 便乗質問ですが、日露戦争の頃、フジツボなどの付着防止のための船底塗料は使われていたのでしょうか?現在、日本では環境ホルモンの問題から禁止されているけど、有機錫用いた塗料が最近まで広く使われてきましたが。
    アリエフ

  8. 私も素人なので実艦の数値や詳細なデータ分析による判断は致しかねますが、『モノは試し』という事でおバカな実験をしてみました。天翔様のような本物ボートは所有していないので、艦船模型の入門用「30センチシリーズ」が実験台です。用意したのは「長門」と「陸奥」。

    両艦とも上部はごくオーソドックスに組み立てまして、船体下部(赤い一体整形の部品)に細工を施します。1隻はそのまま、1隻にサンドペーパーで粗めのキズを底全体に付けまして、更にT社の情景スプレー(少しばかり立体感の出る情景用)+トップコートを適度に吹き付けました。このスプレー吹きつけによるゴツゴツ感が実物の艦体にくっ付くフジツボと仮定し、サンドペーパーのキズはツルツル過ぎる元々の船底に対する処理です。

    完成後、お互いに新品の同一製品の単三電池を組み込み、流れのないダム湖で同時にスタート。距離は約10mの5回勝負で、いずれも「素組み」の方が早かったです。(行方不明にならないように艦尾のあたりに凧糸を繋いでおりました。余計な抵抗にならないよう10mほど直線に延ばした状態で実施。)

    航跡はフジツボ風付着艦の方が比較的顕著に出ていました。これは抵抗が増した結果だと思います。短距離でこの結果ですから、長距離になるほど影響が大きくなると考えられます。当然燃費も変化があるでしょうね。

    「2.」の件ですが、『湾内でも可能ではあるが、ドック入りした方がより徹底的に清掃が出来る』といったものではないでしょうか?
    自家用車だってプロの整備士に自宅(湾内)に来てもらって手持ちの道具でガレージ内で作業するより整備工場(ドック)で見てもらう方がより徹底的にやってくれるのと同じ事だと思います。
    リリー・マルレーン

  9. >1,幅10メートル以上もある艦船にせいぜい10センチはりだすかはりださないかのフジツボがたまるぐらいでそんなにも航行性能が落ちる物なのでしょうか?

     全くの素人ですが、航行性能は落ちると思います。このサイトでも航空機の鋲打ちの頭部が、どうのこうのと問題になっていなかったでしょうか?フジツボの付着する面積は、船体の喫水線以下の全面積になります。速力、燃費等に大きく係わってくるのではないでしょうか? 航空機等に比べて艦船は、はるかに速度では劣りますが、空気に比べて海水は、はるかに密度が大きく、乱水流(?)を起こし大きな抵抗(力)になるのではないでしょうか?

     そこで、船底にフジツボや、貝類を付着させない為に、特別な船底(用)塗料が開発されました。ところが船底(用)塗料には、フジツボや貝類を付着させない為に特別な化学物質が使用されました。この化学物質が海水に溶け出しそれを摂取した魚貝類(特に貝類)が、異変を起こしました。その内で最も恐ろしい事は、『女性化』でした。オスになるべき個体が女性化してしまったのです。さらにこれらの化学物質は、魚貝類を食する人間の口にも入る事になりました。そして人間にも『女性化』をはじめいろいろな問題をおこしています。これが今、問題になっている『環境ホルモン』です。もちろん環境ホルモンは、この他にもいろいろありますが、船底用塗料由来の物も最も重要な環境ホルモンの一つです。
     
     ひょとしたら、「スクリュウに、付着しやすい」と言うのは、スクリュウは、塗装していないためではないでしょうか?

     『環境ホルモン 船底 塗料 貝 女性化』

     上記、適当に組み合わせて、検索かけてみてください。いろいろたくさん、出てきます。
    roht

  10. 船員歴10年の私の経験から言うと、船底に付着物が付くにつれ、抵抗が増え速力が落ちます。フジツボや瀬戸貝の厚さは5cmにもなりませんが(瀬戸内海の場合)、それでも判るほど(1〜2ノット)です。
    しかし、これも付きどころによっては影響も大となります。スクリュープロペラ周りはキャビテーションの発生の度合いにも影響します。おかげで、ドックに上げるとプロペラボスが真っ黒に焦げていることがあります。
    ちなみに、現在の船は1年に一回(公試運転日前)に、ドック入りし検査と船底掃除を行います。
    GO

  11. 皆様多くのレスありがとうございました。
    特に天翔さんの実体験とリリー・マルレーンさんの実験のお話はとても分かりやすかったです。しかし、そんなにも効果が出る物とはとても想像が付きませんでした、驚きの一言です。
    紅葉饅頭


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