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質問1789の回答の欄に書いてあるSHSってどのような砲弾なのですか? 初級者・・・ |
- SHS=スーパーヘビーシェル
簡単に言うと従来弾より重たい砲弾
masa
- 既に答えが書いてありますが、簡単に補足。
第二次大戦時までの大型戦闘艦の主用する徹甲弾は、重たくて硬くて速い砲弾を敵艦にぶつけて、その装甲をぶち抜こうという物でした。
一般にこの威力は(砲弾の設計や強度や口径も重要ですが)運動エネルギーの大きさで凡そのところが決まります。そして運動エネルギーは質量に比例し、速度の二乗に比例します。よって高速な砲弾であるほうが重たい砲弾であるよりも威力が大きかったのです。
ところが、軽い砲弾は遠くまで飛ばすと急速に速度が落ち、また同じだけの砲口威力(速度の二乗x砲弾重量)を出す場合、速度遅めで重たい砲弾の方が発射に必要な火薬量が減り、砲の痛みも押さえられます。
つまり、重たく遅い砲弾の方が、遠くでも威力が残るという事になります。この事は1920年代において、日英米で確認されていました。
ただし、同じ砲口威力で遅くて重たい砲弾は射程距離でマイナスの要素があります(速い方が遠くまで行きやすい)また砲弾は砲口径に縛られますから、重たいという事は長いということで、これは弾道安定性にマイナスになる事も有ります(この辺りの研究に関する文献は日本海軍のも残ってます)
また重たい砲弾は揚弾装置への負担が増し、射撃速度にもマイナスの懸念がある等の問題点が有りました。
結局最終的には、英国はかなり重たい方向に、日本は空力改善をして射程の低下を押さえられる91式徹甲弾の登場によって重量化に、そして米国は更にもっと重たく、射程問題を多少しのびながらも威力絶大な超大重量砲弾を第二次大戦に投入しました。
なお、日英では中小口径砲弾においては、射程問題や砲弾が重たい事による射撃速度の問題等から大重量化には消極的でしたが、米国は積極的に大重量化しています(優れた装填装置等の支援があったればこそでしょう)
SUDO