1782 |
帝国海軍の酸素魚雷は当時の世界最高水準と長年思ってましたが、いろいろ調べていくと射程距離が必要以上に長すぎるように思います。あれほど射程が長くても命中させられるはずも無く(追尾装置でもあれば別ですが)、かえって遠方の関係ない艦船にあたってしまう可能性もあります。 海軍はなぜあれほどの長大な射程を求めたのでしょうか? はしもっちゃん |
- 追尾装置も研究されていましたが・・・・・・。
大遠距離雷撃の命中精度の低さを補うために飽和雷撃をするってのが帝国海軍のドクトリンだったようです。
ワーバーズ別館の「真実一路」内にSUDOさんがそのことについてかかれた稿がありましたのでご一読下さい。「魚雷は大人になってから」という題名でした。
居眠り将軍
- なぜそうまでして大遠距離射程にこだわるのかといえば、水雷戦隊そのものは脆弱だからです。
敵艦砲の射程をアウトレンジしての魚雷発射を可能にするのが九三魚雷です。九三魚雷の射程は戦艦主砲と同等であり、この点で航空機以外の全ての海上戦力に対して射程距離で同等以上ということになります。
状況によっては夜襲によらず昼間遠距離隠密発射というオプションもありました。普通なら魚雷など撃てるはずの無い距離から、ノーマーク状態で発射しようというものです。(この奇襲効果を得るために酸素魚雷は秘密兵器に指定されていたのです)
九三魚雷という兵器は、一個重巡戦隊または一個駆逐隊の構成する射線数を最低限とし、一個水雷戦隊または一個重雷装艦戦隊の射線数を基準として運用されるものとして考えるべきでしょう。
射線数が少なければ、九三魚雷といえども接近しなければ命中させられません。
遠ければ遠いほど目標着達までにかかる時間が長くなり、それだけ敵艦は動きます。これを、射線数を増やして敵艦の未来位置全てを包み込むように網を構成して発射しようというのが日本海軍の考えです。
実際、夜戦に使うには射程が長すぎるという話もあります。
演習で挟み撃ちをかけた重巡が目標艦隊を通り抜けた魚雷で味方撃ちの判定になったり、バタビア沖海戦で味方輸送船団まで魚雷が届いてしまったりという例もあります。
まなかじ
- ありがとうございます。
海軍の水雷戦隊がどういう戦法を前提としていたかわかってきました。
酸素魚雷の性能があればこその戦法だったのですね。
はしもっちゃん
- >3
ああ、なんか、殆ど書かれてしまってるんで簡単に
第二次大戦での日本海軍水雷戦隊の戦術や用法は基本的に従来型魚雷がベースになってます。
酸素魚雷が主要艦艇に行き渡り実際に撃つような演習は開戦直前ぐらいの時期でして、適正な戦術等に関しての研究も充分ではありませんでした。
重雷装艦の大井・北上(とにかく沢山発射)や島風型駆逐艦(遠距離にて必要な雷撃地点へ遷移&大量発射)が、酸素魚雷前提の艦で、他の艦は基本的に従来型魚雷前提の艦です。
SUDO
- >4
ありがとうございます。
そういう戦法が先にあって、それに正にうってつけの兵器である酸素魚雷が登場したということですか。いろいろ興味深いですね。
はしもっちゃん
- >5
いや、だから酸素魚雷前提戦法は机上でしか存在してなかったんですよ。
そして、実際に酸素魚雷が完成するまでは「遠距離で発射できたら良いね」という程度でしかなかったんです。実際に完成して配備されて、撃ってみたら問題点が山のように見つかるのですが、既に従来型の魚雷戦術は完成の域に達しており、次のステップはより長射程にならざるを得なかったのです。
SUDO
- 関係ない艦船←ワスプを沈めた時(命中3発)、外れた魚雷(3発)は10000メートルだか走って駆逐艦(確かオブライエン)に1発命中し是を轟沈せしめ、戦艦にも命中し是を半年程戦線離脱せしめたとか。あくまでも偶然ですけど。
Mk
- オブライエンは確か轟沈ではなく命中後数日たってから波浪のせいで魚雷の破孔から船体が真っ二つに裂けて沈んだんだったような・・・
あと酸素魚雷は馳走距離を短くして発射する事も出来た筈です。その様にして発射すると魚雷の馳走速度が上がります。
ベニグセン
- そうだったんですか。命中して船体が真っ二つに裂けた、と読んだのでてっきり轟沈だと思ってました。
勉強になりました。有難うございます。
Mk
- >8.
3種くらい馳走速度の設定があります。
最速の48ノットでも2万くらい平気で走破し、
最大射程の4万でも30ノットを超える高速で馳走できる
トンデモない魚雷です、酸素魚雷って。
勝井